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なぜ平和反戦思想は広まらないのか?

 

 

 

 

「戦争は悲惨だ」という事実を第二次大戦から学ぶという教育は、敗戦国の日本とドイツでしか行われていない。戦勝国の連合国諸国では勝利を祝って勇敢な先祖に感謝するという教育がメインだから平和教育は広まらない。

 

 

今は第二次大戦の終戦から77年記念の時期なので、日本では平和反戦思想を訴える報道が多いけど、それではなぜ今でもロシアのプーチン大統領ウクライナに戦争を仕掛けたりとか、その他の地域でも武力紛争をしていたりとか、平和を求める反戦思想はなぜなかなか世界で広がらないのかについて記事に書いてみようと思う。

 

これは結論から言えばけっこう単純で簡単で、「戦争は悲惨だから二度としてはいけない。政府と軍隊は国民を無謀な戦争に導く危険性がある」という教育を熱心にしているのは、世界中でも第二次大戦で負けた枢軸国側の特に日本とドイツだけであり、第二次大戦に勝った連合国側の諸国では、「ナチスドイツと大日本帝国を倒して、世界をファシズムによる支配から守った軍人と政治家に感謝しよう!我が国の御先祖様たちはよく勇敢に戦った」という教育をしているからである。こんな状態がもう77年も続いているので、いつまで経っても第二次大戦での悲劇を訴える動きは日本とドイツと一部の旧枢軸国側にしか見られず、一方で連合国側の国々では全く逆で、御先祖様たちはよく勇敢に戦って祖国を救ってくたというお祝いをしているのである。これでは日本とドイツでいくら戦争の悲惨さを訴えても、全世界では「焼け石に水」状態にしかなってない。

 

写真上は昭和20年3月10日の東京大空襲の後に焼野原となった東京下町の写真だが、第二次大戦の戦勝国の国民の中には「日本人とドイツ人が戦争後半にどんどんと死んだのは当たり前のことで、いつまで経っても『天皇陛下万歳!』『ハイル・ヒトラー!』などと叫んでいた日本人とドイツ人がどう死んだとか、どれくらい死んだとか全く興味がない。戦争継続を叫ぶ政府と軍に対して、反対運動を起こさなかった日本人とドイツ人は殺されても仕方がない。『火垂るの墓』『はだしのゲン』などのアニメを見てもあまり同情する気になれない」という人が多いから、いくら第二次大戦での日本とドイツの悲劇を訴えても同情する人は増えないのである。

 

 

僕はかつてフェイスブックの第二次大戦グループでアメリカ白人から虐められたことがあるが、彼らは本当に「日本人ドイツ人だけが残酷な悪人でアメリカ人は正義だ」と信じている。第二次大戦の戦争犯罪を日本人ドイツ人だけに押し付けているのが現状である。

 

 

deutschland-lab.hatenablog.com

上の記事はかつて僕がこのブログに書いた記事で、「フェイスブックの第二次大戦グループでアメリカ白人に虐められた」という内容。アメリカ白人はトランプ大統領の支持者を見ればわかるように、「アメリカは常に正義の味方」と信じてる人が多くて、「プライベートライアン」「ハクソーリッジ」のようなハリウッド戦争映画を見ては、「アメリカ兵は常に正義の味方で、世界中で尊敬されている。アメリカは偉い国だからアメリカ国民の俺も偉いんだ」などと本気で信じている。日本のネトウヨよりもかなり質(たち)が悪い。そして今もウクライナはロシアの支配から離れて、アメリカと西ヨーロッパを中心とするNATOに何が何でも参加しようとしているから、ますますアメリカは正義の味方だという思いを強めているだろう。

 

 

日本人ドイツ人の左翼思想の人は平和思想を説いているが、彼らは戦勝国の国民に平和思想を伝えないといけない。だが、残念なことに彼らの多くは第二次大戦については日本人ドイツ人だけが悪いと信じている。

 

 

このように特に第二次大戦については敗戦国である日本とドイツだけを異常者の悪者扱いにして、戦勝国の方では勝利を祝ってるという状況が80年近く続いてるというのでは、いくら日本の終戦記念日である8月15日前後に戦争体験者の戦争の悲惨さを訴えても、日本とドイツ以外では反戦思想は広がらないだろう。また、日本人とドイツ人の中にも、「第二次大戦では日本人とドイツ人は多くの戦争犯罪を犯したから、日本人とドイツ人は謝罪を続けないといけない。日本とドイツが戦争犯罪国家だったから第二次大戦の悲劇が起こった」などと信じている左翼思想の人が多い。こういう人たちは日本国内だけではなくて、戦勝国民である連合国の国民、特に大国であるアメリカ人、ロシア人、中国人に戦争の悲惨さを訴えていかないといけない。日本国内だけで戦争の悲惨さを訴えて平和活動をしてもあまり意味がない。

 

 

この平和反戦思想が世界であまり広がらないという事実は、僕以外の日本人でもなんとなくわかっていることだと思うが、とにかく、敗戦国である日本とドイツ以外では第二次大戦の体験から戦争の悲惨さを学ぶという考えがあまり広まっていない。ロシアとフランスなどではナチスドイツに勝利をした5月8日(ロシアでは5月9日)が戦勝記念日で祝日となっており、さらにモスクワとパリの中心部では軍事パレードまでが行われている。その他のヨーロッパ諸国の中にもこの日を祝日としている国がある。平和思想を世界中に広めたいのなら、こういう国々が戦勝記念の軍事パレードを止めて一緒に戦争の悲惨さと平和の尊さを考えるようにもっていかないといけない。とにかく、戦争の悲惨さを学ぶ教育が敗戦国の日本とドイツでしか行われていないのでは、世界平和を考えるためにはあまり意味がない。