ドイツのムンスター戦車博物館で戦車の内部を見れるのは、1年に数回ある特別なイベントの時だけで、内部を見るためには事前に博物館の係員とドイツ語で書いたメールで交流する必要がある。
「記事の概要」の説明にも書いてあるように、軍事博物館で戦車を見る時には大体が戦車の外部しか見ることができず、内部を見ることは年に数回ある博物館の特別なイベントの時だけである。
僕は2006年7月にムンスター戦車博物館に行った時に、あらかじめ数か月ほど前から博物館の係員の方々、数人とメールで連絡を取っておいた。当然、連絡のメールはドイツ語で書いて交換した。連絡を取ったのは正確には博物館の係員ではなくてドイツ連邦陸軍の予備役軍人の若者のグループで、彼らは年に数回決まった日に戦車博物館に来て戦車の保守点検をしていた。彼らは「ロンメル木箱」というグループを作っていた。また、その日にはドイツ連邦軍将校たちも博物館に集まって、自分が保有している戦車のラジコン、模型などのコレクションを戦車博物館に持ってきて、仲間と交流をしていた。
1年に数回、ドイツ現役と予備役の連邦軍兵士が博物館に集まって交流する日があり、その日に行ったら予備役兵士の人たちがⅣ号G型中戦車の整備を始めたので、戦車の中に入ることが出来た。
ドイツサッカーワールドカップが終わったばかりの2006年7月に、ムンスター戦車博物館の入り口でメールで連絡を取っていた「ロンメル木箱」の若者2人と会った。実は言うと僕は第二次大戦の時のナチスドイツ軍の国防軍の軍帽と迷彩軍服を着ていたのだが、若者2人から「ナチス時代の軍服を着るのはドイツ連邦軍の施設内では禁止されてるので、その軍帽は脱いでくれ」と言われてしまった。若者の名前は忘れてしまったので、AとBということにしておこう。でも、たしか4人ほどいたのだが、他の2人とはほとんど話をしなかった。
それで、ムンスター戦車博物館に来るのはこれが4回目だったが、いつものように展示品を見て回っていると、AとBはⅣ号戦車G型のハッチをすべて開けて整備を始めた。上の写真がその整備を始めた時の写真。それで、下の写真がオイルを並べて整備を始めようという時の写真。僕は戦車の構造にはあまり詳しくないので、具体的にどのような整備をしたいたのかはよくわからなかったが、Ⅳ号戦車を走行はさせずにモーターの点検をしたり、戦車についた汚れを油で擦り取っているようだった。
それで、外から戦車の内部が見れただけでも嬉しかったけど、そのうちにⅣ号戦車の全部の大きなハッチも開けて点検を始めた。他のドイツ人男性の訪問者が無断で前部のハッチから戦車内に入ったので、Aが注意したけどそんなにきつい口調ではなかった。だから僕も、
「戦車の中に入ってもいいのか?」
とAに質問すると、
[Kein Problem]「問題ないよ」
と言ってくれたので、戦車の砲塔のハッチからⅣ号戦車の内部に入った。僕にとっては子供の頃からの夢がかなった瞬間だった。下の2枚の写真がⅣ号G型戦車の内部を写した写真。まだ2006年だったので持っていたデジカメの性能があまり良くなかったから、良い写真は撮れなかったけど、とりあえず、この写真を見るとⅣ号G型中戦車の内部がわかると思う。
内部を実際に見てわかったのだが、Ⅳ号戦車G型では左手で75ミリ砲弾を砲身に押し込んでいた。そして、射撃した後は空の薬莢は下の袋の中に落ちたのである。Ⅳ号戦車の居住性というのは、やはり、ティガー、パンターなどに比べると良くなかったこともわかると思う。元々は短砲身の75ミリ砲を積んでいた砲塔に無理に長砲身の48口径75ミリ砲を積んだので、搭乗員が車内で動き回るのはかなり苦労しただろう。僕は文系の人間だから、ドイツ軍戦車の歴史には詳しいのだが、工学部的な技術のことにはあまり詳しくないので、この2枚の戦車内部の写真を見てもあまり細かい技術的なことはわからない。でも、兵器技術に詳しい人ならもっと色んなことがわかるのだろう。
ドイツ連邦軍将校とその家族とも会話をしたが、「日本ではナチスドイツ軍の軍服、勲章などを合法的に売買をしている」と教えたら、「羨ましい」という反応だった。
それで、Ⅳ号戦車内部を見た話はもう終わりだが、余談としてムンスター戦車博物館を訪れた日にはドイツ連邦軍将校たちが家族と一緒に集まって、自分が持っている戦車のラジコン、模型などを持ち寄って交流をしていた。一番下の写真がその時の様子である。
僕はナチスドイツ軍の軍帽と軍服を着ていたので、彼らにナチスドイツ軍の軍服を製造して販売している日本の某店舗の広告を見せて、
「日本ではナチスドイツ時代の軍服を製造して販売しても大丈夫なんですよ。国防軍だけでなくて親衛隊の軍服も売られてます。ヒトラー総統、ゲッベルス大臣の大きな写真なども売られてます」
と紹介をした。ドイツ連邦軍将校とその家族は微笑みながら、
「ドイツでは絶対にあり得ないことだ」
と言っていたけど、1人の将校は、
[Leider nicht](残念ながら、無理なんだ)
と苦笑いして言っていた。その表情には明らかに「ナチスドイツ時代の軍服、勲章類を自由に取り引きができる日本がうらやましい」という感情が出ていた。
彼らドイツ連邦軍の将校と家族は明らかに、ナチスドイツ軍に詳しくてドイツ語が喋れる日本人と会話ができて嬉しいという感じであり、ナチスドイツの時代を恥じていたり嫌っているという感情は感じなかった。やはり、今のドイツ連邦軍の中にはナチスドイツ軍時代を誇りと思ってる人がいるようだった。
最後に僕のブログを訪れてくれてありがとうございます。子供の頃からティガー戦車、メッサーシュミット戦闘機などの模型を作っているドイツ軍マニアなので、ナチスドイツ軍に関するブログ記事を他にも書いてます。さらに、ドイツで10試合ほどブンデスリーガの試合を観戦していて、ドイツサッカーが好きな方に対して色々と興味深いブログ記事を書いているので、できれば他の記事も読んでみてください。ブログ記事の感想のコメントを書いてもらうと嬉しいです。ドイツ語の勉強方法、ホームステイした時の体験談も書いてます。