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ドイツ人が指摘するサッカー日本代表の弱点

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これは、ぼくがかつて他のブログに書いた記事にちょっと書き加えた文章です。日本のサッカー選手は伝統的に身長が低くてフィジカルが弱いことを嘆いたものです。昨日は後半のロスタイムに 植田がヘディングでゴールを決めたので、日本も空中戦に強くなりつつあるけど、まだまだ外国の高身長でフィジカルが強い国には苦戦することが予想されます。写真は、今、日本代表で一番期待されてる19歳の久保建英。

1970年代に生まれた時からサッカーファンのドイツ人友達が、「日本のサッカー選手は身長が低いしフィジカルが弱すぎる」と、2006年ドイツW杯が終わった後に嘆いていた。

 

日本のサッカーを見ていていつも思うんですが、なんで、日本のサッカー選手て足が速くてドリブルは上手いけど身長が小さくてフィジカルが弱い人ばかりなんでしょうか?

僕の友達のドイツ人が、2006年ドイツW杯で日本が柳沢のQBKなどがあってボロ負けした後に仙台市内の喫茶店で会って話をしたら、
「日本人は身長が小さすぎる。身長180以下の選手は代表チームに2、3人が限度。身長が小さいとボールがキープできないし、空中戦で勝てないし、ポストプレイも出来ない。多少、足元が下手でも身長190以上の選手をチームに入れておかないとフィジカルが強い白人、黒人には勝てない」
と言っていた。僕もその通りだと思う。柳沢のQBKについては、
「それは、大舞台の経験が少ないから起こったこと。海外のプロチームのリーグ戦カップ戦で経験を積まないと克服できない」
と言っていた。

なんで、日本のサッカー選手は大きいポストプレイが出来るような選手が育たないのでしょうか?ドイツ代表のFWトマス・ミュラー、DFフメルス、GKノイアーなどは身長が180から195ほどあるので、空中戦でも競り勝ってボールを奪えるのですが、日本のように小さい選手が多いとW杯のベルギー戦でのフェライニの同点ゴールのように空中戦では絶対に勝てないでしょう。日本代表は空中戦でどういうふうに勝つつもりなのでしょうか?


ドイツ、ベルギー、北ヨーロッパの選手などは足元は下手だけどフィジカルプレイは上手です。ドイツの寝台特急でドイツ人サッカーファンと一緒に夜通しサッカーの話をしたことがありますが彼は、
「ボールリフティングというのは20回ほど出来れば十分。たくさん細かいテクを持っていても試合で使うことはあまりないから。特にブンデスの場合は大柄な選手めがけてロングパスを放り込むことが多いから、ドリブルよりもフィジカル重視。ドリブルは南米選手くらいできれば使えるけど、日本人レベルではヨーロッパでは通用しない」
と言っていた。

日本のサッカーももっと大きな選手を育成するべきなのですが、大きなスポーツ選手はだいたい野球、バスケとか他のスポーツに行ってますね。 サッカー日本代表にもっと身長の大きな選手を増やすために何か工夫をしないと将来はないですね。

 

写真下は2010年の南アフリカW杯に出場して、全盛期の頃の元ドイツ代表ルーカス・ポドルスキー。日本人にはないようなフィジカルの強さがある。こんな選手がボールを持ってドリブルで突進をしてきたら、日本の選手は吹っ飛ばされてしまう。

 

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日本代表が常にW杯に出場できるようになったのはアジアの出場枠が増えたためであり、ヨーロッパに移籍する選手が多くなったのは1995年の「ボスマン判決」のお陰で、ヨーロッパの各国リーグの外国人枠が大きく変わったから。

 

僕はサッカーの日本代表が1993年の「ドーハの悲劇」の時以来、あまり変わってないと思うけど、理由は相変わらずの決定力不足が解消されないから。ドーハの頃のカズとゴン中山のようなFWは今の日本代表にはいないし、ラモス、柱谷のような熱いハートのある選手もいない。「でも、日本代表は今は確実にW杯に出れるようになったじゃないか」という反論もあるけど、それは、98年のフランス大会から出場枠が24か国から32か国に増えて、アジアからは確実に4か国が出れるようになったから。98年のフランス大会の時も日本はアジア3位であり、ドーハの時のアジア3位と全く変わってない。

次の日韓大会の時はホスト国だから出場は決まっていたけど、実は言うと日本がアジア2位以上でW杯に出たことはそんなに多くない。2006年と2014年のW杯の時だけがアジア1位か2位でW杯に出ている。アジアの出場枠を増やしたというのは、FIFAがジャパンマネーとチャイナマネーなどのアジア市場を開拓したかったから増やしたのであって、日本のサッカーが年々確実に強くなっているとは思えない。


「日本の選手がヨーロッパのチームにどんどんと移籍しているのはどうなんだ?」という質問があると思うけど、これにも1995年にヨーロッパ人(正確にはEU加盟国)の選手なら何人ヨーロッパのクラブでプレイしてもいいというふうに規則が変わったという、「ボスマン判決」という移籍ルールの大幅な変更という大きな変化があった。

ボスマン判決の説明。

ボスマン判決(―はんけつ、英: Bosman ruling)は、1995年12月15日に欧州司法裁判所で出された判決である。 ヨーロッパ連合(EU)に加盟する国(2019年5月1日現在で28カ国)の国籍を持つプロサッカー選手は、以前所属した(前所属の)クラブとの契約を完了した場合、EU域内の他クラブへの自由移籍が保証され、その際クラブ側は選手の所有権を主張出来ず、またEU域内のクラブはEU加盟国の国籍を持つ選手を外国籍扱いに出来ない、とした。

影響

ボスマン判決以降、クラブにとっては従来の移籍金によるビジネスを行うことは難しくなった。現在では、5年や6年という長期間の契約を結んで、残った契約を買い取ってもらう方法で実質的な移籍金を得ている。逆に選手側では、移籍のハードルを低くするために長期の契約を結ばない者もいる。

一方で、EU域内の選手保有が制限されなくなったことを受けて、EU内のビッグネームの選手をかき集めることも可能になり、選手の流動化、リーグのマネーゲーム化、国際化が急激に加速することになった。ただし、こうした強化策が可能なのはごく一部のクラブに限られている。

2005年4月には、EUでの労働条件についてEU協約を結んでいるEU域外諸国[2]についても、ボスマン判決が適用される旨の判決が、欧州司法裁判所で下された。 こちらがボスマン判決のウィキペディアの説明。

ja.wikipedia.org



つまり、ヨーロッパのEU域内の選手なら何人でもクラブでプレイできるようになったので、ヨーロッパのビッグクラブは外国人を何人もスタメンでプレイさせることが出来るようになり、自然とEU外の日本人の選手もヨーロッパのクラブでプレイしやすくなった。2000年頃のバルサなどはオランダ人が6人もスタメンにいて、南米人が3人いたからスペイン人は1人しかスタメンにいなかったり、アーセナルも2000年代始めはGKのシーマン以外はスタメンの選手は全員が外国人という外人が活躍するチームがたくさん出来た。中田ヒデ、小野、稲本などが海外クラブに移籍できるようになったのも、この「ボスマン判決」のお陰だった。

 

しかし、日本代表選手が毎年チャンピオンズリーグに出場するようになったり、ヨーロッパのリーグ戦優勝チームに所属できるようになったり、確実に実力が上がっているのは確かなことだ。


もちろん、2010年以後は香川、内田、本田、長友などがビッグクラブでプレイ出来るようになって、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントにも日本人が出れるようになっているが、まだイマイチ決定力のあるFWがいない。その点では、ビジャレアルでプレイしている久保とレアルのユースにいる中井にはとても期待している。特に中井君には期待しており、身長も180センチ以上あるというので、日本人が苦手な空中戦でも使えそうだ。

 

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写真は今のサッカー日本代表。色々と厳しいことを言ってるけど日本代表には大いに期待している。ただし、2018年のロシアW杯でもベルギー戦で途中まで2-0でリードしながら、ベルギーのフェライニ(身長194センチ)のヘディングゴールなどもあって、最終的には2-3で負けてしまった。「ドーハの悲劇」の時もイラク選手にヘディングで同点ゴールを決められてしまった。空中戦に弱いという弱点を克服しないことには、日本代表は世界で勝てないだろう。