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ナチスドイツに関する明らかに間違った説明をネットに書く人

アドルフ・ヒトラーの演説一覧 - Wikipedia

ヤフー知恵袋で、「ヒトラーが選挙でドイツの首相に選ばれた時は既に第一次大戦の敗戦から15年も経っていて、第二次大戦後の日本なら高度経済成長期に入りつつあった時期だから、ヒトラーを選挙で選んだドイツ人には選民思想が強いとか、特別に残酷な国民性がある」という間違った説明を書いているバカがいた。

 

 

僕は数年前までたまにヤフー知恵袋で特にナチスドイツに関して質問をしたり、また他人が「ドイツ人はどうしてヒトラーの率いるナチス党なんかを、民主的な選挙で選んだのですか?」と質問をしていると、それ回答したりしていた。僕の回答はまあまあ他の人からも褒められていて、「ベストアンサー」に選ばれることもあった。

 

ところが僕が、「日本とナチスドイツは同盟していたから、日本人はドイツ人の悪口を言うべきではない」というようなことを、質問への回答に書いていると、ある人が「それなら、あなたはナチス党のおこなった精神障害者を無差別に殺害したT4作戦も批判しないのですか?精神障害者と先天的障害者を強制的にガス室で安楽死させたのは、どう考えても残酷ですよ」と嚙みついてきたので、「日本でも戦前の精神障害者、先天的な障害者などは座敷牢に閉じ込めてしまったり、精神病院にまとめて入院させただけで立派な福祉政策があったとは思えない」などと僕も反論して、ちょっと議論になったけどここでは割愛する。

 

それで、彼のナチス党党首のヒトラーが1933年1月30日にドイツの首相に選ばれたことにたいする説明というのは、明らかに知識不足で間違っていた。彼はこんな説明をYahoo!知恵袋で書いていた。

 

1933年というと既に第一次世界大戦が終わって15年も経っているから、第二次世界大戦に昭和20年(1945年)に敗戦した日本に置き換えると昭和35年(1960年)になる。この頃の日本は朝鮮戦争による特需が終わって高度軽罪成長が始まる頃で、既に昭和39年に東京五輪が開かれることも決まっていた。だから、いくらヴェルサイユ条約による賠償金支払いがあるといっても、ドイツ経済も回復していたはずだし、現にヒトラー政権が成立した後に1936年にはドイツのベルリンで五輪が開かれているから、当時のドイツが経済的に困っていたということはないだろう。だから、ドイツ人には他の人とは違う何か特別な選民意識とか残酷な考えがあるのだろう。

 

 

正しい説明は第一次大戦後のドイツにはヴェルサイユ講和条約ですごい金額の賠償金が課せられており、また、第一次大戦後に落ち着いてきた時に1929年に世界恐慌が発生したから、第一次大戦で敗戦したドイツでは政治も経済も大混乱となって、国民はヒトラーのナチス党のような強気な政党を選んでしまったのだった。中途半端な知識しかない人は、ヤフー知恵袋などで回答するべきではない。

 

 

現代史に少し詳しい人達なら、この説明は全くおかしいということに気づくだろう。まず、ヴェルサイユ条約による賠償金はドイツが50年支払い続けても払えないようた。金額である。だから、第二次大戦後は敗戦国である日本とドイツに賠償金を支払えということは、米英などの戦勝国は主張しなかった。賠償金の支払いを日本とドイツに要求すれば第三次世界大戦の原因となるからである。ただし、毛沢東の中国とスターリンのソ連は不満だったらしいが。

 

次に、第二次大戦後の日本は大した経済危機に面することもなしに高度経済成長を果たすことが出来たが、第一次大戦後のドイツはやっと経済回復が始まった頃に、1929年にニューヨークでの株価暴落から始まった世界大恐慌があり、特に第一次大戦に負けたドイツは再び経済が大混乱になった。そこで、混乱したドイツでは極端な政治主張の極右のナチス党対極左の共産党しか国民が信用できる政党はなくなり、1932年11月の選挙の後にヒトラーを首相として指名することが決まったのだった。

 

先に書いたドイツ大嫌いの彼の説明は第一次大戦後のドイツを第二次大戦後の日本に置き換えただけで、第一次大戦の講和条約だったヴェルサイユ条約がいかにドイツにとって残酷なものだったか、また、1929年に世界大恐慌があったということを全く考慮に入れていない。こんなバカな人はヤフー知恵袋などで間違った説明をするべきではない。

 

以上、ヤフー知恵袋で歴史とかあることを説明するなら、絶対に間違った知識を持った人が説明をするべきではないという記事を書きました。