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役所広司さん、カンヌ映画祭主演男優賞おめでとう!

役所広司さん、カンヌ国際映画祭で男優賞受賞…「パーフェクト・デイズ」主演 : 読売新聞

 

 

 

役所広司がドイツのヴィム・ヴェンダース監督作品の「パーフェクトデイズ」に主演してカンヌ映画祭主演男優賞を受賞したが、あまりこの映画を映画館に見に行く気はしない。ヴェンダース監督の作品はちょっと難しいシナリオの作品が多いから。

 

 

日本の名男優役所広司さんが、ドイツ人のヴィム・ヴェンダース監督作品の「パーフェクト・デイズ」で、見事に主演男優賞をカンヌ映画祭で受賞しました。本当におめでとうございます。

 

しかし、このヴィム・ヴェンダース監督の「パーフェクト・デイズ」という映画を封切で映画館に見に行くかというと、あまり見に行く気はしない。むしろ、北野武監督の「首」の方を見に行きたい。こちらの方が織田信長豊臣秀吉明智光秀などを描いた時代劇で面白そうだから。

 

ヴェンダース監督の作品というと「ベルリン天使の詩」「時の翼に乗って」などがあるが、前衛的なシナリオでわかりにくい作品が多く、ドイツ人の間ですらあまり人気がない。

 

 

西ドイツ時代からヴィム・ヴェンダース監督の映画は名作が多いのだが、話がちょっと難しくて派手なアクションはない映画ばかりなのである。「まわり道」「ベルリン天使の詩」「時の翼に乗って」「パリ、テキサス」などの過去の作品は映画祭ではすごく高い評価を得ているが高い評価をしているのは有名な映画評論家、大学教授などのインテリ層であり、ハリウッドのアクション映画のような大衆受けをして全世界で大ヒットする作品はないのである。

 

1975年にヴェンダース監督で制作された「まわり道」という映画は、リュディガー・フォーグラー、ハンナ・シグラ、ハンス・クリスチャン・ブレッヒ、ナスターシャ・キンスキーという西ドイツ映画のスター俳優を集めた映画なのだが、僕もドイツ語を本気で勉強するまでこの映画の存在を知らなかった。

 

ナスターシャ・キンスキーはドイツ人女優としては珍しいほどにハリウッドで大成功した女優であり、ハンナ・シグラも「リリー・マルレーン」「マリアブラウンの結婚」などで有名な女優である。ハンス・クリスチャン・ブレッヒは戦争映画「史上最大の作戦」「バルジ大作戦」などに、優しいドイツ兵として出演している。だから、ドイツ映画の有名な俳優を集めた映画なのだが、日本ではミニシアターでしか公開されなかった。

 

理由は話が半分は現実だが半分は4次元的という、前衛的な作品だからだろう。これは「ベルリン天使の詩」「時の翼に乗って」などの、他のヴェンダース作品にも当てはまることである。主役の詩人のフォーグラーはスランプに陥って、ハンブルクから列車に乗って南部ドイツに向かう。客車の中で同じコンパートメントに座ったのは、老人のブレッヒとキンスキーが演じる口が聴けない大道芸人少女である。車掌が検札に来ると車掌はブレッヒに敬礼をする。ブレッヒは「わしは第二次大戦の時にドイツ兵で、彼はわしの部下だったんだ。ユダヤ人を何人か殺したけど、助けたこともあった」と、自分の過去を語る。フォーグラーが車窓を見ると、金髪美女のシグラが他の列車に乗っていて窓から身を乗り出して、フォーグラーにずっと手を振っている。キンスキーはませた少女なので、フォーグラーの隣に座ったと思ったら、まるで恋人のようにフォーグラーに寄りかかって本を読み始める。こういう意味不明なシーンがずっと続く前衛的な作品なのである。

 

そして、最後にバイエルン州にあるドイツ最高峰であるツーク・シュピッツェ山頂に着いたと時にフォーグラーは、自分がハンブルクを出てここに着くまでにあまりにも無駄足をしすぎた。色んな人に会って寄り道をし過ぎた。なぜ、もっと早くツーク・シュピッツェに着けなかったのかと考えを巡らすのだった。そして、フォーグラーはこの旅行のことを詩に書こうと決めるのだった。

 

ヴィム・ヴェンダース監督作品はこういう半分が現実だけど、半分が不可解な4次元的な話というわかりづらい物語が多いので、あまり全世界で大ヒットすることはあり得ない。ただし、映画評論家、大学教授などは高く評価するから、○○映画祭作品賞受賞、脚本賞受賞という作品は多い。

 

一方でドイツの映画人の中にはハリウッド映画のような大作を作りたい人もいて、「インディペンデンスデイ」「2012」などの大作だがシナリオは単純なハリウッド映画を作ったのは、ドイツ人のローランド・エメリッヒである。

 

一方で、ドイツの映画人の中には「ハリウッドに行って壮大なスペクタクル作品を作りたい」という人もいて、ローランド・エメリッヒ監督はシュツットガルト出身のドイツ人だが、ハリウッドで「インディペンデンスデイ」「GODZILLA」「2012」などの、大仕掛けで大ヒットしたがシナリオはくだらないという、いかにもハリウッド大作映画という作品を多く制作している。