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なぜ、日本ではスキージャンプ選手の活躍を報道しないのか?

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日本では長野オリンピックがあった時以外はスキージャンプなどのウィンタースポーツ選手の活躍は小さな扱いだが、ヨーロッパではウィンタースポーツはすごく大きな扱いで報道されている。

 

先週の土曜日からヨーロッパではスキージャンプのワールドカップが始まった。2018年-19年シーズンでは、小林陵侑選手がスキージャンプで総合優勝をした。これがどれくらい凄いことか他のスポーツ競技で例えると、野球のメジャーリーグで日本選手がリーグ年間MVPに輝いた、サッカーでバロンドールを日本選手が取った、テニスのウィンブルドン大会で日本人選手が優勝したくらいすごいことだ。でも、なぜか、日本ではごく小さな扱いでとても残念だし、スキージャンプの選手たちが可哀そうだと思う。写真上は、年末年始にヨーロッパで行われる「4つのジャンプ台大会」(vierschanzentournee)で優勝した時の小林陵侑。この大会で優勝した選手は、スキージャンプが盛んなドイツ、ポーランドでは国民的英雄の扱いを受けるが、日本では小林が優勝した時も小さな扱いだった。

 

僕が1999年にドイツ人家庭にホームステイしていた時に、そこのドイツ人家族が大のスキージャンプファンだったことは既に他のブログ記事に書いた。当時は日本の舟木とドイツのシュミットが総合優勝を争っていた。そこの家族の50歳の奥さんは、「ドイツ人だからドイツ人選手を応援してるけど、船木選手の飛型が美しいので、見ていてとてもウットリする」と言っていたし、サッカーのブンデスリーガをあまり見ない長男の恋人も、「マルティン・シュミットが大好き」と言っていた。だから、当時は日本勢とドイツ勢がいつも優勝争いをしていたので、日本人と一緒にスキージャンプを見れたことをとても喜んでいた。

 

その後、2005年6月にもう一度その家に滞在をした時も50代の夫妻と、「ドイツのシュミット、ハンナヴァルトは精神的な病気でジャンプが出来なくなってる」、「日本のスキージャンプは長野オリンピックの後はスポンサーがつかないので、低迷している」というような話をした。ドイツはブンデスリーガがけっこう人気があるから、まだ、サッカーの方が人気があるが、ノルウェー、フンランド、オーストリア、スロベニア、ポーランドなどのジャンプ大国ではサッカーよりもスキージャンプの方が人気があり、スキージャンプの試合があると、すごい大観衆がジャンプ競技場に押し掛けることはTVを見ていてわかるだろう。

 

ドイツではフランクフルター・アルゲマイネ紙のような経済新聞でも、小林陵侑選手の活躍は写真入りで大きく取り上げられている。

 

下のリンク先はドイツのFrankufurter Algemeine Zeitung(フランクフルター・アルゲマイネ新聞)紙上の小林陵宥に関する報道。1月12日付。日本語よりも、英語とドイツ語で検索する方が小林陵宥の報道は多い。フランクフルター・アルゲマイネ新聞は日本でいう日本経済新聞のような金融関係の人が読む新聞で、それに読売新聞朝日新聞のようにスポーツ記事も少し入っている。

www.faz.net

このように、ヨーロッパではスキージャンプ選手=サッカー選手くらいの人気があるので、ヨーロッパ人は「当然、日本でもスキージャンプで盛り上がっているんだろ?」とヨーロッパ人が質問して、多くの日本人が「スキージャンプ?あまり知らない」と言うと、ヨーロッパ人はビックリするらしい。それで、日本では野球>サッカー>>>冬季スポーツという感じで報道されていると知ると、ヨーロッパ人は「日本社会に入れない」と思ってガッカリするようだ。でも、僕の友達のドイツ人夫婦は妻も野球のルールも学んで、日本社会に入り込もうと努力していた。

 

でも、野球というのは僕がまだ少年青年だった1980年代、90年代はまだWBCという野球のW杯はなくて、野球の日本代表を作っての国際試合はなかった。メジャーのアメリカ人オーナーと選手は、「野球のW杯はやらなくてもメジャーが世界一のリーグに決まっていて、アメリカが世界一強いのは決まっている」という態度だったから、サッカーのようなW杯と国際大会はなかなか開かれなかった。国際試合がないのに、日本の国内試合だけで盛り上がっていたのが野球だ。

 

日本では読売新聞がプロ野球を作り、朝日新聞が高校野球を作ったから、どうしても野球偏重の報道になってしまう。野球偏重のスポーツ報道を見直さないといけない。

 

僕も子供の頃に野球をやって遊んでいたから、野球報道に偏重しているのは仕方がない面もあると思うが、野球はスキージャンプのような国際大会の試合が少ないから、やっぱりあまり面白くない。どんなスポーツでも人気を保つには、絶対に国際試合をする必要があると思う。野球ももっと国際試合を増やさないといけない。

 

特に日本のスポーツ報道で、高校野球、大学野球のような育成段階のアマ競技の報道が過熱するというのは、ちょっと奇妙だと思う。これは、やはり、高校野球は朝日新聞が始めたのであり、他の大学スポーツ、特に早稲田、慶応の試合というと異常なほどに報道が多いのは、マスコミ関係者と重役にこれらの大学出身者が多いからだろう。こういうことは父がよく言っていた。逆に、スキージャンプなどの冬季スポーツはヨーロッパが拠点であり、日本のマスコミにコネがあまりないからオリンピックでメダルでも取らないと、報道されることが少ないのだろう。とても残念なことだ。

 

これからも朝日新聞と毎日新聞は主催者だから、高校野球の報道を続けるだろうが、それ以外のマスコミにはあまり高校野球の報道はしてもらいたくない。だいたい、高校野球なんて未成年を大人が酷使して、それを「感動ドラマ」と報道して売っているのだから本当は選手の健康管理上よくない。そのうち、「球数制限」まで導入されると高校野球で勝てる高校は一部の金持ち私立高校だけになって、甲子園大会の出場校は同じ高校だけになるだろう。