Deutschland-Lab

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物価が値上げされないと給料は上がらない

 

 

 

ウクライナ戦争も何か今は膠着状態なので、今日は物価の値上げが続く今の日本の状況について記事を書こうと思います。

 

 

最近、多くの商品が値上げになっているがドイツ人の友達は、「日本の物価は家賃が異常に高いだけでそれ以外の商品はとても安かった。食費もその他の生活費も安くてとても暮らしやすかった」と言っていた。

 

今は多くの物が値上げされているので不満はあるだろうけど、よく日本の商品の物価について考えてみてほしい。例えば、今は初夏の時期なのでアイスクリームをよく買うが、僕が好きな「ガリガリ君」などは20年ほど前からたったの20円ほどしか値上げされたない。チョコレートの菓子パンも同じように20年間10円~20円ほどしか値上げされていない。その他の多くの商品も最近20年間であまり値段が上がってない。

 

2005年6月から約2か月間ドイツ国内を旅した時に、ドイツ南西部にあるカールスルーエ市にある野球チームを訪れた時に、カールスルーエ大学の大学院に通うドイツ人男性と親しくなったが、彼は日本で実習をするために1年ほど東京で勤務をしたことがあった。ドイツの国公立の総合大学に通う大学生は、プラクティクム(実習)のために海外の企業で1年間実習をしなければならず、かつて東北大学で勤務していたドイツ人弁護士も1999年に1年間、東京の国際弁護士事務所で実習をしたことがあった。日本の大学のように、あまり勉強をしなくても何とか単位が取れて卒業できる大学とは随分と違う。

 

その2人が口を揃えてこういうことを言っていた。「日本の東京のような大都市ではアパートの家賃はドイツではあり得ないほどに高いが、その他の生活必需品の物価はドイツではあり得ないほどに安い。日本には牛丼チェーン店の吉野家、チェーンレストランのサイゼリヤなどがあるが、これらの全国チェーン店では千円以下で腹いっぱい飯を食べることができる。吉野家の牛丼は500円で特盛が食べれる。こんなに安く飯が食えるチェーンレストランはドイツでも他のヨーロッパ諸国でも、マクドナルドか宅配のビザくらいしかない。また、ドン・キホーテのような百円ショップがあって、ここでも生活必需品がかなり安い値段で買える。これもまたヨーロッパにはないことだ。さらに、電車の運賃もとても安い。だから、東京で生活をした時は家賃はかなり高いと思ったが、それ以外の物価はすごく安かったのでかなり快適に過ごすことができた。ただ、あんなに安売りをしていると、それらの商品を作っている人たちの給料はどうなっているか不思議になる。ドイツでは労働組合がとても強いから、そんなに安く商品を売られると人件費が削られてるはずなので、すぐに従業員がストライキを起こして生産がストップする」。

 

 

10年ほど前にアメリカの番組で「物価が安い問題」を取り上げていたが、物価が安いということは人件費が削られているので、商品を作っている従業員と販売員は苦しい生活を送ってるはずだとリポートしていた。

 

 

僕は10年ほど前にアメリカのテレビ番組で「商品を安売りすることの問題」という内容の番組を見たことがある。それはこういう内容だった。「商品がアマゾンなどの通信販売で安く買える時代になりましたが、本当に安く買えることはいいことなのでしょうか?通信販売で安く買えるということは商品も送料も安くなっており、ということは、商品を生産する人の人件費、輸送をするドライバーの人件費も安く抑えられているということです。つまり、あなたが商品を通販で安く入手できるということは、人件費が安く削られているので、一方で商品を作る人たちが苦労をしているということなのです」。

 

 

従業員の給料を上げるためには人件費を上げないといけないので、そのためには商品が値上げされるのは仕方がない。ドイツでは人件費を削って商品を安売りすると、従業員がストライキを起こす。

 

つまり、今は多くの商品が値上げされているが、10%~20%値上げされるということは、それと同時に商品を生産している従業員の給料も10~20%は値上げされるはずなので、値上げは見方によっては良いことでもある。とにかく、永遠に商品の値段が同じということはないので、商品を生産する従業員の生活を考えたら数年に1度は商品の値段が上がることは仕方がないことなのである。ドイツは労働組合の力がとても強いので商品の値段、公共交通費の値段が10年間も同じということになると、絶対に従業員たちがストライキを起こして商品の値段も交通も止まってしまう。だから、ドイツではスーパー、デパートに並んでる商品の値段が高いから、日本のように生活必需品以外の商品をあまり買うことはできない。

 

最近は多くの商品が値上げされて物価の上昇が続いているが、物価がある程度上昇しないと働いてる従業員の給料は上がらないのである。日本では20年ほど前から平均賃金があまり上昇していないが、賃金を上げるためにはまず物価の値上げをすることが必要なのだろう。だから物価の上昇には悪いことばかりではない。ドイツをはじめとするヨーロッパ人並みの給料を貰いたかったら、まずは物価の上昇を受け入れないといけない。