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松山英樹がマスターズで優勝したけど接待ゴルフが多い日本

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松山英樹がマスターズで優勝したのは嬉しいが、日本人がマスターズに参加するようになってから初優勝まで80年もかかったのは、日本では接待ゴルフをする人が多いからである。

 

 

今週の月曜日の早朝(日本時間)のことになるが、松山英樹選手がゴルフのマスターズトーナメントで優勝をした。おめでとうと言って祝福をしたい。しかし、問題なのは日本人がマスターズの大会に初めて参加をしたのは戦前のことなので、優勝するまでに約80年間もかかってしまっている。日本ではゴルフの競技人口はすごく多いのに、どうして日本人がマスターズ優勝までこんなに時間がかかったのかというと、原因はやはり日本では接待ゴルフが多くて、純粋に競技ゴルフをプレイしている人は少ないからだろう。僕の亡くなった父も大手銀行勤務のサラリーマンだったが、月に1回は接待ゴルフがあって家にいなかった。小学校の頃の僕にとっては、父は週末はいつも接待ゴルフばかりしているイメージだった。(苦笑)

 

父のゴルフのハンデは20台前半だったが、接待ゴルフというのは勝ちすぎてもダメで負けすぎてもダメなので、20くらいがちょうどいいらしい。接待ゴルフというのは仕事のお得意さんとのビジネスの一つだから、お得意さんに「勝ちを譲る」ことなどをしないと、極めて失礼にあたるという。お得意さん相手に10打差以上とかで大勝したりするとお得意さんが機嫌を損ねてしまうので、接戦になるくらいがちょうどいいらしい。お得意さんがゴルフが下手だったら、それに合わせたりする必要もあるようだ。もちろん、僕はゴルフのコースに出たことはないので詳しいことは知らない。

 

 

ドイツでは休日に接待ゴルフをプレイするのは休日出勤になるので、家族が反対するから絶対にありえないことである。また、接待ゴルフを社員に強要するような会社はない。

 

ところでこの接待ゴルフだが、ドイツなどでは絶対にありえない日本独特のビジネス習慣のようだ。僕がシュツットガルト近郊に住むH家でホームステイしたことは既に何度も書いたが、「僕の父は銀行員なのでよく週末は接待ゴルフに行きます」と言って、接待ゴルフの内容をH家の主人と奥さんに説明すると、主人は「私もベンツ社の部長だがゴルフはしないし、だいたい、日曜日に仕事関係の人とゴルフをするとか、それは仕事の一つだろ?それで給料は出ないとかおかしいじゃないか。君の父は休日もタダで仕事をさせられていたようだね。いかにも仕事が大事な働きバチの日本人という感じだ」と言って苦笑いをしていた。奥さんは「ドイツではそんなことはあり得ない。休日に接待ゴルフを強要するような会社は、辞めるように夫に言う。週末は子供の世話とか地域活動とかをしてもらわないと、主婦である私にストレスがたまる。週末も接待ゴルフに行くような夫とは、ドイツの女性は誰も結婚しないだろう」と呆れた顔をして言っていた。


世界のゴルフルール大幅改定 背景に日本の「接待ゴルフ」文化|NEWSポストセブン - Part 2

 

接待ゴルフを休日にプレイして、ビジネスの人間関係を作るという習慣がヨーロッパにはないので、ドイツ、フランス、イタリアなどではゴルフをプレイする人はあまりいない。

 

それで、恐らくここにドイツではあまりゴルフが流行してない事情があるのだろう。有名な海外のゴルファーはアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダなどの英語圏の人が圧倒的に多くて、ドイツ、フランス、イタリアなどの非英語圏のゴルファーは少ない。ドイツで有名なゴルファーというとベルンハルト・ランガーくらいである。フランス、イタリア人のゴルファーは聞いたことがない。恐らくこういう国では会社に接待ゴルフという習慣がないので、ゴルフをする人が少ないのだろう。だいたい、日本人がゴルフを始めるのは特に大手企業で接待ゴルフを強要する会社が多いので、ビジネスマナーの一つとしてゴルフを始める人が多いようだ。僕の父も大手銀行に勤務して、ビジネスマナーの一つとしてゴルフを始めた。父は昭和時代に出世をした典型的なサラリーマンだったから、接待ゴルフのマナーをよくわきまえていたようだ。

 

でも、欧米人、特に僕が知る限りではドイツでは、接待ゴルフで勝ちを譲ってもらったりして何が面白いのかという考えがあるようだ。接待ゴルフで仕事のお得意さんの機嫌を取るためにわざと勝たせたりするのは、「本音と建て前」という変わった考え方のあある日本だからこそ成立するようである。ドイツなどでゴルフコンペをして相手にわざと負けてもらったら、「別に気を使わずに本気でプレイしていいですよ」と言うのがドイツ人の考え方らしい。だいたい、接待ゴルフは最近は会社の経費削減とかで廃れてきているので、「ゴルフにビジネスを持ち込むな」という考えも最近は日本でも増えてきている。

 

「本音と建て前」が日本独特の考えという証拠。[Honne and tatemae]は英語になっており、英語に正確に翻訳するのは難しい。

 

en.wikipedia.org

 

松山英樹選手のマスターズ優勝から色々と書いてきたが、最近は接待ゴルフをする日本人が減って本気で競技ゴルフをする日本人が増えてきているので、やっと日本人も海外の大きな大会で優勝できるようになったと思う。僕の父も昭和時代から平成初期の時代に企業の中間管理職として休日に接待ゴルフをプレイしていたが、そもそも休日返上で上司や仕事仲間とゴルフをプレイする日本の接待ゴールは奇妙な習慣であり、ドイツなどのヨーロッパ諸国ではありえないビジネスマナーなのである。僕の家族は父が接待ゴルフで日曜日に家にいない時に、「日曜日なのにお父さんは今日も働いている」というふうに不満に思っていた。日本でゴルフが盛んなのはけっこうだが、休日に接待ゴルフをするというのは家族問題の一つになるので、絶対に廃止にした方がいいと思う。