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なぜドイツは冬季五輪もすごく強いのか?

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北京冬季オリンピックが始まって約1週間が経って、競技も半分ほどが終わった。日本の金メダル獲得数は今までに2個で善戦か苦戦かよくわからないけど、とにかく日程が終わるまで頑張ってほしい。でも、女子ジャンプの高梨沙羅とスピードスケートの高木美帆とフィギュアスケートの羽生結弦は金メダルが有力視されていたので、本人たちは結果に納得していなだろう。

 

 

ドイツは北京冬季オリンピックが始まって1週間の時点で既に7個の金メダルを獲得して、国別ではトップの数である。ドイツは長野オリンピックでも12個の金メダルを獲得している。

 

 

一方で僕の大好きなドイツは既に男女合わせて7つの金メダルを獲得していて、合計だと12個のメダルを獲得している。下が2月12日(土曜日)夕方時点での各国の金メダル獲得数。ノルウェー、アメリカを抑えてドイツがランクキングの1位にいる。写真上は、リュージュ(そり)2人乗りで金メダルを獲得したドイツ男子チーム。

 

olympics.com

 

ドイツは過去の冬季オリンピックでもいつもものすごく強くて、1998年2月に日本の長野で行われた冬季オリンピックでも12個の金メダルを獲得して、ベストチームになっている。12個の金メダルのうち、女子が8個、男子が4個を獲得しているのがドイツの特徴だろう。ドイツを含むオーストリア、スイスというドイツ語圏と、北ヨーロッパ諸国というゲルマン系諸国は女性解放が日本よりもすごく進んでいるので、女性のスポーツ参加がとても盛んなのである。もちろん、1999年にシュツットガルト近郊のH家でホームステイした時にこの話を主人と奥さんに話したら、奥さんが大喜びしていた。(苦笑)

 

 

ドイツは女性解放が進んでるので女性選手がすごく強い。また、冷帯気候なのでドイツ人全員がウィンタースポーツに興味があり、アルプス山脈があるからスキー場の数も豊富である。

 

 

そのほかにもドイツは日本よりも平均気温が寒い冷帯気候なので、日本のように北海道、東北、北陸、長野県くらいでしかウィンタースポーツができない島国とは違って、ドイツではほぼ全土に雪が降るので、スキーとスケートのウィンタースポーツをほぼ全部の国民が楽しむことができる。ただし、スキージャンプ、スキージャンプとクロスカントリーの複合競技などはジャンプ台がないと練習もできないから、アルプス山脈沿いのドイツ南部出身の選手が多い。

 

ドイツ語圏の国が冬季オリンピックで強いその他の理由は、やはりアルプス山脈という世界最高のスキー場が多い地域があるので、スキージャンプ以外のスキー回転から滑降、ボブスレー、リュージュなどの練習コースがたくさんあることだろう。北欧諸国の場合はスカンジナビア山脈にスキー場が多いので、ドイツ語圏の諸国と同じ様に多くのスキー練習場がある。日本の場合はスキーの回転、大回転ぐらいはなんとか北海道、東北と長野のスキー場で練習できるが、滑降、ボブスレー、リュージュなどは専用の長いコースをスキー場内に作らないといけないので、どうしても日本のような島国では専用コースを作ることが難しい。それに、日本のような学校と企業付属の部活でスポーツをしていると、資金を集めることが難しいから、ワールドクラスのウィンタースポーツ選手専用の練習コースを作るのが難しいから、こういう特殊なウィンタースポーツでは日本チームは勝つことができない。

 

日本人がこういうウィンタースポーツで豊富なスキー場で練習できる欧米の選手に勝つためには、小学生の頃からヨーロッパに家族で移住して、ヨーロッパのアルプス山脈にあるスポーツクラブなどで英才教育を受けないと勝てないだろう。実際にコルチナ・ダンペッツオ冬季五輪の回転で銀メダルを取った猪谷千春さんは、子供の頃からあまり学校にも行かずに、第二次大戦中もスキーの練習ばかりしていたという。

 

 

ドイツのウィンタースポーツ選手はサッカー選手と同様に学校と企業の部活ではなくて、市民スポーツクラブに所属している。それで、強い選手になると大手企業がスポンサーにつくのである。

 

 

それ以外にドイツ、オーストリア、スイスというドイツ語圏の諸国がウィンタースポーツで強いのは、育成制度がしっかりしているからである。ドイツには日本のような学校・企業の部活がなくて、地域密着の市民スポーツクラブでスポーツ選手の育成をしていることは過去にも書いた。

 

deutschland-lab.hatenablog.com

 

ドイツを含めてヨーロッパ諸国には学校の部活はないので、地域密着のスポーツクラブでスポーツ選手育成をしている。日本のように日本体育大学、土屋ホーム(小林陵侑と葛西が所属)などに入学、入社して、そこから給料を受け取るという制度ではない。市民スポーツクラブだから、ウィンタースポーツで成功したい人は誰でも入ることができる。ドイツ人でウィンタースポーツで成功したい人は最初は地元の小さなスポーツクラブで練習を始めるが、冬季オリンピックでメダルを狙えるワールドレベルになると、サッカーでいうとバイエルンミュンヘンのようなビッグスポーツクラブ所属の選手となって、メダルを目指して練習をするのである。その頃には選手個人にスポンサーがつくようになる。

 

日本のウィンタースポーツ選手の場合は、アルビレックス新潟にウィンタースポーツ部があって、ここに所属して練習をしてウィンタースポーツのワールドカップを戦って、冬季オリンピックのメダル獲得を目指してる選手がいる。日本でもこういうふうにスポーツクラブ所属で、複数のスポンサーがバックアップしているウィンタースポーツ選手が増えてほしいと思う。そうしないと、強力な欧米勢に勝つことはできない。