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なぜプロ野球のクライマックスシリーズは必要なのか?

10年、レギュラーシーズン3位から頂点まで一気に駆け上がり、「史上最大の下剋上」と呼ばれた。写真:朝日新聞社

2004年からプロ野球に導入されているクライマックスシリーズは、4月に始まったシーズンを3位で終えたチームでも日本一になれる可能性があるという奇妙な制度だが、この制度は野球人気を維持するためには必要である。

 

 

今はプロ野球とメジャーの優勝が決まって、クライマックスシリーズと日本シリーズの話題をよくニュースで報道しているので、このテーマについて書くことにします。このテーマは一度書いたかもしれないけど今の旬のニュースだから書くことにします。

 

「クライマックスシリーズはおかしい。4月から始まったプロ野球のシーズンで、3位だったチームが日本シリーズに出て日本一になって、1位だったチームが日本シリーズに出ることすら出来ないのでは、シーズンで1位になったチームがかわいそうすぎる」という意見をよく野球を知らない人が言うことがある。野球ファンの中にもクライマックスシリーズはおかしいから必要ないと主張している人が多い。

 

上の写真は2010年にシーズンは3位だったのにクライマックスシリーズを勝ち上がって、その後に日本シリーズにも勝ってプロ野球史上初めての下剋上を達成して、日本一になった千葉ロッテマリーンズが日本一になった時のもの。でも、このシーズンのロッテは首位のソフトバンクから2・5ゲーム差しか離れておらす、3位で日本一でもそんなに違和感はなかった。

 

多くの人がおかしいと思うのは、例えば、今シーズンのパリーグは1位のソフトバンクとクライマックスシリーズに出場できる3位のロッテのゲーム差は10ゲーム以上離れているのに、シーズンでは弱かったロッテがクライマックスシリーズで1位のソフトバンクに勝って、日本シリーズにも勝って日本一になること。これはさすがに僕もおかしいと思う。それでは何でこんなおかしなクライマックスシリーズが必要なのか?

 

 

サッカーJリーグが始まって以来、海外のクラブで大活躍する日本人選手もかなり出て野球人気は下がっている。それでプロ野球で7月の時点で優勝争いから脱落しているチームのファンは、野球を見なくなってしまう。そこで3位以内に入れば日本一になれる可能性があるクライマックスシリーズを作って、プロ野球連盟は野球離れを阻止している。

 

 

その一番大きな原因は1993年にサッカーJリーグが始まって以来、Jリーグ以外にも中田英寿、香川真司のように海外で大活躍する日本人選手がたくさん現れて、サッカー人気がどんどんと台頭をして、一方で野球人気はどんどんと低下していることだ。

プロ野球でも、まだシーズン中である7月のオールスターゲームの時点で、既に首位のチームから10ゲーム差以上も離されて4位以下の3チームのファンは、もうどんなに応援をしてもリーグ優勝をして日本一になることはほぼ不可能なので、プロ野球応援はやめてJリーグ、海外サッカーなどを見始める人がいる。でも、クライマックスシリーズがあれば、4位以下のチームでもまだ3位のチームからは2ゲーム差以内なので、シーズン最後の9月まで1位のチームにクライマックスシリーズで勝って、日本シリーズにも勝って日本一になれる希望が持てる。

 

7月初めの時点で既に首位のチームから10ゲームが以上離されている4位のチーム対6位のチームの試合というのは、プロ野球では優勝争いに関係ない試合だから消化試合というのだが、こういう消化試合を失くすためにクライマックスシリーズ制度が導入されたのである。つまり、優勝できなくても3位でも日本一になれる可能性を残すことで、9月にシーズンが終わるまで日本一になれる可能性を残すことで、プロ野球ファン離れを阻止するためにクライマックスシリーズは必要だということで、日本プロ野球連盟は導入したわけである。

 

それで、クライマックスシリーズ制度が導入されて以来、シーズンで優勝をしたのにクライマックスシリーズで2位以下のチームに負けて日本シリーズに出れなかったチームはけっこうある。だから、そういうチームのファンはクライマックスシリーズはおかしいと思うだろうけど、7月以後の消化試合を減らすためには必要な制度なのである。