- 数日前にウクライナ政府は「悪のファシズムは過去に敗れている」という戦意高揚の書き込みを政府のホームぺージに掲載したが、そこで、日本の昭和天皇とヒトラーとムッソリーニを同格に扱うというミスをした。
- しかし、僕がドイツでドイツ人たちと第二次大戦について会話をすると、「日本の戦争指導者はヒロヒト天皇だろ?」というふうに誤解していた人が多かった。同盟国だったドイツ人ですらこのように誤解をしていた。
- 大日本帝国憲法では「天皇ハ陸海軍ヲ統率ス」「統帥権ハ神聖ニシテ干犯スルベカラズ」と定められているので、これが、昭和天皇=日本軍の総司令官と誤解している外国人が多い原因。
- それ以外の誤解の原因はドイツはヒトラー、イタリアはムッソリーニというふうに戦争責任がある独裁者がいるのだが、日本の場合は東條英機でも独裁者ではないので有名な昭和天皇が日本軍総司令官と誤解されてるようである。
数日前にウクライナ政府は「悪のファシズムは過去に敗れている」という戦意高揚の書き込みを政府のホームぺージに掲載したが、そこで、日本の昭和天皇とヒトラーとムッソリーニを同格に扱うというミスをした。
数日前にウクライナ政府が「ファシズムとナチズムは1945年に敗北した」という英語の説明をつけて、ナチスドイツのヒトラー総統、イタリアのムッソリーニ、日本の昭和天皇の写真をホームページに掲載した。「ウクライナ人はロシアのプーチンのファシズムには負けないぞ!」という国威発揚と戦意高揚を狙って掲載したのだろうが、当然ながら日本政府と日本人は、「神武天皇以後、由緒正しき家柄である昭和天皇陛下とヒトラー、ムッソリーニという成り上がり者の戦争犯罪人を並べるのは誤解にしてもひどすぎる」という猛抗議をして、また、在日ウクライナ大使館とウクライナ人も同じように抗議をしたので、すぐに昭和天皇の画像は削除された。
しかし、僕がドイツでドイツ人たちと第二次大戦について会話をすると、「日本の戦争指導者はヒロヒト天皇だろ?」というふうに誤解していた人が多かった。同盟国だったドイツ人ですらこのように誤解をしていた。
日本人としては外国でヒトラー、ムッソリーニと昭和天皇が同格に扱われるのは耐えられない誤解で屈辱だろうが、僕は第二次大戦でドイツ兵だったおじいさんを含む
多くのドイツ人とドイツ語で会話をしたが、やはり、同盟国だったドイツ人ですらヒトラーと昭和天皇は同格の戦争遂行責任があると誤解してる人が多かった。ドイツ連邦軍が管理するムンスター戦車博物館で会話をした元ドイツ軍戦車兵のおじいさんも、「日本にもこういう軍事博物館はあるのか?日本もヒロヒトテンノウが指導者で、ドイツと同盟をして連合軍と戦争をしていただろ?」とニコリと笑って言っていた。第二次大戦で日本人とは”戦友”で、日本人が大好きである元ドイツ軍人ですらこのように誤解しているので、ヒロヒトテンノウ=ヒトラーと多くの外国人が誤解しているのは仕方がないかもしれない。
このように日本以外の国で、昭和天皇=ヒトラーというふうに第二次大戦遂行の責任があると誤解されるのは、そもそも大日本帝国憲法(明治憲法)に定められた「統帥権」という特殊な概念に原因があるようだ。「天皇ハ陸海軍ヲ統率ス」「統帥権ハ神聖二シテ干犯スルベカラズ」というふうに昔の憲法には規定されている。また、日本軍人は天皇陛下万歳を公共の場所で唱えるべきであるという考えもあった。「統帥権が天皇にあるということは、天皇が軍隊を率いてたのだろう?また日本軍は天皇陛下の命令で動いていたということは、当然、天皇には戦争責任があるのではないか?」と外国人に誤解されるのも仕方がないだろう。
大日本帝国憲法では「天皇ハ陸海軍ヲ統率ス」「統帥権ハ神聖ニシテ干犯スルベカラズ」と定められているので、これが、昭和天皇=日本軍の総司令官と誤解している外国人が多い原因。
特に「統帥権」という概念が外国人には理解できない。統帥権は天皇のみが軍隊を率いることを示しているので、これはシビリアンコントロールの拒否である。今のアメリカ軍などの自由主義諸国では国民に選挙で選ばれた国会議員が議論をして、議会の決定に基づいて軍隊は動くのだが、明治から昭和20年までの日本軍は天皇だけが軍隊を率いて軍隊を動かすことができると憲法に規定されていたのである。「統帥権」とは簡単いうと、ヨーロッパのイギリスのような王国でも「国王は君臨すれども統治せず」ということが憲法で決まっており、国王の行動は議会に制約されるのだが、大日本帝国の場合は富国強兵を急ぐために、ドイツ第二帝国を模範として、天皇>国会というふうに定めてしまったので「天皇が軍隊の最高指揮官で軍隊を率いていた」というふうに誤解されたのである。日本が模範としていたドイツ第二帝国は第一次世界大戦で崩壊をして、こちらもその後はドイツ国内が混乱して、最終的にはヒトラーという成り上がり者が国民に選挙で選ばれるという最悪の結果になった。
それ以外の誤解の原因はドイツはヒトラー、イタリアはムッソリーニというふうに戦争責任がある独裁者がいるのだが、日本の場合は東條英機でも独裁者ではないので有名な昭和天皇が日本軍総司令官と誤解されてるようである。
それ以外に昭和天皇=ヒトラーと誤解された原因としては、ナチスドイツの場合はヒトラー、イタリアの場合はムッソリーニというカリスマのある戦争指導者が思いつくが、日本の場合は東條英機、近衛文麿が少しはカリスマのある指導者があったが、ヒトラー、ムッソリーニには遠く及ばないので、「満州事変の時からずっと軍隊を指揮する立場にあった昭和天皇が、大日本帝国の戦争指導者だろう」というふうに誤解されているのだろう。
僕はこんなことを書いてるが、基本的には右翼思想で皇室の戦争責任云々という中国、韓国のような反日国家と皇室は必要ないという共産党は大嫌い。ただし、明治憲法に記されていた天皇は現人神だとか、統帥権という考えは外国人には理解が難しいので昭和天皇に戦争責任があるように誤解されるのは、今までの外国人との会話からやむを得ないと思っている。一つの例として、スウェーデンのパラドックス社が製作した「ハーツ・オブ・アイアン」シリーズのゲームは第二次大戦の戦略ゲームであり、世界中で人気がありプレイ人口が多いが、このゲームのオリジナルの英語版では、日本軍の総司令官は昭和天皇となっていた。しかし、日本政府から抗議があって日本語版では日本軍の総司令官は「大本営」に改められてる。このように外国では昭和天皇と軍隊の関係は、日本にあまり興味のない人たちには誤解されてるのである。