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北京五輪の「ジャンプ混合団体」はメチャクチャな結果

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2日前に行われた北京五輪から初めて採用された種目であるスキージャンプの男女混合団体は、極めて不可解な結果に終わりましたね。恐らく、日本の高梨沙羅を含む4人の選手がスーツの規定違反で失格になるという前代未聞の結果は、これからも2度とないでしょう。僕もスキージャンプを実際にやったことはないので、なぜ国際大会に何度も参加している女性スキージャンプ選手が4人も失格になったのか、この結果について今日のブログ記事について書こうと思います。

 

スキージャンプ男女混合団体で高梨がスーツ違反で失格したと聞いてガッカリしたが、その後、女子選手4人が失格したと知ってこのジャンプ競技のルールを疑った。日本、ドイツ、オーストリア、ノルウェーという強豪国が全部失格という不可解な結果になった。

 

僕も2日前のスキージャンプ男女混合団体の競技のライブをテレビで見たけど、1回目に100メートル越えの大ジャンプを飛んだ高梨が失格になったと聞いて、とてもショックを受けた。その時は高梨と日本ジャンプチームの不手際を責める気持ちがあった。でも、その後、オーストリアの女子選手、ドイツの女子選手、ノルウェーの女子選手も次々に失格になったと聞いて、「なんかこの競技はおかしいだろ?4人の選手が5回も失格になって、金メダル候補といわれていた日本、ドイツ、オーストリア、ノルウェーが点数を大幅に減らすとか、絶対にあり得ないだろ?」と呆れた気持ちになった。そして、IOC(国際オリンピック委員会)とFIS「国際スキー連盟」を疑う気持ちが強くなった。特に、選手が飛んだ後に抜き打ちでチェックをする審判を疑う気持ちが強くなった。絶対に他の日本人も同じ気持ちだったと思う。

 

それで、試合が終わって日本は金メダルも狙えたのだが、4位という結果に終わった後にネットで日刊スポーツの北京オリンピックのサイトを見たら、高梨がなぜ失格になったのかという原因が時間が経つとわかってきた。初めはネットには「日本は1回目の高梨が失格というアクシデントがあったけど、よく追い上げて4位に入った」という記事があったし、テレビ中継でもそんなことを言っていた。でも、僕はドイツに約1年住んでいたから、「日本がよく追い上げたというよりも、金メダル候補だったドイツがアルトハウスの失格で1回目で脱落したし、同じくメダル候補だったオーストリアとノルウェーも失格者が出たので、2回目のジャンプではどの選手もやる気をなくしていた。確かに日本の選手は2回目もよく飛んだけど、他の強豪チームの脱落で4位に入れた」というのが僕の感想だ。向こうの選手にとってはメダルが取れないなら、4位でも8位でもそんなに変わらなかったのだと思う。

 

 

-15度という異常な低温で競技が行われたので十分にポンプアップが行えず、筋肉が萎縮したのが高梨がスーツ違反で失格した原因と伝えられた。日本人の高梨は自分を責めているが、他に失格したヨーロッパ人の選手たちは北京五輪の組織を責めている。

 

 

その後、日刊スポーツでは高梨のスーツ違反の明細が伝えられた。

「1回目で、北京五輪では最後の種目となる高梨沙羅(25=クラレ)が太もも回りが2センチ分、大きいとしてスーツの規定違反で失格した。日本女子チームの横川朝治ヘッドコーチは『僕らのチェックミスです』とまず高梨をかばった。『個人戦と同じスーツだったんですけど、試合前にトレーニングして、筋肉が膨らんでポンプアップするんですけど、やはり標高が高いので、寒さが厳しかった分、うまくポンプアップできなかった』と説明した。」

つまり、1回目に飛ぶ前にポンプアップという運動をして筋肉を膨らませる運動をするけど、他の日本とヨーロッパのジャンプ台に比べると標高が1500メートルと高いこと、また、当日の気温が-15度と異常に寒かったので、あまりポンプアップの運動が出来なかったのが高梨がスーツ違反で失格になった原因というのである。ポンプアップというのは、他の競技でいうならウォームアップのようなものだと思う。プロの野球選手、サッカーも、ウォームアップをして体を作ってから試合に出る。ウォームアップを行わずに試合に出ると、本来の調子を出すことができない。

 

日本の高梨選手は「私が失敗した」と自分を責めているようだが、同じく失格となったドイツのアルトハウスとノルウェーのオプセットはインタビューの中で、猛烈にFIS(国際スキー連盟)とIOC(国際オリンピック委員会)と北京オリンピック組織委員会を非難している。

「ヨーロッパと日本でスキージャンプ競技をする時は-10度以上の気温なのに、ここ北京では気温が-15度と異常に低くて、標高も1500メートルと高いから上手くポンプアップできなかったのに、スーツの検査はいつものように厳しくするのはおかしい。いつもと違う厳しいコンディションで競技をするのだから、検査も緩めるべきだと思う」

とコメントをしていて、失格になったドイツ、オーストリア、ノルウェーの監督も同じように大会の組織の仕方を非難している。

 

 

北京冬季五輪のジャンプ台は中国人の強いスキージャンプ選手がいないということもあって、ちょっといい加減に作られたようだ。ジャンプ台の雪は人工雪であり、中国人は過去にジャンプ台を作ったことがない。

 

 

 

実は言うとこの北京冬季オリンピックのスキージャンプ台については、開催前から大きな疑問があり、中国は中国人選手を誰も今シーズンのスキージャンプ大会に参加させていないのに、中国人の建築家が外国人のアドバイスを受けながら建設している。過去にも男女の中国人選手がスキージャンプのW杯で上位に入ったことは一度もない。だから、中国の北京オリンピック組織委員会にとってはスキージャンプは中国人が活躍できないはどうでもいい競技なので、ちょっといい加減に作ったらしい。その証拠に今回のスキージャンプ台は自然な雪ではなくて人工雪で作られており、競技をするジャンプ選手のことはあまり考えられていないである。

 

 

ソチ五輪の金メダリストのドイツのフォークトと平昌五輪の金メダリストのノルウェーのルンビは、今回の北京冬季五輪に参加してない。確かに彼女らは今は調子が悪いが、「チャイナリスク」も考慮してるようだ。

 

 

 

これもいい加減な仕事が多い「チャイナリスク」の一つだと思うが、今回の北京冬季五輪には2014年ソチ冬季五輪の金メダリストのドイツのフォークト、2018年平昌冬季五輪の金メダリストのルンビという、2人の大物女子スキージャンプ選手が参加していない。それ以外にも男女数人のヨーロッパ人選手は今回の五輪には参加していない。もちろん、これらの選手が最近は調子が悪いという原因もあるだろうが、大物選手は普通ならば冬季五輪に向けて調整をして調子をあげるはずである。でも、数人のヨーロッパ人選手は北京五輪のスキージャンプ台が気に入らないようで、「今までに中国でスキージャンプ競技が行われたことはないし、ジャンプのことをあまり知らない中国人が作ったジャンプ台で飛んで調子を悪くしたくない」などと考えて、北京冬季五輪への参加を見送ったらしい。

 

 

今日は2日前に起こったスキージャンプ男女混合団体で、日本の高梨沙羅を含む4人の女子選手が失格になったスキャンダルについてブログ記事に書いてみましたが、恐らくテレビでスキージャンプを見ていて同じようにガッカリした、腹が立ったという人は多かったと思います。もっとも、オリンピックにもサッカーワールドカップにも興味がなくて、スポーツ観戦をしないというマイペースな人々は、何が起こったのかよくわかってないと思いますが。(苦笑)