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ドイツの大学事情について(私が知ってる限り)

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ドイツの大学に入学できるのはアビチューア(日本の高卒認定)を取得した学生であり、日本のような年に1回しか行われない大学入学試験はない。日本人が留学する場合にはさらにドイツ語能力の証明が必要である。

 

 

僕はドイツの大学で勉強をしたことはないが、ドイツ人家庭にホームステイをして、さらに、ドイツ人大学教授、弁護士、医者などと知り合いだから教育事情について色々と話を聞いたことはある。ちなみに、僕がホームステイをしたシュツットガルト近郊のH家の主人はノンキャリアで、つまり、日本でいうと高卒で自動車ディーラーになって叩き上げでベンツ社の部長になったので大卒ではなかった。その家族にも大卒の人は誰もいなかった。子供たちもまあまあ頭が良かったのだが、父と同じようにノンキャリアで出世することを目指していた。

 

 

まず、ドイツと日本の大学教育で大きく違うのは入学試験はなくて、難しい高卒認定試験(アビチューア)に合格した者が大学進学の権利を持つ。アビチューアの成績によってギムナジウム(大学進学を目指す高校)の先生と大学教授と親とよく話し合いをして、それから進学先の大学が決まる。アビチューアの成績が悪いと大学入学を数年待つこともあるらしい。日本人がドイツの大学に入学したい場合には、高卒の認定とドイツの大学教育についていける程度のドイツ語力の証明が必要である。このドイツ語の試験は日本でも受けることができる。恐らく、ドイ大使館が行っているドイツ語検定試験だと、準1級か2級レベルのドイツ語力が必要であり、一般会話が出来てドイツで問題なく1人で生活が出来るレベルのドイツ語力が必要だろう。

 

 

ドイツでは学費がすごく安い公立の総合大学に通う学生がほとんどであり、私立大学は単科大学が多くて学費も高いので人気がなくて通う学生も少ない。

 

 

次に日本と違うのはドイツの大学は公立大学が多くて、私立大学は少ない。僕はシュツットガルトに約半年間滞在したが、シュツットガルト大学のような大きな総合大学は公立である。シュツットガルトの近郊にはチュービンゲン、ハイデルベルクのような観光地として有名な美しい大学都市もあるが、こういう大学も総合大学である。僕のドイツ人の友達はSという弁護士がケルン大学法学部卒で、彼の妻のMはドルトムント工科大学卒で、Wという大学教授がカールスルーエ大学理学部卒である。みんな公立大学卒であり、私立大学卒の人は誰もいない。なんでドイツでは公立大学が人気があって私立大学が人気がないのかというと、20年ほど前までは公立大学は学費が無料であり、今でも学費が安いのだが、一方で私立大学は学費が高かったからである。ドイツの私立大学というのは、アメリカのハーバード、イェール大学などの私立名門大学を真似て作られたようなので、今でもドイツではあまり人気がない。写真上は大学都市の観光地として有名なハイデルベルク市の古城。この古城は有名だから、この写真を見たことのある人は多いだろう。

 

 

 

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ドイツには日本のように東京大学を頂点とした大学のランク付けはなくて、どの総合大学もランクは同じである。大学のランク付けは大学で教えている教授の質、発表した論文の数によって毎年変わっている。

 

写真上はベルリンのフリードリッヒ通りにある森鴎外記念館。この記念館はフンボルト大学が管理をしてるが、この大学には明治時代から多くの日本人が学んだ。どうやら、日本の政府が日本の優秀な学生の留学先として指定していたようである。

 

次に日本とドイツの大学が大きく違っている点は、東京大学のような国で一番優秀な大学というのはないことである。1999年春にドイツ人家庭にホームステイをした時に「日本では東京大学が一番優秀な大学で、その次が京都大学、大阪大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、九州大学というふうに大学にランク付けがあって、出た大学の名前を聞くとその人がどれほど頭が良いのかわかる」と説明すると、家族の人たちは「それはアメリカ式の大学制度だね。ドイツでは公立の総合大学はランク付けというものはなくて、どの大学もほぼ同じだけど、学部学科によってその大学の特色が変わってくるのだよ」と教えてくれた。

 

僕の友達のSはケルン大学法学部卒だが、彼の家族はデュッセルドルフ近郊の町に住んでいたが、デュッセルドルフ大学には行かずに、「法律の勉強をして弁護士になりやすいのはケルン大学だから、ケルン大学に入学することにした」と言っていた。大学教授のWはカールスルーエに住んでいたが、幸い、カールスルーエ大学の理学部は優秀だったので地元の大学に進学することに決めたのだった。

 

ドイツでは公立大学のレベルはどこもほぼ同じだが、学部学科によって優秀な学部とそうでない学部があるというのは、その大学に在籍する大学教授と発表した論文の数によって、毎年どれほど優秀かというランク付けが変わるかららしい。日本のように優秀な教授は東京大学か京都大学に集めるということはしてないので、優秀な教授と優秀な論文を発表した数によって毎年大学のランク付けが変わる。もちろん、ベルリン、ミュンヘン、ルール地方の都市のように多くの人が集まる都会の大学、ハイデルベルク、チュービンゲン、ゲッテインゲンのような大学都市にあるような大学は比較的に優秀な大学である。

 

ドイツでは大学在籍中にどのような勉強をして、どれだけ論文を書いたかが重要なので、日本の偏差値50以下のFランク大学というのは、ドイツだと私立の職業専門学校になる。

 

でも、やはり日本と大きく違うのは、その学生が大学でどういう勉強をしてどうい論文を書いたかが重要なので、日本のような大学のランク付けはドイツではあまり存在しないようなのである。当然、日本のFランク大学のように、適当に遊んでいても単位が取得できて卒業できるような総合大学は、ドイツには存在しない。そのような学校はドイツでは大学ではなくて、私立の職業訓練学校になる。だから、日本の偏差値50以下の私立大学というのは、ドイツでは私立の職業訓練学校レベルの学校になる。

 

 

下のリンクがドイツの大学の一覧。総合大学は公立ばかりで、私立大学というのは学生数が少ない芸術大学か、日本でいうと専門学校のようなビジネス学校であることがわかると思う。

 

ja.wikipedia.org