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サッカーのボールリフティング技術は本当に必要なのか?

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ドイツのサッカー選手の中には足元が苦手な選手がいて、ドイツ最高のフォワードのクローゼはW杯で決めたゴールの半分以上がヘッディングゴールである。

 

 今はサッカーのヨーロッパ選手権(ユーロ)が開催されているので、今日もサッカーに関する記事を書きます。

 

日本の学校の体育の授業、部活、地域のクラブチームでサッカーをプレイする時は、学校の先生、部活とクラブの指導者はまずはボールのリフティング技術を教える事が多い。そして、リフティングが5回もできないと、「そんなにリフティングが下手ではサッカーが上手くなるわけはない」と言われて、体育の授業、部活、クラブでは生徒と選手たちはボールリフティングを練習しないといけない。ちなみに、ボールリフティングは和製英語であり、英語では[Football Juggling](フットボール・ジャグリング)いう。

 

しかし、ドイツ、オランダなどの身長が180センチ以上のフォワードとディフェンダーをよく見てもらいたい。特に身長が高くてフィジカルが強いドイツのサッカー選手が、器用にボールをリフティングしているシーンは見たことがない。元ドイツサッカー代表選手のクローゼはワールドカップ通算で16ゴールも決めて、通算ゴール数が最多の優秀なフォワードだが、彼が器用に何度もボールリフティングをしているシーンは動画でもテレビでも見たことがない。クローゼの場合は現役時代を思い出してみればよくわかると思うが、彼が決めたワールドカップでのゴールのうち、半分以上はヘッディングで決めたものである。クローゼのゴールを見れば決して足元のボールコントロールが苦手でも、腕以外の体のどこかに当ててゴールを決めればいいことがわかるだろう。

 

 

ドイツではボールリフティングはそんなに重要な技術ではなくて、1974年W杯で西ドイツが優勝した時のメンバーであるフォクツは、リフティングが3回しかできなかった。

 

 

それ以外のドイツ人サッカー選手でもフィジカルは強いが足元のボールコントロールは下手な選手が多くて、過去のドイツ代表の選手でもディフェンダーのベルティ・フォクツとブリーゲルなどはボールリフティングが3回ほどしか出来なかったのに、フォクツは74年のW杯でディフェンダーとしてオランダのエースのクライフを徹敵的にマークをして優勝に貢献していて、ブリーゲルは82年と86年のW杯で準優勝をしている。つまり、ワールドトップクラスの選手だったのである。写真上は、所属チームのボルシア・メンヒェングラドバッハでプレイしていた時のフォクツ。UEFAカップで優勝した時の写真。

 

下のリンクは、フォクツがリフティングが3回しかできなかったことを示すサイト。1974年に西ドイツ代表選手として優勝した後に、「ボールリフティング3回のこの俺がワールドカップを獲った」と言って、パーティで笑わせたことが書いてある。

 

middle-edge.jp

 

 

フィジカルが強いドイツ人選手は、セットプレイから力で押し込むゴールが多いので、南米の選手のようなドリブル突破はあまりしない。

 

 

フィジカルが強いドイツ人の場合は、ブラジル、アルゼンチンみたいな南米型の個人技に頼るサッカーではなくて組織力でプレイをして勝つことが多く、ドイツ人選手があまりボールリフティングを練習しているシーンは見たことがない。僕のドイツ人友達のSとWもサッカーが大好きで、Sはユデュッセルドルフ近郊の地元のユースチームでプレイしていたのだが、2人とも身長が180センチ以上でガッチリした体系の男であり、ボールリフティングを何十回もできるイメージがない。

 

僕は2007年7月にワルシャワからケルンまで寝台特急で移動した時に、寝台特急のコンパートメント内で一緒になったギリシア系ドイツ人と数時間サッカーについてドイツ語で話し合ったことがあった。

僕「日本のサッカー指導者は、体育の授業でも部活でもクラブチームでも、まずボールリフティングが何回もできるように指導することが多い。まるでリフティングができない人はサッカーが上手にプレイできないような感じで。日本人はフィジカルがドイツ人ほど強くないので、南米型のサッカー指導をすることが多い。日本人もロナウジーニョ、C・ロナウド、メッシ(これらの選手は2007年夏に大活躍をしていた)のような足元のボールコントロールが上手い選手に憧れることが多い」

 

ギリシア系ドイツ人「日本人はフィジカルが弱いから、南米型のサッカー選手を目指す人が多いだろうね。でも、ドイツ人は平均身長が高くてフィジカルが強いから、それを生かしてコーナキックとフリーキックなどのセットプレイから、ヘッディングなどでゴールを決めることがけっこうある。特にドイツ人は身長が高いので空中戦に自信があるから、ドリブルで中央突破よりも、サイドからセンタリングをして崩すことが多い。ドイツの場合は足元のボールコントロールよりも、パスの精度、ポジショニングの良さ、個人戦で負けないことが強みだね。その変のサッカーに対する考え方の違いがある。俺もボールリフティングは20回くらいしかできないよ」

このようなことを、70年代からサッカーを見ているドイツ人のおじさんに言われたのだった。

 

 

一方でJリーグでもプレイしたリトバルスキーのように、身長が小さくてボールコントロールとドリブルが上手な選手も西ドイツ代表でプレイしていた。

 

 

しかし、ドイツ人サッカー選手もフィジカルの強い選手ばかりではなくて、例えば、昔のドイツ代表の選手でいえば、身長が小さいリトバルスキー、ヘスラーなどはドイツ人選手でもボールコントロール、ドリブルなどが南米人並みにとても上手な選手である。リトバルスキーはJリーグのジェフ市原、ベガルタ仙台でもプレイして、華麗なドリブル技術を披露したことがある。スキーというのはロシア語で(~する人)という意味なので、リトバルスキーはドイツのサッカーファンから「ドリブルスキー」というあだ名で呼ばれてもいた。リトバルスキーの華麗なドリブル技術の動画。

 

youtu.be

 

 

以上、今日はドイツの有名なサッカー選手の中には、ボールリフティングが下手な選手がけっこういることをブログ記事に書いてみました。リフティングが下手な人でもプロのサッカー選手になれる人がいることについては、知り合いのサッカー好きの人の中にも、「サッカーにはポジショニングなど、ボールコントロール以外にも重要なことがあるので、リフティングができないからといって、サッカーが下手ということにはならない」と言ってました。