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ヒトラーのために戦ったユダヤ人たち

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まだ日本語版は出版されてないが、[Hitler's Jewish Soldiers](ヒトラーのユダヤ人兵士達)という洋書があり、それにはナチスドイツ軍のために戦ったユダヤ人が15万人もいたことが書いてある。

 

よく第二次世界大戦に興味のある人は、「ユダヤ人はなんで迫害されたんですか?ナチスドイツの親衛隊はユダヤ人をどうやって見分けたのですか?」などと70年以上も経った今でも、ユダヤ人が可哀そうだと思っている人たちがネットで質問をすることがある。だが、ユダヤ人にとっては誠に都合が悪い歴史上の事実があった。少なくとも約15万人のユダヤ人がナチスドイツのために戦い働いたと言われている。ここで僕が「70年以上も経った今でも、ユダヤ人が可哀そうだ」と書いたのは、他のブログ記事にも書いたが、今の欧米では既にユダヤ人はホロコーストの犠牲者というイメージよりも、中東の問題児というイメージが強いからである。今のイスラエルの法律ではイスラエル人になれるのはユダヤ人だけであり、少数民族のアラブ人をイスラエル政府と軍隊は徹底的に虐待しているという事実がある。

 

上の写真は[Hitler's Jewish Soldiers](ヒトラーのユダヤ人兵士達)という本。この本は日本ではまだ日本語版が出版されてないが、欧米ではかなりよく知られている本らしい。

 

例えば、ドイツ空軍次官であったミルヒ空軍元帥はユダヤ系ハーフであるが、ユダヤ人なので収容所送りにすると空軍にとって痛手になるので、空軍次官に留まった。これに対しては、ナチスドイツの幹部は「ユダヤ人かどうかは、ナチス党幹部が決める」という説明をした。これを、「アーリア(ナチスドイツ政府が定めるドイツ人のこと)認定」といった。

 

 

ユダヤ人であることを隠すことが難しかったとか、ナチス・ドイツが徹底的にユダヤ人狩りを行ったように信じられているけど、事実、ナチスドイツ政府はかなりユダヤ人に対して甘い面もあった。

 

ナチスのために戦ったユダヤ人の中で一番有名なのはドイツ空軍でゲーリングに次ぐナンバー2であり、ルフトハンザ航空の初代社長であるエアハルト・ミルヒ空軍元帥の例。彼の母はユダヤ人でありミルヒがユダヤのハーフであることは、ナチス党幹部、ドイツの航空業界人なら誰でも知っていた。だが、ナチス・ドイツ政府からユダヤ人追放が始まった時に、ミルヒのような第一次大戦からのゲーリングの友達であり既にドイツ空軍の要職についていた人物は、ユダヤ系でもナチス・ドイツ政府から追放されなかった。この際、ヒトラー、ゲーリング、ヒムラーなどのナチス党幹部は、
「最終的にその人間がユダヤであるかないのかは、ナチス党幹部が決める」
という説明をしていて、
「ナチス党幹部によってアーリア人(ナチス党が定める本物のドイツ人のこと)認定を受けた者はアーリア人としてナチスドイツ政府で働くことができる」
という法律を定めた。これによって、アーリア人認定を受けてユダヤ系なのにナチス・ドイツ政府、軍で働いた者はかなりかいた。これは、ユダヤ系の血筋が少しでも流れている者を全部排除すると、ナチスドイツ政府とメッサーシュミット社、ダイムラー・ベンツ社などの巨大なドイツ企業が機能しなくなるのが確実だったからである。。ホロコーストの指揮を執ったハイドリッヒなども、ユダヤ系の血が流れていたが冷徹にユダヤ人迫害を行い、大量のユダヤ人を強制収容所に送った。

 

これは、上に写真入りで紹介している[Hitler's Jewish Soldiers](ヒトラーのユダヤ人兵士達)という洋書などに書かれている。少なくとも15万人のユダヤ人が「アーリア認定」を受けてナチス・ドイツ政府と軍隊のために働いたという。中にはSS将校となってユダヤ人迫害を行った者もいた。これは、ドイツという国がヨーロッパ大陸の真ん中にあり、中世以来、移民が多い国だったので、ものすごくゲルマン系とユダヤ系の混血が進んでいたから仕方がなかったのだろう。

 

こちらのリンクが[Hitler's Jewish Soldiers](ヒトラーのユダヤ人兵士達)のアマゾンでの洋書販売サイト。できれば、是非、日本語版を出してもらいたいものである。

 

http://ttps://www.amazon.co.jp/Hitlers-Jewish-Soldier-Descent-Military-ebook/dp/B08HSKNY7Z

 

[Hitler's Jewish Soldiers](ヒトラーのユダヤ人兵士達)という本には、ナチスドイツ政府幹部によって「アーリア認定」を受けて、ナチスドイツとヒトラーのために戦ったユダヤ系の人たちが約15万人もいたことが、詳しく書いてある。ユダヤ系ドイツ人の全員を収容所送りにすると、政府、軍、企業が機能しなくなることが明らかだったからである。

 

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上の写真はエアハルト・ミルヒ空軍元帥。彼はユダヤ人のハーフなのにドイツ空軍NO2の地位にあり、開戦から終戦までナチスドイツ軍のために全身全霊を尽くして戦った。上司であり友達でもあったゲーリングが深く関与していたホロコーストも、もちろん詳しく知っていたが、ミルヒは全くユダヤ人を救おうとはしなかった。「空軍大戦略」という映画で「ルフトヴァッフェマーチ」が流れてフランスの最前線のドイツ空軍基地を視察をするのは、ゲーリングではなくてミルヒ元帥である。

 

エアハルト・ミルヒの説明。日本語版ではミルヒにユダヤ人の父がいたかどうかはあまり詳しく書いておらず、「(ナチスの幹部が)記録を抹殺した」という程度の説明で終わっているので、英語版とドイツ版を読むことを勧める。

 

ja.wikipedia.org

こちらは「空軍大戦略」という有名な戦争映画のシーンから、ミルヒ空軍次官がナチスドイツ軍がフランスを占領した後に、フランスの空軍基地を視察するシーン。僕も初めてこの映画を見た時は、「空軍大臣のゲーリングが視察している」と勘違いしていた。

 

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