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スキージャンプを描いた映画「イーグル・ジャンプ」

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今は北京オリンピックをやっているので、やはりウィンタースポーツ関係の記事を書きます。こういう記事を書く意図は、ウィンタースポーツは冬季オリンピック期間は注目されるけど、終わるとあまり注目されなくなるからです。小林陵侑選手はツイッターをしてますが、今回のオリンピックで金銀のメダルを取ったヒーローなのに、フォロワー数はなんとまだ12000人!!ほどなのです。しかも、フォロワーのほとんどはヨーロッパ人で、日本人はあまりいません。一方であまり売れてないグラビアアイドルと萌え系漫画家のフォロワー数が、20000人ほどです。(爆笑)

 

 

「イーグル・ジャンプ」というハリウッド映画は、1988年のカルガリー冬季五輪に出場したイギリス人のマイケル・エドワーズ選手を描いた映画。彼は五輪に出たかったが運動音痴なので、イギリス人の選手がいないスキージャンプで冬季五輪を目指すことに決めたのだった。

 

 

「イーグル・ジャンプ」という2016年に封切られたハリウッド映画は、1988年のカルガリー冬季五輪でスキージャンプのノーマルヒルとラージヒルに出場した、イギリス人のマイケル・エドワーズの話である。

 

イギリス人のエディ・エドワーズは五輪に出たいと思っていたが、運動音痴で近眼の彼には無理なことだった。そこで、イギリスにはスキージャンプの選手がいないことを知ったエドワーズはスキージャンプで五輪に出ることを試みる。国内最高記録を出せば五輪に出れると知ったからである。既に22歳になっていたエドワーズは、アルプスに行ってまずは40メートル級のジャンプ台でジャンプの練習を始める。そんな彼を、五輪のメダル候補のベテラン選手たちは冷たい視線で見る。「ノルウェーでは6歳からスキージャンプの練習を始めるんだよ」と言って、ノルウェー人のコーチはバカにする。

 

そんな時に、アメリカ人でかつては五輪のメダル候補と言われていたが、プライベート生活が悪いので今ではスキー場の用具係をしている、アメリカ人のブロンソン・ピアリーがエドワードを見つめる。エドワーズを見てスキージャンプへの情熱を取り戻したピアリーはエドワーズのコーチとなり、2人は二人三脚でカルガリー五輪を目指してジャンプの猛練習を行い、遂にはカルガリー五輪のノーマルヒルとラージヒル競技への出場を勝ち取る。

 

 

映画ではエドワーズは22歳から急にジャンプ練習を始めたことになってるが、実際には10代の頃からスキージャンプの練習をしていた。アメリカ人のピアリーコーチも架空の人物であり、アメリカ人はスキージャンプに興味がないので、映画でアメリカ人が活躍するための人物設定のようだ。

 

 

そこで、映画はやはり史実を基にかなりのフィクションを混ぜているが、実際の話との相違点を指摘する。やはり、ハリウッド映画ということで、50%ほどは盛られた嘘の話である。

 

まず、エドワーズは22歳になって急にスキージャンプを始めたことになってるが、これは嘘であり、彼は10代の頃からスキージャンプのワールドカップ2部で転戦していた。2部というのは、五輪でメダルを狙うハイレベルな選手と一緒のプレイは無理だったからである。それから、アメリカ人のピアリーコーチというのも架空の人物。だいたい、アメリカではスキージャンプは盛んなスポーツではなくて、過去にもアメリカ人の強いスキージャンプ選手はいたことがない。それなのにスキージャンプが盛んなヨーロッパ人ではなくてアメリカ人コーチを無理に出したのは、やはり、アメリカ人が活躍しないとアメリカ人が映画を見にこないからだろう。アメリカ人コーチを演じているのはイケメンイギリス人のヒュー・ジャックマンであり、ここでもイケメン米英人俳優が出ないと映画がヒットしないと考えて、無理にアメリカ人コーチを登場させたのだろう。

 

さらに、スキージャンプを昭和時代から見ている僕が笑ったのは、この映画ではエドワーズは120メートル以上の大ジャンプが普通であるラージヒルには、カルガリー五輪で初めて挑戦したことになってるが、そんなことは100%無理である。それでも、彼はラージヒルのジャンプで、背中をつきそうなくらいに倒れながらなんとか体勢を持ち直してジャンプに成功する。でも、スキージャンプで背中をつきそうなくらいに倒れそうになってから体勢を立て直すのは、腹筋と背筋が化け物級のアスリートでも絶対に無理である。まあ、この辺はハリウッド映画でアメリカ人はスキージャンプをよく知らないから、そういうクライマックスにしたのであろう。(笑)

 

 

映画はエドワーズがカルガリー冬季五輪で人気者になって終わるが、その後に国際オリンピック委員会はエドワーズのような低レベル参加者の増加を防ぐために、「ワールドカップで上位の選手しか参加できない」とルールを変えた。

 

 

さらに厳しい現実を話すと、エドワーズは確かにカルガリー五輪で[Eddy The Eagle]として人気者になったが、あまりにも下手な選手がスキージャンプ競技に出場すると競技が混乱して、メダルを狙うハイレベルな選手の競技の邪魔になると判断されて、次のアルベールビル冬季五輪の前に出場できるルールが大幅に変わった。

 

エドワーズがカルガリーで大きく注目されたことは、ジャンプ界の体制派にとって重要な困惑の種に変わり、多くのアスリートと当局は彼がスポーツを『あざけっている』ように感じとった。オリンピックが終わった直後に、参加条件が非常に厳しいものになり、彼のような選手が後に続くのはほとんど不可能になった。

 

1990年、エドワーズ現象に応じて国際オリンピック委員会(IOC)は、後にエディ・ジ・イーグルルールとして知られるようになるルールを定めた。(オリンピックに出場を希望するものは国際大会において上位50人もしくは上位30パーセント以内に入っていることが必要というもの)

 

マイケル・エドワーズのウィキペディアの説明。

 

ja.wikipedia.org

 

オリンピックはスポーツビジネスだから参加ルールの変更はやむを得ないが、元はというとオリンピックの精神には「参加することに意義がある」ということもあるので、エドワーズの出場はそれを問うものだった。

 

 

つまり、カルガリー五輪までは国が定めたオリンピック派遣記録を越えた選手ならスキージャンプの冬季五輪に参加できたのが、エドワーズのような参加選手が増えると困るので、ワールドカップで常に転戦していて上位に入れなければスキージャンプには出場できないというふうに、IOCはルールを変えたのである。このルールだとノーマルヒル、ラージヒルともにハイレベルな選手しか参加できないことになり、「オリンピックは参加することに意義がある」というオリンピックの精神に反する規定ではあるが、大会のスムーズな運営のためには仕方がなかったのだろう。

 

しかしながら、弱小ジャンパーのイギリス人エドワーズのカルガリー五輪への参加は国と国とが対戦してメダル獲得数を競う今のオリンピックの在り方に疑問を投げかけ、映画「イーグル・ジャンプ」のラストでは「オリンピックは参加することに意義がある」、「人生において大切なことは、成功することよりも努力することである」という、近代オリンピック初期に唱えられた言葉が画面に表示される。