1997年のクリスマスにドイツに行ったが、この時期のドイツの日照時間は7時間以下であり、北欧ではもっと日照時間は短くて気温も低い。こういう国々では「働き方改革」「高度福祉国」という政策を進めないと、死活問題になる。
最近は日本では厚生労働省が音頭を取って「働き方改革」と言っているがなかなか進まない・だが、一方で北ヨーロッパなどの福祉先進国では働き方改革、ネットを使ったIT政府などが成功しつつある。ドイツも働き方改革、IT政府を作りつつあるが、日本はなかなか上手くいってない。そこで、日本とヨーロッパの地理的政治的違いについてちょっと説明する。
1996年のクリスマスから1997年の正月にかけて、ドイツのベルリンに兄と2人で旅行した。それで寝台特急でベルリンからルール地方のケルンに移動した時に、ケルンに午前7時半に着いたらまだ真っ暗だった。日本人の感覚ではいくら日が短い12月末でも7時半といえば日の出の時間なのだが、完全に真っ暗だった。それで、真っ暗では観光もできないからしばらくケルン駅で朝食を食べたり切符を買ったりしていると、9時過ぎになってようやく明るくなってきた。それで、ケルンから電車でライン川下りなどをしてフランクフルトに着くと、午後4時には既に日没だった。だから、日照時間は7時間もなかった。ドイツでもこのように12月末は日照時間が短いのだから、もっと北にあるフィンランドなどは日の出は午前11時頃で日没は午後2時頃で、日照時間は4時間くらいしかないらしい。上にアップした写真はドイツでとても有名で美しいニュルンベルクのクリスマス市だが、12月下旬のドイツは日照時間が非常に短くて7時間くらいしかない。それに冷帯気候だから、日本の北海道と同じくらい寒い。
だから、フィンランドなどの冬は夜が20時間くらい続く北欧諸国では、働き方改革を進めて冬の間は6時間労働とか週休3日とかにしないと、うつ病などの精神病になって自殺する人が続出する可能性が高い。北欧諸国は日本以上に福祉先進国で消費税も20%くらい取って「揺りかごから墓場まで」という福祉大国なのに、それでもまだ寒くて暗い冬の期間にうつ病などの精神病になる人がいるという。
次に北欧諸国と日本では国の規模が全く違う。フィンランドは日本の面積の90%ほどの国土面積だが、そこにたった600万人弱の人しか住んでない。ノルウェー、スウェーデンなどもフィンランドと同じような福祉大国だが、同じく日本よりも少し小さい国土に人口は1千万人以下である。北欧諸国はこのように大きな面積に1千万人以下という国民しかいないから、「小さい政府」を作ることが出来て福祉大国になることが出来る。
一番の理由は北欧もドイツも多くの天然資源が取れるので、資源を輸出すれば大金を得ることができるが、日本にはほとんど天然資源がない「加工貿易国」なので、労働者が長時間働かないと高い経済水準は維持できない。
さらに、学生時代に地理を習った人ならわかると思うが、フィンランド、、スウェーデン、ノルウェーには天然資源が豊富にある。フィンランドは木材を大量に輸出出来るし、スウェーデンとノルウェーには鉄鉱石と銅があるので、これらの天然資源を輸出するだけで大量の外貨を獲得できる。一方の日本には天然資源がほとんどない。だから、日本は資源を輸入してそれを勤勉な労働者が加工して製品を作って経済を支えているという、「加工貿易国」というふうに中学校の地理で習ったと思う。日本は天然資源がほとんどない国なので、勤勉な労働者が必死に働くしか豊かな国にはなれないのである。
僕は北欧に行ったことがなくて、主にドイツ、ポーランドでの滞在期間が長いが、ドイツは石炭が大量に取れるくにであり、ドイツでは別に原子力発電がなくても石炭による発電で十分に電力を自給自足がすることができる。
「資源が豊富にある国」といえばアラブの石油産出国だが、クウェート、カタールなどでは20歳になると誰もがベーシックインカム20万円ほどを貰える。だから、失業者でも普通に生活が出来る。
上にアップした写真はサッカーチームでも有名なメンヒェングラドバッハにある石炭の露天掘り現場だが、東京ドーム1個分どころか、東京都23区の半分くらいの面積全部が石炭の炭田であり、そこから露天掘りで次々とトラックで石炭を運び出しているのである。作業員の中には20代の金髪できれいな女性までいた。露天掘りだから何の危険もないから、若い女性も笑いながら勤務していた。このように露天掘りが出来る天然資源が取れる鉱山は、日本には残念ながらどこにもない。日本にもこのような天然資源があれば、ビジネスマンとOLが過労死したり精神病になるまで働く必要はなくなるだろう。
一番わかりやすい例をあげると、豊富な石油資源を持ち石油産出国である中東のクウェート、カタールなどでは、20歳になると「ベーシックインカム」として国から毎月15万円が支給される。これは無職の人にも支給される。だから、こういう石油産出国では仕事をしなくても普通に生活はできる。天然資源のある国はこのようにして、苦労しなくても自国の経済を支えることが出来る。
上の写真はメンヒェングラドバッハと同じルール地方のエッセンにある石炭工場の跡地に立つ博物館。世界遺産の産業遺産に登録されており、日本ではまだ江戸幕府の時代である1830年代から石炭の力で工業製品を製造していた。ドイツはこのように日本とは違ってエネルギーを自給自足できる自信があるので、時短などの働き方改革が進んでいる。一方日本は資源がほとんどない加工貿易国であり、海外から資源を輸出して労働者が勤勉に働いて工業製品を輸出しないと高度な経済水準は維持できないので、働き方改革はなかなか進んでいない。