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「クリスマスキャロル」をベースにした映画「3人のゴースト」

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「クリスマスキャロル」という有名な話は、スクルージ(守銭奴)という名前の男の所に3人のゴーストが現れて、彼の過去、現在、未来の姿を見せて改心をするように促す話である。

 

 

既にクリスマスは2日前になりましたが、僕がクリスマス時期に見た映画でとても感動した映画があるので、それを遅くなりましたが紹介しようと思います。

 

 

「クリスマスキャロル」というディケンズの小説は今までに何度か映画化されてるので、知ってる人は多いだろう。ロンドンに暮らす[Scrooge](スクルージ、守銭奴という意味)という名前のすごくケチで冷たい中年男のもとに老人の霊が現れて、「クリスマスを祝おうともしない拝金主義で冷たいお前のもとに、今から3人のゴーストが現れる」と告げるのだった。

 

3人のゴーストはスクルージに過去の自分、今の自分、そして未来の自分の姿を見させる。過去のスクルージは厳しい父が威張ってる冷たい家庭で育ったので、将来は心暖かい立派な人になることを夢見ていたが、だんだんと父と同じような厳しい男となって守銭奴に成り下がり、今の自分は周りの人から嫌われてることを知る。そして、3人目のゴーストはスクルージに未来の彼の姿を見せて、守銭奴で冷たい自分が亡くなったことを周りの人たちが喜んでいる様子を彼は見て驚いてショックを受けるのだった。その様子を見たスクルージは、心を入れ替えて優しくて人間味にあふれた人に生まれ変わろうと決意するのだった。

 

こちらが、「クリスマスキャロル」のウィキペディアの説明。

 

ja.wikipedia.org

 

 

映画「3人のゴースト」は「クリスマスキャロル」を現代風にアレンジした1988年のハリウッド映画である。ラストがちょっと原作とは変わっている。

 

 

ここまで書いたのが有名なディケンズの書いたロンドンを舞台にした「クリスマスキャロル」のあらずじだが、1988年のハリウッド映画「3人のゴースト」は舞台がニューヨークになっていて、主人公は自分の出世のためには他人を押しのける冷たさと厳しさで、若くして巨大テレビ会社の社長となりキャリア的には大成功した男になってる。そして、最後がちょっと変わっている。

 

こちらが、映画「3人のゴースト」のウィキペディアの説明。

 

ja.wikipedia.org

 

世界最大のネットワークを誇るテレビ局IBCの社長に史上最年少で就任したフランク・クロス(演じてるのはビル・マーレイ)は、「クリスマスキャロル」の主人公のスクルージと同じように、自分が冷たくて厳しい人間なので周りから嫌われていて、悲惨な将来が待ってることを知って衝撃を受ける。そこで彼はクリスマスを機会に生まれ変わって、優しくてみんなから愛される人間になろうと決意するのだった。

 

 

映画「3人のゴースト」のラストシーンではビル・マーレイが演じるフランクという冷たいテレビ局の社長が、「クリスマスの時期には毎年のように決まったことをするだけではなくて、自分から行動を起こして奇跡を起こすべきだ。私は今日から優しい人間に生まれ変わろうと決めた」とテレビで訴える。

 

 

映画のネタバレになるが、ここから先が「クリスマスキャロル」とはちょっと違うラスト。フランクは、テレビでライブでオンエア中のドラマ「クリスマスキャロル」の舞台に割り込んで演説を始める。

「今、テレビでドラマ『クリスマスキャロル』を見ているあなたたち、一体何をしてるんですか?クリスマスにはクリスマスソングを聞いて、『クリスマスキャロル』を見て、教会に行ってお祈りを捧げる。そんなクリスマスのルーチンを毎年繰り返すだけで本当のクリスマスと言えますか?この『クリスマスキャロル』はとても感動する話ですが、ドラマを作ってるテレビ局のスタッフと職員たちは仕事としてドラマを作ってるだけです。テレビ局の職員には嫌な人もけっこういます。

 

毎年、クリスマスに奇跡が起こるのを待ってるだけでいいのでしょうか?奇跡は自分から起こすものだと私は思います。クリスマスの時には自分から他人に優しくして、もっと一緒に笑って、この時期をもっと人類愛にあふれたものにしようとは思いませんか?いや、クリスマスの時期ではなくて、毎日、世界をもっと人類愛にあふれたものにしようではありませんか?少なくとも私は今日からは、みんなにもっと優しく接して他人から愛される人間になろうと決めました」

そして、フランクはテレビカメラの前で、自分が若くて苦労していた時に自分と同棲して励ましてくれたクレアにプロポーズをするのだった。

 

こちらが、映画「3人のゴースト」のラストシーン。[Put a little love in your heart](心にちょっと愛を込めよう)というこの映画のテーマソングが流れる。

 

youtu.be

 

原作の「クリスマスキャロル」よりも興味深いのは、「クリスマスにはクリスマスソングを聞いて映画ドラマを見て教会に行くだけではなくて、クリスマスに奇跡を起こすために自分から行動をするべきだ」と演説するビル・マーレイが、とても素晴らしいこと。もちろん、ビル・マーレイの演技は映画の中でずっと輝いている。クリスマスには決まっているクリスマスのルーチンをやって過ごす人が多いけど、この映画を見て何か自分も良いことをしようという気持ちになれた。もうクリスマスは終わってしまったけど、これからでも何か良いことはできるだろう。