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ドイツの学校ではいじめは少ないが、他の問題がある

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ドイツの学校でもいじめはあるが、いじめられっ子といじめっ子と彼らの両親と先生が集まって、何度も話し合いをして解決している。


1999年春に、シュツットガルト近郊に住むH家にホームステイした時のことだった。その家のJという名前の長男(25才)と夜に談笑しているとJは、
「オレはギムナジウム(ドイツの中高一貫の公立学校)にいた時にいじめられていたんだ。とてもつらかったよ」
と言った。僕も、日本の学校でいじめられたことがあったことを告白した。ちなみに、ドイツ語ではいじめは[Mobben](モッベン)という。

次の日の朝食時に、その家の奥さん(Iさん)といじめについて会話をした。
僕「長男のJは、ギムナジウムでいじめられていたそうですね。僕もいじめられたことがありますが、どうやって克服したのですか?」
奥さん「私が、Jをいじめていた子供とその子の母親、それに、学校の担任の先生に電話してここに来てもらって、Jも含めた5人でここの食卓で話し合いをして、それで解決しました。あなたも日本の中学校でいじめられていた時は、両親が仲介して解決してくれたんでしょ?」
「いえ、両親には言いませんでした。日本の場合、親、先生に言いつけると、もっといじめがひどくなるので。『お前が先生と俺の両親に言いつけたせいで、オレが叱られたじゃないか!このバカ野郎!』というふうに」
「なんで?子供がいじめられたら、親、先生などの大人に相談して、それで解決してもらうのがドイツでは当たり前のことです。確かに、親と先生に言いつけても、またいじめられるかもしれないけども、何度も繰り返して注意すればいいんじゃないですか?子供は残酷でバカだから、一回叱っただけでは言うことを聞かないけど、いじめはよくないんだと、何度も周りの大人が注意すれば、そのうちに収まるんじゃないんですか?うちの場合はそうやっていじめを止めさせましたけど」

ここまで奥さんと話をして、僕は地域社会が崩壊している日本と、まだ地域社会全体で子供を育てようという雰囲気のあるドイツの違いを実感した。いや、恐らく、ドイツだけではなくて、ヨーロッパ全体がまだ地域社会が壊れていないのだろう。

 

ホームステイ家族の奥さんは、なんで、日本の学校ではいじめの当事者の子供たちと彼らの両親と先生が話し合いをしないのかが、理解できなかった。「日本人はおとなしいらしいけど、もっと話し合うべきなのでは?」と言っていた。


僕「日本人はほぼ単一民族であり、島国で“村社会”と言われています。日本人同士でケンカをするのはあまりよく思われないので、学校の同級生、先生などと激しくケンカをする親はあまりいません。それに、日本の親というのは世間体を気にする人が多いので、PTAの会合の時に他の親にも迷惑がかかるなどと考えて、子供がいじめにあっていると知っていても、学校に何度も相談に来たりはしません。先生も、自分のクラスでいじめがあると外部に知られると困るので、何とか穏やかに解決しようとします。その結果、いじめがなかなか解決しないようです。僕の場合も、いじめっ子がいじめに飽きるまで、いじめは半年近く続きました」
奥さん「・・・・・。何だかよくわかりませんが、日本人はシャイで恥ずかしがりであまり話をしないのは知っています。あなたの両親も他の日本の親たちも、おとなしいので、学校の他の生徒たち、先生たちとケンカをしたくないようですね。でも、それでは、子供がケンカをしたら誰が止めるのですか?自分の子供が危険な目に遭っているのに、親はただ傍観しているだけなんですか?」
「まあ、だいたいそんな感じですね。親は黙って傍観していることが多いです。それに、子供も親に迷惑をかけたくないので、『いじめられている』と親には言わないことが多いです」
「ドイツ人の私には、さっぱりわかりませんね。自分が生んだ子供が可愛いのだったら、どんなことをしてでも守るのが親の務めだと思うんですけど」


この僕とドイツ人の奥さんの会話を聞くと、草食系の日本人と肉食系のドイツ人の違いがはっきりとわかると思う。ちなみに、奥さんはナチスドイツ軍の兵隊の娘であり、年齢は50才で金髪で、身長が170ちょっとあり、常にサングラス風の眼鏡をかけていた。中年の日本女性と比べると大柄で、当然、気の強い人だった。でも、ドイツ人女性の中では普通なのかもしれない。


日本のいじめというのは、親、先生に言いつけると、余計に問題がこじれるのを子供も知っているので、子供も周りの親にSOSのサインを出さないことが多いが、これが問題をさらにややこしくしている。先に書いた会話に書いてあるように、ドイツでは親、先生などの周りの大人に言えば、大人たちは根気強くいじめが止むまで、いじめっ子を注意する。他に聞いた話では、自分の親が頼りなかったので、第二次大戦中はドイツ兵だったというおじいさんに学校に何度も来てもらって、それでいじめを解決したと言っていたドイツ人のメル友もいた。

日本は「恥の文化」「村社会」の国なので、いじめを解決したいという気持ちはあるのだが、「自分がいじめに対して声をあげると、他の人たちに迷惑をかけるのでは?」などと思って、遠慮する気持ちがあるようだ。


話は飛ぶが、僕の父は、
「日本人は『恥の文化』が強すぎるから、いじめなどの対人問題は解決できない」
ということを言っていた。父は典型的な昭和のサラリーマンであり、会社での自分の出世が大事だったので、学校での子供たちのいじめ問題にはあまり興味がなかったが、1990年代のある日、父の母校の大学で開かれた「恥と日本人」という内容の講演会を聞いてきて、とても納得していた。

父「『日本人は恥らいが強くて世間体を気にしすぎるから、社会生活がうまくいかないのだ』と、今日の講師は言っていた。全くそのとおりだ。学校でのいじめに大人もみんな心を痛めているのに、実際に学校に怒鳴り込みに行く親がほとんどいないのは、『恥ずかしい』、『世間体が悪い』という気持ちが強いからなんだろうな。欧米の白人、黒人というのは、日本人ほど『恥ずかしい』とは思わないから、自分の子供がいじめられたらすぐに学校に怒鳴り込んで、『ウチの子供をいじめたのは誰だ!』と叫んで、犯人探しをするんだそうだ。日本の親も先生も、恥ずかしい、世間体が悪いという感情を捨てて、子供を守るために何でもしないとだめなんだ。日本人が恥じらいの心が強いのは美徳と言う人もいるけど、やっぱし、致命的な欠点だろうな」
ということを、父は何度も頷きながら言っていた。

 

 今のドイツでは増加する移民によって、伝統的なドイツ社会が乗っ取られるという問題が起こりつつある。移民が増えすぎた都会では、昔からのドイツ人住民が田舎に引っ越すという現象も起こっている。

 

しかし、ドイツの学校もいじめがなくて何の問題もないのかというと、他の問題がたくさんある。2006年から2012年まで東北大学に勤務していたドイツ人弁護士のSとその妻のMと、友達として付き合っていることは既に他のブログでも書いたが、彼らがドイツのウルム市に帰った後に、息子のKが小学校に入学することになった。Kが小学校のクラスに入ってみると、20人いるクラスの中にK以外でドイツ語がしゃべれるドイツ人の子供が3人しかおらず、その他の子供は移民の子供だったというのだ。Kはまだ6歳だから、ドイツ語でしゃべれる友達がいないので学校に行くのがいやだと言い出したので、両親のSとMはもっとドイツ語がしゃべれる子供が多い小学校を探して、ウルム市から少し離れた田舎町に引っ越しをしたという。

 

他のドイツ人友達のPも、「娘が小学校に入学した時に、ドイツ人の子供が多くて子供が安心して通学できる小学校を探して田舎町に引っ越した。今のドイツの都会はイスラム圏とアフリカからの移民と難民が多すぎて、ドイツ語がしゃべれる子供の友達が少ないし治安も悪いから、安心して子供を育てるには向いてない」と言っていた。

 

つまり、今のドイツを始めとするヨーロッパ諸国では、いじめよりも増加する移民と難民の子供をどう教育するかが問題であり、第二次大戦からドイツに住んでるような伝統的なドイツ人たちはイスラム圏、アフリカなどからの移民と難民によって都会で安心して暮らすことが出来なくなり、やむを得ずに治安のいい田舎に引っ越す人が増えているのだという。これは、ドイツ、フランス代表のサッカーチームを見てもわかることで、イスラム系と黒人の選手がとても多い。30年ほど前のドイツ代表チームと比べればすぐにわかることで、今は伝統的なゲルマン系ドイツ人の選手が減ってきている。これをメルケル首相のドイツ政府は、「移民政策の成功の例」として自慢しているが、これは一部の才能がある移民はドイツ社会に上手く溶け込んでいるというだけで、「移民政策の成功の例」とは言えないと思う。

 

増加する移民問題は、ヨーロッパだけでなくて日本でも深刻な問題になりつつある。無計画に移民を受け入れるのは危険である。

 

この増えつつある移民問題は日本にとっても「対岸の火事」という状態ではなくて、特に、東京、大阪のような大都会、それに福岡、長崎などの九州に住んでいればよくわかると思うが、西日本の都会では中国人、韓国人、それ以外の東南アジア人の移民がすごく増えている。僕も去年の春に佐賀と福岡に旅行した時に、繁華街では中国語を大声で話す中国人があまりにも多いので驚いた。

 

これからは日本も学校のいじめも問題だけではなくて、移民の子供をどう教育するかという問題に対処しないといけないだろう。特に中国は人口が14億人もいるので、このうちの1千万人以上が日本に移民として移住して来ると、共産主義を信じる中国人だらけになってしまい、下手をすると日本という国が中国人に乗っ取られてしまうかもしれない。既にヨーロッパ諸国ではイスラム圏からの移民に大都市が乗っ取られつつあるので、日本も移民対策を色々と考えないといけない。

 

イラストの上は学校でのいじめのイメージ。下はイギリスがEUから離脱したイメージで、イギリスのEU離脱からの理由の一つが、「ヨーロッパは一つである」という考えで作られたEUから、強制的に移民と難民を割り当てられることである。EUの決定で「イギリスは今年は〇〇万人の移民と難民を受け入れないといけない」と命令されると、これを拒否することは出来ずに独自の移民政策が出来ないので、イギリスは国民投票でEUから離脱することを決めた。

 

 

最後に、僕のブログを訪れてくれてありがとうございます。この記事のようにドイツ人家庭にホームステイして滞在した時と、その他のドイツ人と交流した時の体験談以外にも、ドイツで10試合ほどブンデスリーガの試合を観戦していて、ドイツサッカーが好きな方に対して色々と興味深いブログ記事を書いているので、時間があったら他の記事も読んでみてください。感想のコメントを書いてもらうと嬉しいです。ドイツ語の勉強の方法、ナチスドイツ軍に関する記事も書いてますし、これからもそういう記事を書いていきます。

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