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ナチスドイツの軍歌について

 

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 ナチスドイツ時代に歌われていた軍歌を紹介する。ナチスドイツの軍歌は軍歌というよりも伝統的な民謡であり、大日本帝国時代に作られた「御国のために戦おう」という歌はあまりない。

 

 

ナチス・ドイツ軍の軍歌を3曲紹介します。写真上は第二次世界大戦時のドイツ兵。
 
[Schwarzbraun ist die Haselnuss]
 
Schwarzbraun ist die Haselnuss, schwarzbraun bin auch ich, ja ich.
Schwarzbraun muss mein Mädel sein, gerade so wie ich!
*Hol-dri-o, ju-vi-du-vi-di, ha ha ha, hol-dri-o, ju-vi-du-vi-di, ha ha ha,
Hol-dri-o, ju-vi-du-vi-di, ha ha ha, hol-dri-o, ju-vi-du-vi-di.*

Kernig ist die Haselnuss, kernig bin auch ich, ja ich.
Wenn ich eine heirat'n tu, so muss sie sein wie ich.
*-* 繰り返し
 
「ハシバミの実はこげ茶色」(1番と最後だけ)
 
ハシバミの実はこげ茶色になり、僕も同じようにこげ茶色になった。僕のかわいい娘さんもこげ茶色になったに違いない、僕と同じようにね。
 
ハシバミの実には堅くて芯があり、僕も同じように堅くて芯があり、しっかりしている。僕があの娘と結婚する時には、彼女も僕と同じようにしっかりしているだろう。
 
Hol-dri-o, ju-vi-du-vi-diは、意味がない掛け声。
 
 
[Wenn wir marschieren]
 
Wenn wir marschieren,
Ziehn wir zum deutschen Tor hinaus;
Schwarzbraunes Mädel,  Du bleibst zu Haus.

*Ei darum Maedel, mein Mädel,Wink, wink, wink!
Unter einer gruenen Lialind.
Sitzt ein kleiner Fink, Fink, Fink,
Ruft nur immer: Mädel wink!*
 
Wenn wir heimkehren, ziehn wir durchs deutsche Tor herein;
schwarzbraunes Madel, dann wirst du mein.
*-*;繰り返し
 

 

「我らが行進する時には」(1番と最後だけ)
 
ドイツの門を通り抜けて、ドイツの外へ我らが行進する時には、僕のかわいいこげ茶色の娘さんは家に残る。
 
*僕のあの娘は、緑のフジの木陰でウインクするよ。アトリ(鳥の一種)が木に座って、あの娘を呼んでいるよ。*
 
ドイツの門を通り抜けて、ドイツに帰る時には、かわいいこげ茶色のあの娘は、僕のものだろう。
 
*~*;繰り返し
 
 

[Ein Treuer Husar]
 
Sie tanzten damals Polka auf dem Manöverball
Er hielt sie in den Armen, zum allerersten mal
Im Park bei hellem Mondenschein hat er sie heiss geküsst
Da sang sie ihm ein Liedchen, das kein Husar vergisst

Es war einmal ein treuer Husar
der liebt sein Mädel ein ganzes Jahr
Ein ganzes Jahr und noch viel mehr
Die Liebe nahm kein Ende mehr
 
「忠実なる竜騎兵」(1番だけ)
 
練兵場のダンスホールでは、当時、ポルカを踊っていました。竜騎兵の将校は、初めて娘さんを抱いて踊りました。公園で、明るい月光の下で、竜騎兵は娘さんに熱いキスをしました。そして、娘さんは、竜騎兵なら誰でも知っている歌を歌いました。
 
かつて、忠実なる竜騎兵がいました。彼は、年中、恋人のことを思っていました。年中ずっと、それ以上に恋人のことを思っていて、愛が終わることはないのでした。
 
 
動画を貼ろうと思いましたが、重くなるので止めました。これらの歌のメロディを聴きたい人は、面倒ですが、Youtubeなどで探してください。(苦笑)
 
 

ドイツの軍歌は伝統的な民謡が多いので、兵隊と女性の恋愛をテーマにした歌詞が多く、軍歌とはわかりにくい歌が多い。

 

これらの歌は、軍歌というよりもドイツの民謡のような歌で、ドイツでは今でもビヤホールなどでよく歌われていて、歌うのは違法ではない。歌詞を読めばわかるように、ドイツ軍歌というのは、兵隊と娘さんの恋愛をテーマにした曲が多く、
「これは軍歌なんだ」
と言われないと、軍歌とはわからない歌が多い。
 
“こげ茶色の”、“こげ茶色の娘”という歌詞がよく登場するが、ドイツを始めヨーロッパでは、こげ茶色に日焼けした肌は、昔から、最高に魅力的だと思われている、というのが理由らしい。

 
西ドイツ映画の「リリー・マルレーン」などを見ればわかるように、ヒトラーを始めとするナチス党幹部は、けっこう、ロマンチストであり、戦時下でもこういうラブソングを国民が歌うのを、好ましいと思っていたようだ。ただし、その一方で、ユダヤ人、スラブ人に対する迫害は行なわれていたのだが。下の写真はジーグリッドとマリナというドイツの女性民謡歌手で、このような美人歌手が上にあげたドイツの伝統的な民謡を今

 

でも歌っている。しかし、日本と同じようにドイツの若者にも民謡は人気がない。(苦笑)。

 

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一方でナチス党が作った「ホルスト・ヴェッセル記念行進曲」などの軍歌もあり、このようなナチス的な歌は今のドイツでは公共の場所で歌うことが禁止されてる。



このような民謡とは反対に、「ホルスト・ヴェッセル記念行進曲」、「ドイツ人の歌」(Das Lied der Deutschen)の1番を公共の場で歌うのは禁止されている。今のドイツ国歌は、「ドイツ人の歌」の3番が国歌になっていて、[Deutschland, Deutschland, ueber alles]で有名な1番は、第二次大戦後は歌えなくなった。
 
これは、「マース川からメーメル川まで、エッチュ川からベルト川まで、全てドイツの領土だ」という歌詞に問題があるから。第二次大戦敗北後、ドイツは多くの領土を失い、これらの地域がドイツ領でなくなったので、歌えなくなってしまった。
 
 
上に挙げた3曲だが、「ハシバミの実はこげ茶色」は映画「オデッサ・ファイル」の中で歌われている。「我らが行進する時には」は、映画「ニュルンベルク裁判」のオープニングとエンディングに流れる。「忠実なる竜騎兵」は、スタンリー・キューブリック監督の「突撃」という映画のラストシーンで、効果的に使われている。というふうに、ドイツをテーマにした映画で、よく使われている音楽である。
 

 

日本については、戦後に日本の軍歌を聞いた欧米人はほとんどの歌を「暗い曲と歌詞が多い」と言って嫌ったが、高木東六が作曲した「空の神兵」だけはワルツ調で明るい曲なので好んだ。


 
これは、引退したお笑い芸人の上岡龍太郎の話だが、第二次大戦後、日本に来た連合軍の軍人たちは日本の軍歌を嫌ったという。「加藤隼戦闘隊」「愛国行進曲」などの軍歌は、
「“天皇陛下とお国のために喜んで戦おう”、“新たに大アジアをつくるぞ”、というふうな歌詞が多く、メロディも陰鬱なものが多い」
というのが欧米人の感想だったという。
 
その中で、唯一、欧米人も気に入った日本の軍歌が「空の神兵」である。これは、現在はインドネシア領のメナド、パレンバンに降下した日本軍の落下傘部隊を讃える歌だが、高木東六の作曲したメロディが、ワルツ調の明るい曲だったので、欧米人にも受けがよかったようだ。

 

 

以上、第二次世界大戦時のナチスドイツの軍歌と、大日本帝国の軍歌を比べた記事を書いてみました。