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なぜ2回連続で冬季五輪はアジア開催なのか?

 

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今日から冬季北京オリンピックが始まりますが、前回が東アジアの韓国の平昌開催なのに、2回連続で東アジア開催というのは奇妙だと思いませんか?この理由についてブログ記事で考えようと思います。

 

 

冬季五輪はスポーツの性格からして、雪か氷の上でしか開催できないので、ヨーロッパか北米でしか開催されない時期が長かった。1972年に経済成長期の日本の札幌で、初めてアジアで冬季五輪が開かれた。

 

 

冬季オリンピックは競技が雪の上か氷の上でしかプレイできないという種目ばかりなので、開催できる都市が限られており、基本的にはヨーロッパ、北米の都市で開催されることが多く、たまに東アジアの日本の札幌、長野というふうにアジアで開催されることもあった。過去を遡ってみても、1992年がフランスのアルベールビル、94年がノルウェーのリレンハンメル、98年が日本の長野、2002年がアメリカのソルトレイクシティ、2006年がイタリアのトリノ、2010年がカナダのバンクーバー、2014年がロシアのソチ、2018年が韓国の平昌というふうに、ヨーロッパ、北米、それにたまに東アジアの都市という順番で開催されてきた。

 

だから、冬季オリンピックはヨーロッパか北米開催が多いので、まるで「白人の祭典」のようであり、20年前のソルトレイクシティオリンピックの頃までは白人がほとんどのメダルを独占しており、日本人、韓国人、中国人がたまにスケート競技か、日本人男子が得意なスキージャンプかジャンプとクロスカントリーの複合で金メダルを取るくらいだった。他のスキーのクロスカントリーなどのノルディック、回転、滑降などのアルペン競技は白人のメダリストばかりで、白人以外のアルペンのメダリストは、1956年のコルチナ・ダンペッツオ大会で回転で銀メダルを取った日本人の猪谷千春選手だけである。

 

この辺の冬季オリンピックと東洋人、特に日本人との関係は、過去の僕のブログ記事に書いたことがある。

 

deutschland-lab.hatenablog.com

 

 

平昌と北京というふうに連続でアジアで冬季五輪が開催という理由は、やはり、アジアでのウィンタースポーツの競技人口を増やしたいからだろう。アジアは一番人口が多い地域なので、競技人口が増えれば大金を稼げる。

 

 

つまり、IOC(国際オリンピック委員会)としては、ヨーロッパ人と北アメリカ人の白人しかウィンタースポーツをしないのでは、なかなかウィンタースポーツの競技人口が増えないので、前回の韓国の平昌、今回の中国の北京というふうに東アジアで2回も冬季五輪を強行開催して、もっと人口が多いアジア人にウィンタースポーツをプレイしてもらいたいという目的があるのだろう。平昌の前のロシアのソチというのも、ロシアでもヨーロッパ寄りではなくてコーカサス山脈の南側だから、アジアとの境にかなり近い都市である。

 

地理に詳しい人ならわかると思うが、アジアは世界で一番人口が多い地域であり、IOCとしては人口約14億人の中国人とインド人がウィンタースポーツをプレイするようになれば、ウィンタースポーツ競技で新しいビジネスを始めることが出来て、スポーツメーカーがもっと金を稼ぐことができるようになる。これが、IOCの狙いだろう。実際、中国の習近平国家主席は「北京五輪の後には、中国のウィンタースポーツ人口は3億人に増えるだろう」などと公言して、IOCのバッハ会長は大いに喜んで期待している。恐らく、ヨーロッパと北アメリカの冬季スポーツ競技人口を全部足しても3億人未満だと思うので、最近は金持ちが増えてきた中国人が冬季スポーツをするようになれば、スポーツメーカーは今よりもっと大金を稼ぐことができる。

 

特に多くの中国人とインド人が冬季スポーツをプレイするようになれば、IOCもスポーツメーカーもこれからのビジネスチャンスが増えるだろう。

 

インドが冬季スポーツというのは初耳かもしれないが、インド北部にはヒマラヤ山脈があってインド北部はけっこう雪が降るので、スキー場もけっこうある。だから、アジア人、特にもっと多くの中国人とインド人が冬季スポーツをプレイするようになれば、冬季五輪はヨーロッパ人と北アメリカ人という白人だけの祭典から、文字通りに世界全体の祭典になるだろう。これが、IOCがロシアのソチ、韓国の平昌、中国の北京というふうに3大会連続でアジアで冬季オリンピックを開催した狙いであろう。

 

もちろん、北京冬季オリンピックは、経済力が急速に発展しつつある中国の共産党政府がIOCに大金を払って、中国開催を買い取ったという背景もあるだろう。とにかく、3大会連続で冬季オリンピックをアジアで開催するというのは、冬季スポーツをもっと多くのアジア人にプレイしてもらいたいという狙いがあるだろう。もっと多くのアジア人が冬季スポーツをプレイすれば、IOCもスポーツメーカーも今よりもっと大金を儲けることができる。