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ドイツの私鉄事情とは?

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ドイツには首都圏、関西のような人口が1千万人以上の大都市圏がないので、日本のように旧国鉄グループと私鉄が違う路線を走って乗客を奪い合う競争をするという鉄道の運行はどこにもない。

 

 

今日はドイツの私鉄事情について簡潔にブログに書こうと思います。

 

日本の場合だと私鉄というのは独自の路線を持っていて、特に関西地方では阪神、阪急、JRが大阪梅田と神戸間で熾烈な競争をしているが、ドイツではそのように私鉄が独自の路線を持っていて、日本のように旧国鉄のJRグループと客を奪い合っているように、私鉄がDB(ドイツ鉄道・ドイツ国鉄が1994年に民営化された)と競争をしている区間は見たことがない。

 

なぜ日本のように旧国鉄グループと私鉄が競争して乗客を奪い合ったりしないのかというと、一つの原因は人口が日本の東京近郊、大阪近郊のように1千万近く住んでいる大都市圏がないのが原因と考えられる。ドイツで1番人口が多いベルリンでも人口は350万人ほどであり、日本でいうと名古屋辺りと同じくらいである。その次に人口が多いハンブルクは180万であり、3位のミュンヘンが150万くらい。つまり、人口が日本の首都圏、関西のように1千万人もいる地方がないので、ドイツでは私鉄が独自の路線を作って、旧ドイツ国鉄であるDBグループと乗客を奪い合う競争まで行かないのだと考えられる。

 

それでは、ドイツの私鉄はどのような運行をしてるのかというと、基本的にはドイツ鉄道と同じ路線を走っている。上の写真は「メトロノーム鉄道会社」という、北ドイツのウエルツェンに本社がある鉄道会社の列車だが、この鉄道会社は基本的には電気機関車と2階建ての車両という列車を運行していて、僕が知ってる限りではハンブルクからルール地方、ハノーファーの辺りを走っている。だが、DBの路線を走っているのでDBと競争という形にはなっておらず、むしろDBと共存していてDBの運行を補完するような形で列車は運行されている。

 

 

ドイツの私鉄は独自の路線を持っておらず、旧ドイツ国鉄のドイツ鉄道の線路を走っていて、ドイツ鉄道と共存する形で運行されている。ドイツ鉄道が長距離特急を走らせる一方で主に近郊列車を走らせてドイツ鉄道の運行を補完している。

 

 

ドイツの私鉄というのは、このメトロノーム鉄道会社のようにDBの路線を使用して、DBの列車運行の隙間に運行されていて、DBの列車運行を補うような形で運行されてる私鉄が多い。日本のように独自の路線を持って、JRと競争するようなことはしていない。

 

ただし、大都市のベルリン、ハンブルク、ミュンヘン、ルール地方などには、ベルリン交通局、ルール地方都市交通局という私鉄があるが、こちらは東京都交通局、大阪市交通局のようなものだから、主にベルリン、ルール地方の都市近郊交通であり、JRの山手線、大阪環状線のような通勤電車の運行だけである。だから、ドイツでは私鉄の鉄道会社が近鉄、東武、西武のように1時間以上も走る長距離特急電車を走らせるという運行はどこにも存在しない。これが、日本との大きな違いである。

 

僕のドイツ人友達もJRに10日間乗り放題の「ジャパン・レール・パス」を持って、フィアンセと日本国内を旅行していた時に、奈良の橿原神宮を見た後に近鉄の橿原神宮前駅でこのレールパスを見せたら、近鉄の駅員に「このレールパスはJR専用なので、私鉄の近鉄では使えません」と言われて驚いたことがあったという。結局、近鉄特急にお金を払って乗ったと言っていた。(苦笑)