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音楽の国ドイツ、実はクラシック音楽が不人気?!ドイツの音楽事情について解説!

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 少し奇妙かもしれないが、僕のドイツ人友達は、クラシック音楽に興味がない人が多い。かつて仙台に住んで東北大学で准教授として働いていた友達のSと妻のMもドイツ人だけど、ドイツのクラシックと民族音楽にはほとんど興味がない。ウィーン生まれのオーストリア人で夏に東北大学で研究生活をしている大学教授で学者のWも、クラシックj音楽にはほとんど興味がなくて彼とクラシックについて話をしたことはない。

ドイツの音楽といえばクラシック音楽?

Tと妻のMに、「クラシックのコンサートとか聞きに行かないのか?」と聞いてみたことがあるが、「最近はあまり行ってないね。子供の頃は、親に連れられてたまに聴きに行ったけどね。家でもあまりクラシックは聴かないね。クラシック音楽のコンサートはずっと黙っていないといけないから退屈なんだ。サッカー観戦はスタジアムで仲間と大騒ぎできるけどね」と言っていた。

2007年の夏に、2人の故郷のデュッセルドルフで会って遊んだことがあった。ライン川に浮かぶ船上で一緒にビールを飲んだ時に2人に、「ローレライをドイツ語で歌えるか?」と聞いてみたが、「俺たちローレライすら歌えない。ドイツ人じゃないな」と言って、苦笑いしていたことがあった。

それ以外にもポーランドのホテルにいた時に、こんなことをテレビ番組でやっているのを見た。ベートーベンのピアノ曲の「エリーゼのために」を道行く人たちに聞かせて、「これを作曲した人は誰でしょうか?」と質問していたのだった。若者たちは「聞いたことあるけど、わからない」と言っていて、老人夫婦が「ピアノ曲だから、ショパンがリストかな?でも、わからない」と答えていた。「正解はベートーベンの『エリーゼのために』です」と教えると、老夫婦は「ベートーベンというとシンフォニーのイメージだけど、ピアノ曲を作っていたの?知らなかった」と言って苦笑いをしていた。 

「ドイツ人の若者で、大のクラシック音楽ファンをたくさん知っている。必ずしもあなたの言うとおりではない」というふうに反論する人がいるかもしれないが、少なくとも僕が知る限りでは、「クラシック音楽が大好き」というドイツ人にはドイツで会ったことがない。むしろ、日本人の方に熱狂的なクラシック音楽が多いのだが、これは「隣の芝生はよく見える」という心理の一つなのだろう。(苦笑)

ドイツではクラシック音楽が人気がない理由の一つは、ナチスドイツ時代にベルリン、ヴィーン交響楽団の楽団員はナチスドイツ政府に保護されており、カラヤンのような有名な音楽家までもがナチス党員になって、ナチスドイツ政府に忠誠を誓っていた事実があったからかもしれない。

 

こういう大きな負の部分がドイツのクラシック音楽にはあるので、ドイツ人の多くにとってはクラシック音楽のイメージが悪いのかもしれない。

ヒトラーがワグナー、ベートーベンのようなクラシック音楽作品を、「西ヨーロッパの優れた文化の一つ」などと称えて好んでいたのは有名な話であり、ドイツの若者たちにとってはクラシック音楽のイメージが悪いのかもしれない。

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ドイツではどのような音楽が人気があるの?

音楽については、やはり、若者の間ではドイツでもアメリカとイギリスのポップ音楽が人気がある。

これも日本もドイツもアメリカも全く同じ。ドイツの伝統的なクラシック音楽よりも、マイケル・ジャクソン、マドンナ、スパイスガールズ、テイラー・スイフトなどの最近の米英のポップ音楽の方がすごく人気がある。

これはやはりビートルズ、ローリング・ストーンズなどのロック音楽が世界的に人気が出てからは、世界共通だろう。

世界中の若者たちは、「アメリカ政府と軍のやっていることは大嫌いだけど、アメリカの娯楽なしには人生を楽しめない」という大きな矛盾を抱えて生活をしている。

 

僕はホームステイをしていた時にそこのご主人に、「日本人はアメリカ文化に占領されつつあるんですよ。ハリウッド映画を見て、アメリカのロック音楽を真似したロック音楽ばかりが人気があって、東京ディズニーランドに行って遊んだりとか、日本はまるでアメリカの51番目の州みたいなものですよ」という話をした。

そうしたら主人は、「じゃあ、ドイツは52番目の州だな。多くのドイツ人もハリウッド映画を見て、ロック音楽を聞いて喜んでいるから。ドイツはかなりAmerikanisiert(アメリカ化された)国だよと言っていた。日本人はちょっとびっくりするかもしれないが、ドイツもかなりアメリカ化されているようだ。 

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ドイツでクラシック音楽や伝統音楽はなんであまり人気がないのか?

ヨーロッパでクラシック音楽が不人気な理由として、僕のドイツ人の友達たちは次のような理由を挙げていた。

・新曲がないから。

クラシック音楽の作曲家は既に20世紀半ばまでに有名な作曲家は死んでしまって、今でもクラシックの作曲家はいるが、数が少なくてロック、ポップなどの作曲家の人気に押されているので、新曲が出なくて昔の曲ばかりだから新鮮味がない。

曲が長すぎる。
クラシックは交響曲の場合はベートーベンの「第九」なら約70分というふうに、1曲が長すぎるので、聞いてるうちに飽きてしまう。しかも、ベルリン交響楽団などのコンサートだと、その1曲の間はトイレなどに中座することも「マナー違反」などになるので、雰囲気が重々しすぎて若者向けではない。
 クラシック音楽が描いている恋愛、人間ドラマなどが18世紀から19世紀の貴族向けのものなので、今の一般大衆、特に音楽好きの若者にアピールするものがないようだ。

内容が難しすぎる。

人間愛を歌っているベートーベンの「第九」においても、シラーの詞にベートーベンが曲を付けたので、例えるなら大学教授と大学教授のコラボみたいで、気軽に聞ける曲ではなく、内容も難しい。
実際に、クラシック音楽の専門家というとある程度インテリの人が多いので、若者、庶民向けではない。 

・コンサートで騒ぐことが出来ない。

恐らく、これが一番クラシック音楽が人気がない理由ではないだろうか?クラシックのコンサートではロックバンドのコンサートのように、曲に合わせてアーティストと一緒に大声を出して歌ったり、踊ったりすることが出来ない。クラシックのコンサートで大声を出して歌い出したりすると、「頭がおかしい」と思われて周りの観客から注意されて退場しないといけない。

まとめ

  • ヒトラーがワグナー、ベートーベンのようなクラシック音楽作品を、「西ヨーロッパの優れた文化の一つ」などと称えて好んでいたのは有名な話であり、ドイツの若者たちにとってはクラシック音楽のイメージが悪い。
  • ドイツでクラシック音楽が不人気である1番の理由は、コンサートで騒ぐことができないから。
  • 結局、ドイツの若者の間ではアメリカとイギリスのポップ音楽が人気がある。

 

 

最後に、僕のブログを訪れてくれてありがとうございます。この記事のようなドイツに滞在した時の体験談と日本でドイツ人と交流した体験談以外にも、ドイツで10試合ほどブンデスリーガの試合を観戦していて、ドイツサッカーが好きな方に対して色々と興味深いブログ記事を書いているので、ぜひ他の記事も読んでみてください。ドイツ語の勉強方法、ナチスドイツ軍に関する記事も書いてますし、これからもドイツに関する記事を書いていきます。