- ドイツでは2階建てでシートがたくさんあって、座って通勤できる電車と客車が各地方で走っている。でも、日本でもかつてオール2階建てという通勤電車があったが運用が上手くいかなかった。日本とドイツの違いとはなんだろうか?
- 日本でもオール2階建ての215系型通勤電車が1990年代初めから約10年間、東京と小田原間を走る快速アクティで運用された。しかし、2階建てなのにドアが2か所しかないので乗降りに時間がかかって定刻の運行ができなくなり、後続の電車も遅れるようになったので運用から撤退することになった。
- 結論としては、日本とドイツを比べると日本の関東と関西地方は人口が多すぎて、通勤通学ではドイツではありえないほどに乗客が電車に乗りすぎなのである。ドイツでは一番人口が多いベルリン首都圏でも名古屋都市圏よりも一回り大きいくらいだから、通勤電車にそんなに多くの乗客が乗ることはない。
ドイツでは2階建てでシートがたくさんあって、座って通勤できる電車と客車が各地方で走っている。でも、日本でもかつてオール2階建てという通勤電車があったが運用が上手くいかなかった。日本とドイツの違いとはなんだろうか?
上の写真はドイツ各地で見られる2階建ての通勤電車で、ドイツでは東西南北どこの地方でも、運行する鉄道会社がドイツ鉄道かその他の私鉄という違いはあっても、こういう2階建て車両の電車か、あるいは2階建て車両の客車5両ほどを電気機関車が牽引するという通勤列車が見られる。これが、ドイツでは典型的な通勤列車である。そして、2階建て通勤電車と通勤客車の中は日本の山手線のような縦に長いロングシートではなくて、2人掛けか向かい合わせの4人掛けシートだから、ほとんどの乗客は座って通勤通学が出来る。もちろん、終点のベルリン、ハンブルク中央駅が近づいてくると立っている乗客もかなりいるけれど。
日本でもオール2階建ての215系型通勤電車が1990年代初めから約10年間、東京と小田原間を走る快速アクティで運用された。しかし、2階建てなのにドアが2か所しかないので乗降りに時間がかかって定刻の運行ができなくなり、後続の電車も遅れるようになったので運用から撤退することになった。
上の写真はかつて215系型2階建て電車で、東京~小田原間で運行されていた快速「アクティ」。ヨーロッパで2階建ての座席数が多い通勤電車が増えていることをうけて、JR東日本も首都圏で同じような電車の運行を1989年から開始した。JR東日本はヨーロッパと同じように、小田原、平塚などの遠隔地から東京都心まで快適に座れる通勤が出来るようになると期待していたが、ドアが2か所しかないのに2階建て電車なので、乗客の乗り降りに各停車駅で時間がかかり、小田原から出て横浜を出るころには既に10分近く遅れて、他の電車の運行にも支障をきたすことが多くなった。結局、2階建て電車なのに2ドアしかなくて乗降りに時間がかかることが致命的となって、2001年12月にはこの電車は快速アクティの運用から撤退することとなり、その後はグリーン車のみが2階建てのE231系の湘南新宿ラインが引き継ぐこととなったのは、首都圏に住んでる人なら知ってると思う。
結論としては、日本とドイツを比べると日本の関東と関西地方は人口が多すぎて、通勤通学ではドイツではありえないほどに乗客が電車に乗りすぎなのである。ドイツでは一番人口が多いベルリン首都圏でも名古屋都市圏よりも一回り大きいくらいだから、通勤電車にそんなに多くの乗客が乗ることはない。
ドイツでは2階建て通勤電車の運用が上手く行っているのに、日本では2階建て通勤電車の運用が上手く行かなかった原因は、やはり都市圏の規模と人口の違いだろう。ドイツでは一番大きな都市である首都のベルリンでも人口は360万人であり、日本でいうなら名古屋都市圏よりも一回り大きいくらいである。日本の関東、関西のような人口が多くて巨大な都市圏で、通勤に電車で片道1時間もかかるような都市圏はドイツには存在しない。デュッセルドルフ、ケルン、エッセンという人口100万人ほどの大都市がたくさん集まっているルール地方はかなり大きな大都市圏だが、それでも広い地域に散らばっているので、日本の東京、大阪のように多くの人が一つの大都市に通勤通学をして仕事と勉強をすることはない。
つまり、日本の関東と関西で座席数の多い2階建て通勤電車の導入が上手くいかないのは、通勤客の数が各停車駅であまりに多すぎるので、乗降時間に時間がかかりすぎるからである。日本の場合だと小田原発東京行の2階建て電車を導入しても、特に途中の横浜駅辺りから乗降りに3分くらいかかってしまうので、2階建て電車の後続の電車も遅れることになる。僕が知る限りではドイツ、オランダで2階建て通勤電車がきちんと運用されているのは、各停車駅でそんなに乗降客が多くないから。つまり、ここでも関東と関西に各企業と各官庁を集めすぎという日本の欠点から、解決できない問題になっている。
また、最後についでに書いておくと、ドイツを始めとするヨーロッパ各国は鉄道が国境を越えてつながっているので、仮にドイツ鉄道が時間を守ってもポーランド鉄道、チェコ鉄道などの隣国の鉄道が時間通りに運行されていないと、その運行の遅れがドイツの鉄道にも影響するので、ヨーロッパでは鉄道が何日間も時間通りに運行される方が稀なことだ。だから、通勤電車が遅れて20分ほど遅れて職場に着いても、「鉄道が遅れるなんてよくあるから仕方がないね」で済まされる。日本のように10分近く遅刻をしたくらいで、わざわざ鉄道会社に遅延証明書の発行を頼むということはない。(苦笑)