トランプのいう「アメリカをもう一度偉大に」の偉大な時とはいつのこと？

トランプ新大統領は「アメリカをもう一度偉大に」というスローガンを掲げているが、アメリカが”偉大”だった時期とはいつのことを指すのか？民主党のオバマ大統領の後の大統領だから、オバマ以前の時代のことを指しているようだ。

トランプが再びアメリカ大統領になるという、アメリカ共和党が大嫌いな僕にとっては嫌な事態になったが、彼は[Make America Great Again]などという帽子を被っていて、彼の支持者もこの帽子を被っていて、トランプが演説会場に現れると[USA!USA!]などと大声で叫んでいる。この光景を嫌いな日本人はかなり多いと思う。まあ、元々アメリカ人は「アメリカ人と政府は常に正義であり、アメリカは常に正義なのだ」などと思っているようだから、このように大騒ぎするのが好きなのだろう。（苦笑）

ところで、トランプは「アメリカを再び偉大に」というスローガンをいつも掲げているが、彼の言うアメリカが”偉大”だった時期とは一体いつのことを指すのだろうか？恐らく民主党のオバマ大統領の時にアメリカは穏健的な政府すぎたから、それ以前を指すのだろうが、そうなるとジョージ・W・ブッシュ大統領の時代となり、２００１年９月の同時多発テロ、２００３年に始まったイラク戦争、その後のテロリストとの終わりなき戦争などで、どう考えても偉大だったとは思えない。

その前のクリントン政権の時は旧ソ連の自滅で東西冷戦に勝利した後で比較的安定していたが、民主党政権の時代でありトランプが所属する共和党の時代ではなかった。その前の時代というとレーガンとジョージ・ブッシュ大統領の時期だが、この頃の１９８０年代後半から９０年代前半は東西冷戦に勝ったし、アメリカが経済的も比較的に安定していたと記憶しているから、おそらくこの時代のことを指すのかもしれない。アメリカ共和党政権で偉大だった時代というと、この時代しか思い浮かばない。

ただし、８０年代９０年代の頃のようなアメリカが世界のボスという時代は、もう絶対に２度とこないだろう。ヨーロッパはEUになって一つにまとまっているし、中国も経済力を伸ばしている。だから、アメリカだけを再び偉大にというスローガンの実行は無理だろう。

ただし、今の世界の状況を見ると、アメリカが８０年代９０年代のように世界のボスという時代はもう２度と来ないと思う。ヨーロッパはEUになって通貨が統合されて一つの大きな経済圏になっているし、中国も昔に比べるとかなり経済力が伸びている。だから、今から３０年ほど前のようにアメリカが世界のボスとして独り勝ちできる時代に戻すことなど絶対に出来ないだろう。

トランプは外国からアメリカ国内に入ってくる安い輸入品、特に中国製の商品に高い関税をかけて締め出す、移民の数も制限すると主張しているが、あまりやりすぎるとアメリカ人の生活が崩れて苦しくなってしまうから、限定的にしかできないだろう。だから、アメリカを再び偉大にというトランプ政権のスローガンは前のトランプ政権でも実現しなかったし、今回の政権でも絶対に実現しないだろう。