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ドイツの映画事情と俳優について解説!

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有名なドイツ映画にはどういう作品があるのか?

みなさんの中には、「ドイツ映画」というとどういうイメージがあるでしょうか?やはり、ナチスドイツ時代を描いた映画とか、東西冷戦時代に西ドイツと東ドイツに分裂していた時代を描いた映画とかのイメージがありますよね。それで、あまりハリウッド映画のように見ていて楽しくて、派手なアクションのある映画のイメージはないと思います。実際、ドイツ映画というと、ハリウッド映画のような恋愛映画、アクション映画は少なくて、ナチスドイツ、東西ドイツ分裂時代を描いたような悲しい話の映画が有名です。

現在、ドイツにある主要な映画製作会社にはコンスタンティン・フィルム( Constantin Film)、スタジオ・ハンブルク( Studio Hamburg)、UFA Fernsehproduktionなどがある。同言語同民族国であるオーストリア、スイス(一部フランス語地区、イタリア語地区もあり)との合作も多く、非常に活況を呈している。芸術性を追求した作品だけでなく、質の高い娯楽作品もコンスタントに製作されている。

近年公開されたトム・ティクヴァ監督の『ラン・ローラ・ラン』やヴォルフガング・ベッカーの『グッバイ、レーニン!』、ファティ・アーキンの『愛より強く』、オリヴァー・ヒルシュビーゲルの『ヒトラー ~最期の12日間~』、アカデミー外国語映画賞を受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクの『善き人のためのソナタ』などは、刺激的で革新的なニュー・ジャーマン・シネマの時代を思い起こさせる。『ヒトラー ~最期の12日間~』、『善き人のためのソナタ』、『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』、『ドレスデン、運命の日』、『ヒトラーの贋札』などは、全体主義下にあった20世紀ドイツの歴史を再検証している作品と言える。

 
ちょっと前の70年代から90年代のドイツ映画といえば、ヴォルフガング・ペーターゼンの「Uボート」と「ネバー・エンディングストーリー」、フォルカー・シュレンドルフの「カタリーナ・ブルームの失われた名誉」と「ブリキの太鼓」、ヴィム・ヴェンダースの「ベルリン・天使の詩」と「時の翼にのって」のような、やはり、ナチスドイツ時代と東西ドイツ分裂時代を描いた映画が有名。でも、こういうドイツ映画というのは、映画評論家からの評価は非常に高くて多くのベルリン映画祭、カンヌ映画際、ベネチア映画祭などで映画賞を受賞しているけど、ちょっと大衆の娯楽向きの映画ではない。ハリウッド映画の「ターミネーター」、「スターウォーズ」のようなアクションシーンが売りの娯楽作はドイツ映画にはほとんどない。今までのドイツ映画で一番ヒットした映画は「Uボート」なのだから、やはり、ドイツ映画はナチスドイツ時代の悲劇を扱った作品が多い。

有名なドイツ人映画俳優にはどういう人がいるのか?

ドイツの男優と女優にしても、やはり、ナチスドイツ時代か東西ドイツ時代の悲劇に出演している俳優が多いから、男優ならナチスドイツ軍の将校の役、女優ならその妻か家族の役という悲しい人間の役を演じいる人が多い。

男優はクルト・ユルゲンス、ハーディ・クリューガー、ゲルト・フレーベ、マクシミリアン・シェル、クラウス・キンスキー、トーマス・クレッチマン、ユルゲン・プロホノフなどがドイツとオーストリアの有名な男優だが、やはり、ナチスドイツ軍人の役が圧倒的に多い。ちょっと変わっているのはクリューガーはフランス映画の「シベールの日曜日」で、記憶喪失をした30歳の元フランス軍パイロットで、12歳の孤児の少女と恋愛する男の役を演じている。

女優はマレーネ・ディートリッヒ、ロミー・シュナイダー、マリア・シェル、ゼンタ・ベルガー、ハンナ・シグラ、ナスターシャ・キンスキー、アレクサンドラ・マリア・ララなどがいるが、やはり戦争映画か東西ドイツ分裂時代で、ナチスドイツ軍人の妻か家族の役か悲しいドイツ市民の役が多い。ちょっと変わっているのはロミー・シュナイダーはオーストリア人で「プリンセス・シシー」、「制服の処女」というオーストリア映画で有名になったが、その後はフランス映画にたくさん出て、1999年のフランスの世論調査では20世紀最高のフランス女優に選ばれている。

でも、僕は軍事マニアだから、R・シュナイダーというと「トリプルクロス」のナチスドイツ軍の伯爵夫人の役、「追想」でドイツ親衛隊員たちに強姦されてから火炎放射器で丸焼きにされてしまうという、可哀想なフランス人の人妻の役が印象深いだろう。

ドイツ映画はハリウッド映画のような娯楽作品よりも芸術的な作品が多い。

それで、ドイツ映画というと何で娯楽作品ではなくて、芸術的なちょっと難しい作品が多いのかというと、1920年代にはヴァイマール共和国では自由に映画を作れていたのに、1930年代にドイツでナチス党が台頭して政権を取った時に、ドイツ、オーストリア、ハンガリーなどにいた多くの優秀なユダヤ系映画人がアメリカに亡命してしまい、その亡命した映画人たちがアメリカのハリウッドで大活躍をしたからである。亡命した人たちの中にはマレーネ・ディートリッヒ、フリッツ・ラング、ビリー・ワイルダー、ヨーゼフ・フォン・シュテルンベルクなどがいる。これらの人々がハリウッドで大物俳優、監督、プロデューサーとなってハリウッドの黎明期を支えたのだった。つまり、ナチスドイツによる支配はドイツの娯楽文化まで後退させてしまい、後に残ったのはレニ・リーフェンシュタールのようなナチス党お抱えの監督だけだった。しかし、彼女が監督をした「意志の勝利」「オリンピア」などは、映像は素晴らしく良く出来ていると高く評価されている。