大谷翔平は「ナオエ」で有名になった、優勝争いもできない弱小のロスアンゼルス・エンゼルスから、近所にあって優勝争いが出来るロスアンゼルス・ドジャースに移籍をした。確実にプレイオフ進出、ワールドチャンピオンも狙えるチームに移籍出来たのは、ファンとしては本当に嬉しい。
しかしながら、大谷がドジャースに移籍した年俸の金額、10年契約で7億ドル(日本円1015億円)はあまりにもおかしな大金だと思う。日本国内の有名プロ野球、Jリーグ選手の年俸はそんなにおかしな大金を選手にあげていないが、海外のメジャーリーグ、サッカー、バスケットボールなどの選手の年俸は、どう考えても個人に渡す金額ではないような大金をあげている。まあ、これにはアメリカは福祉というのがほとんどなくて、オバマ大統領の時にオバマ年金という老後の年金制度を整備しようとしたら、次のトランプ大統領になったらそれが白紙撤回されたとか、とにかく個人でお金を稼いで病院の医療費も老後の年金も全部払わないといけない国だからという事情もある。アメリカにも医療福祉制度があるけど、全部業者がやっているので、日本の国民健康保険とか、国民年金制度とかはないらしい。だから、医者に診察してもらう時も、どこかの会社の医療保険に入っていないと、医療費は全額負担になってしまう。老後の年金制度もないから、70歳位までに大金を稼がないと老後の生活は大変なことになるようだ。アメリカは大谷とかメジャーの野球選手のような強者には優しい国で、弱者にはすごく厳しい国なのである。
さらに、大谷の年金が狂ってるほどに上がった理由は海外のサッカー選手の年俸の異常な上昇も影響しているようだ。海外、特にヨーロッパのサッカー選手の年俸は既に異常に高騰しているが、それには理由があることは既に過去のブログに書いた。
deutschland-lab.hatenablog.com
簡単に書くと、ベルギーのサッカー選手だったボスマンが、1990年にベルギー人のサッカー選手だったボスマンがベルギーからフランスのチームに移籍しようとした時に、フランスのチームから「あなたはベルギー人だから外国人扱いなので、外国人3人の枠に入れない」というフランスのクラブから言われて、移籍は白紙撤回された。これには所属していたベルギーのチームからの嫌がらせもあったが、選手が移籍しようとする時にはよくあること。怒ったボスマンはEUの司法裁判所に、「私はベルギー人だがフランス語が完璧に話せるのに、外国人枠適用はおかしい。EU内なら外国人枠は適用されないように、外国人枠を見直すべきだ」と提訴した。1995年12月に判決が出て、ボスマンの前面勝訴でありEU枠内の選手なら自由にEU枠内のチームに移籍できるようになった。
この時からEU枠内のビッグクラブのマネーゲームが始まった。EU枠内の選手なら外国人枠が適用されないということは、例えば、ビッグクラブのレアル・マドリーが、当時のヨーロッパ選手権王者だったドイツ人選手を11人スタメンに並べてもOKということになるので、2000年頃のバルセロナのスタメンにはオランダ人選手が6人も並んで、スペイン人選手は2人しかいないという状況になった。もちろん、オランダ人選手6人と契約するために、バルセロナは大金を払って契約をしている。この頃からヨーロッパのビッグクラブチームは大金の年俸を提示して有名選手と契約するようになり、その金額は年俸10億円から20億円30億円と、どんどんと上がって行った。今、一番年俸が高いサッカー選手はサウジアラビアのリーグでプレイするフランス人選手のベンゼマだが、その年俸はなんと315億円である!!
もちろん、サッカー選手の年俸高騰は野球選手の大谷とは関係ないだろうが、大谷が1年間で100億円ほどの年俸が貰えるのは、「サッカー選手は年俸が100億円以上の選手がたくさんいるのだから、野球選手も100億円以上貰うべきだ」という考えが背景にあったと思う。でも、これは完全にマネーゲームであって、本当に300億円、100億円には値しないと思う。今は有名選手と契約する時にはオークションの落札みたいになってしまっている。だから、僕はプロスポーツ選手の年俸にはサラリーキャップ制度を導入して、年俸20億円程度を上限にするべきだと強く主張する。そうしないと、大谷のような超有名で有能な選手と契約できるチームは金満チームだけに限られてしまう。