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LRT(次世代型路面電車)が宇都宮で試運転をしたという

 

 

 

宇都宮市で昨日LRT(次世代型路面電車)の試運転があったというが、ドイツでは低床車両のLRTが20年ほど前から人口30万人以上のほとんどの都市で運行されている。低床なのは子供、老人、障害者が楽に乗降りするためである。

 

 

LRT[Light Rail Transit](次世代型路面電車)が昨日宇都宮で試運転をしたとニュースになっているが、ドイツでは既に20年ほど前からLRT路面電車は運用されており、しかも子供、老人、障害者にも優しい乗る時の段差が低い低床路面電車で運用されてる。

 

ドイツではこれらの市か業者が運営する路面電車の財源を、国民の税金で確保している。ヨーロッパの多くの都市では地球温暖化対策のために街の中心部には車は立ち入り禁止になっていて、市民はパーク・アンド・ライド路面電車で街の中心部に来るが、低床路面電車の運営資金確保のために消費税は15~20%に設定されてる。だから、ヨーロッパで一人旅をしていてレストランで夕飯を食うとどうしても1000円以上かかる。それでも市民は「地球温暖化と社会で弱い人を守るために、低床路面電車は必要だ」と言って、高い消費税には文句は言わない。

 

 

写真を見ると低床ではないように見えるが、道路と段差がない路面電車の駅に着くとドアの下から階段が出てきて楽に乗降りできるようになってる。さらに、この電車はドイツ鉄道の路線も走れる。日本でいうと都電荒川線東海道本線を走るようなもの。

 


これがドイツのハノーファー市の低床路面電車。低床ではないように見えるが、駅に着くとドアの下から階段が出てきて、子供、老人、障害者でも乗り降りが簡単に出来るようになってる。床が高いのはハノーファー市の中心部では路面電車か地下鉄となって段差がない駅に止まるが、郊外地区では普通の4両編成の電車となって段差がある普通の駅に止まるからである。僕が知る限りではこのように中心部では路面電車で郊外では普通の電車として走る鉄道はハノーファー以外にもシュツットガルトデュッセルドルフ、ケルン、ミュンヘンカールスルーエなどの都市にもあった。恐らく、ドイツのほとんどの大都市にあるだろう。

 

そして、ドイツ南部のシュツットガルト辺りでは、こういう路面電車がなんとDB(ドイツ鉄道)の普通の路線を走ることさえある!!日本でいうと路面電車都電荒川線東海道本線東北本線の線路を走るようなものである。そんなことが日本で考えられるだろうか?ドイツではドアの下から階段を出すという高い技術によって、それを可能にしてるのである。さすがは第二次大戦末期にジェット戦闘機、V1V2ロケットという世界初のミサイルを実戦に投入したという技術大国ではある。実は言うとドイツの路面電車福井鉄道広島電鉄路面電車でも使用されており、鉄道車両については今でも「ドイツの技術は世界~!」のようである。

 

 

僕のドイツ人の友達は「地球温暖化を止めるためにも、車の排気ガスを減らさないといけない。そのためには日本でも、昭和時代まで走っていた路面電車をどんとんど復活させて走らせるべきだ」と言っていた。

 

 

それから、路面電車宇都宮市で75年ぶりに新規開業するようだが、ドイツでは路面電車路線の新規開業が21世紀に入ってからどんどんと相次いでいる。東北大学に6年勤務していたドイツ人弁護士の友達は今ではドイツ南部のウルム市に住んでるが、2015年に彼とウルム市で会って話をしたら、「ウルムの路面電車は今は1路線しかないが、数年後には3路線に増やす計画なんだ」と言っていた。

 

また彼は、「東北大学がある仙台のような人口が100万以上の大都市には、JRと地下鉄だけでなくて路面電車も必要だ。昭和50年までは仙台には路面電車があったというのに、なんで廃止にしてしまったのか不思議だ。他の日本の都市でも人口が30万人以上の県庁所在地の都市では路面電車を走らせるべきだ」と言っていた。それで、僕が愛媛県の松山、広島県広島市のように路面電車が走ってる都市の写真を見せると、「路面電車が走ってるなんて素晴らしい街だ。仙台もこういう街を見習うべきだ」と言っていた。

 

とにかく、LRTの低床路面電車路面電車網を日本各地の都市で走らせることは、大都会での車の数を減らして地球温暖化を止める鍵となるだろう。