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「引きこもり」はなぜ日本で多いのだろうか?

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「引きこもり」は英語のウィキペディアの説明によると、日本に特に多い社会問題とされている。その大きな原因は、日本には学校の入学試験と会社の新卒一括採用があり、そこで失敗すると学生にも会社員にもなれないからと説明されてる。

 

 

「引きこもり」というのは、元々は日本語で日本人に多いと言われていたが、今では「引きこもり」は[Hikikomori]という単語で英語、ドイツ語などでも使われている。10年間ほど学校にも職場にも行かず、自宅の部屋に引きこもっている人というのは日本人がかなり多いらしいが、英語の説明によると欧米諸国などにも見られるらしい。上の写真は、日本の引きこもりの若者を撮影した2004年の写真だとウィキペディアの説明に書いてあるが、日本では写真のように日本刀を個人で所有するためには許可が必要なので、かなりいい加減な写真である。そして、下が「引きこもり」の英語の説明。英語以外ににも50ヵ国語の言語で引きこもりが説明されてる。

 

en.wikipedia.org

 

英語の説明によると、日本人が引きこもりになりやすいのは、日本の社会構造と日本社会のマナーが外国に比べて厳しすぎるというのが原因とあげている。また、日本人が「恥の文化」の国であり、他人に対する体裁を重んじる国民性であることも原因らしい。例えば、ドイツを始めとするヨーロッパ諸国では20歳で高校生というのも当たり前だし、30代半ばでフリーターで恋人とダラダラと同居生活している人もよくいるが、日本ではそのような生活をしていると両親、親戚、友達からも冷たい目で見られて居場所がなくなるので、結局、ひきこもりの生活になる原因のようだ。

 

また、英語の説明では日本の学校制度に入学試験、会社制度に新卒一括採用という制度があるのも引きこもりが多い原因としている。欧米のように学校は卒業するのが難しい制度なら、20代の時はとりあえず大学か職業訓練学校に籍を置いて学生になっておけば、実際には学校に行ってなくても引きこもりになることはないし、30代でフリーター生活でも、欧米の企業は新卒一括採用というのはなくて随時採用だから、高卒か大卒の新卒で就活に失敗してもショックで引きこもりになる人はいない。また、初めの職場が合わなくて転職をしても欧米では何度か転職するのは当たり前だから、別に世間体が悪いとか恥ずかしいということはない。「30代でアルバイト生活だけど、自分に合った職場を探してる」と言えば、そういう人はけっこうたくさんいる。

 

 

さらに、英語の「引きこもり」の説明では日本のビジネスマナー、会社での敬語の言葉使いがとても厳しく決められており、数年間引きこもり状態になるとそれらを忘れてしまうから、職場への復帰が難しいと書かれている。

 

 

さらに、英語の説明は日本の敬語表現というのが他国の言語に類を見ないほど複雑であり、会社の正社員となってビジネスを始めると、挨拶をするマナー、名刺を渡すマナー、ビジネス会議をする時の席順などのマナー、電話応対のマナーができてないと取引先の人からクレームが入り、会社の上司、同僚から厳しく注意されるなど、日本以外の国ではあまり見られない厳しいビジネスマナーが存在することも、日本では引きこもりが多い理由と上げている。

 

僕はドイツにいた時には、僕と同世代の人たち、年下の人たちとは"Sie"(あなた、敬称)ではなくて、"Du"(君、親称)を用いて会話をしていた。だから、既に30歳を越えていたのに幼稚園と小学生の子供からも(君、おまえ)で呼ばれていた。でも、これは向こうの人は日本語の敬語がわからないので仕方がないこと。ドイツ人とその他の外国人は「日本語の何が難しいか?」という僕の問いに、「まず漢字はアルファベットにはないからすごく難しいけど、それ以外だと敬語がよくわからない。なんで同じ人間同士で話すのに、『あなたは敬語ができてないから、マナー知らずだ。年下なのに年上の人に敬語を使わないからマナー知らずだ』などと、意味不明なことを言うのかわからない」というふうに、不満を言っていた。だから僕は外国人には、「僕と話す時は敬語も(~さん)という呼びかけも使わなくていい」ということを言ってる。

 

「対人恐怖症」というのも特に日本人に多いので、[Taijin Kyofusho]で英語になってる。日本人は恥ずかしがりが多いので、これも引きこもりになる一つの原因になってる。

 

 

それ以外には日本で特に引きこもりが多い原因としては、日本人は恥ずかしがりやで他人と話すのが苦手な人が多いので、他人と会って会話をするのが苦手という「対人恐怖症」の人がけっこう多いことがあげられるだろう。「対人恐怖症」というのも、日本社会に存在する独特の神経質な人たちとウィキペディアでは説明されていて、[Taijin Kyofusho]も英語、ドイツ語などで使われている。「対人恐怖症」のウィキペディアの英語の説明。

 

en.m.wikipedia.org 

 

日本語の「対人恐怖症」のウィキペディアの説明の一部。

 

の文化を持つ日本において群を抜いて多く、日本に顕著な文化依存症候群とされ、海外においてもそのまま「Taijin kyofusho」と呼称されている。ただし、社交不安障害(社交恐怖)そのものは世界中で広く見られる。

 

僕も過去に何度もこのブログに書いたように、小学校卒業までは銀行員だった父の転勤に伴って引っ越す生活をしており、小学校卒業までに東京名古屋大阪に住んだから、転校が多かったせいで高校生の頃までは対人恐怖症気味だった。僕がシュツットガルト近郊に住むドイツ人家庭にホームステイをしてドイツ語を勉強した時も、ホスト家族の主人と奥さんは「うちの長男のJも非社交的な性格だけど、あなたも似てると思った」と言ってたけど、上のような理由を話したら「それは仕方がないですね。でも、日本の会社て随分と転勤が多いんだね」と言って驚いていた。他のドイツ人数人にも、上に書いたような理由でかつては対人恐怖症気味だったと書くと、「子供の頃にトラウマがあると、大人の人間形成にも悪影響が出るからかわいそうだね」などと言われた。

 

 

日本の「引きこもり」を解決する一つの手段として、学校にも会社にも行ってない人でも気楽に参加できる地域密着のスポーツクラブ、文化クラブなどを作るべきだ。

 

 

それ以外にも日本だけに「引きこもり」が多い理由は、キリスト教の特にカトリックの国の場合は教会に週に1回は行ってミサに参加する習慣があるけど、日本にはそういう宗教的な集まりがないとか、ヨーロッパの場合は年齢、職業に関係なく地元の人たちが参加できるスポーツクラブ、文化交流クラブがあるけど、日本は学校と職場の部活でスポーツ活動をするので、学校か会社に入ってないとスポーツ活動もできないなどの原因もある。とにかく、ひきこもりは複雑な問題なので1回のブログ記事だけではとてもよく説明ができないが、日本独特の引きこもりを解決するためには、ヨーロッパのように勉強してない人、仕事をしてない人でも気楽に参加できるスポーツクラブ、文化クラブなどを、地域社会の中に作ることが必要だと思う。