Deutschland-Lab

Deutschland-Lab

歴史や文化、スポーツなどドイツに関する情報まとめサイト

まとめ記事(8)映画「バルジ大作戦」の舞台となったバストーニュ訪問

 

今日も過去に書いた記事の中からまとめの記事を書きます。今日、再びアップして紹介をするのは、映画「バルジ大作戦」で有名になったベルギー・アルデンヌ地方にあるバストーニュの町を訪れた時の記事です。この記事は去年のクリスマスの頃に書きまし

 

た。

 

 

1944年12月に行われたバルジの戦いの舞台となったベルギーのアルデンヌ地方にあるバストーニュ市を訪れた時の様子を、過去にブログ記事に書いたので紹介する。

 

 

deutschland-lab.hatenablog.com

 

この戦いはどういう戦いだったのかというと、1944年12月に西からは米英連合軍、東からはソ連軍というふうに、東西から連合軍に追い詰められたナチスドイツ軍は主にヒトラー総統とヒトラーに忠実な将軍たちが中心となって、[Die Wacht am Rhein](ラインの守り)作戦を発動したのだった。ドイツ軍の目標はベルギーのアントワープであり、ベルギーに展開するイギリス軍と南に展開するアメリカ軍の真ん中に楔を打ち込むことによって、米英連合軍を分断して混乱させて戦局を挽回するのが目的だった。米英連合軍が混乱している間に、ジェット戦闘機、電気潜水艦、大量のV2ロケット、さらに最終的にはミサイルに原爆を積んで飛ばすという[Wunderwaffe](奇跡の兵器)を大量に使用することで、ヒトラーは一挙に戦局を挽回するつもりだった。

 

だが、実際は作戦が始まる前から攻勢の指揮を執った西方総軍司令官のフォン・ルントシュテット元帥ですら、「この作戦は絶対に成功しない」ということがわかっていたという。1944年当時のドイツ軍と米英連合軍の戦力差はあまりにも圧倒的であり、実際にはドイツ軍はアルデンヌ地方で攻撃を始めてから10日間ほどで、作戦は失敗が明らかとなった。ドイツ軍はこの作戦で貴重な機甲部隊主力の多くの戦車を失い、ナチスドイツの降伏を早める結果になった。

 

 

バストーニュが有名になった理由はここで米独軍の激しい攻防戦があったからであり、さらに、包囲されたアメリカ軍に対してドイツ軍は降伏を促したが、米軍司令官は[Nuts!](バカめ!」という回答をしたので有名になった。

 

 

バストーニュがなぜそんなにバルジの戦いの中でも有名なのかというと、米軍の第101空挺師団とドイツ軍第5機甲軍との間で激しい戦いがあったからである。101空挺師団長のテイラー少将は不在だったので、代わりにマッコリーコフが師団の指揮を執っていた。ドイツ軍の降伏勧告に対してマッコリーコフが[Nuts!]「バカめ!」と答えたのは、第二次大戦史上であまりにも有名な話である。この話はアメリカ兵の勇敢さを示すエピソードとして知られてるが、ドイツ軍が降伏勧告をした12月22日には、12月16日から大攻勢を始めたドイツ軍の弾薬、食料が不足し始めており、状況はアメリカ軍側に有利になりつつあることをマッコリーコフは知っていたので、冷静に判断して[Nuts!]という回答をしたのだった。

 

それ以外にも、パットン中将の率いる第3軍が南から信じられないような長い距離を行軍して、ドイツ軍を南側から攻撃をしてバストーニュの町で孤立していた101空挺師団を救出したことなどが、バルジの戦いでは有名な話である。だから、バストーニュの町中には至る所にアメリカ軍の博物館、記念碑などがある。一番上の写真も、バストーニュ市の中心広場に展示されている米軍M4戦車である。バストーニュの戦いで最初に破壊された米軍戦車だという。バストーニュ市もバルジの戦いの激戦地だったこと以外はあまり観光資源がないので、アメリカ軍と提携しつつアメリカ軍を称える博物館と記念碑を立ててるようだった。

 

f:id:novaluewriter:20210312141244j:plain

 

さらに、おまけという感じでもう一つ過去の記事を紹介する。

 

 

deutschland-lab.hatenablog.com

 

 

僕が過去に他のブログで若い女性たちと交流していた時に、「ナチスドイツがひどいことをしたことはよく知ってますが、第二次大戦の戦争映画は連合軍が勝ってドイツ軍が負ける話だけですが、ドイツ軍が勝つ話はないのですか?」と質問されたことがある。彼女たちには、日本ではあまり知られてないドイツ制作の戦争映画を紹介した。

 

 

僕がかつて他ののブログで色んな人と交流をしていた時に、戦争映画とアクション映画が好きな女子高生と女子大生からこういうメッセージを貰いました。
「あなたはナチスドイツ軍に詳しくてドイツ語も喋れるので、質問してよろしいでしょうか?ドイツ軍は第二次世界大戦の途中までは勝っていたのに、なんで、ドイツ軍が勝つ戦争映画はないのでしょうか?第二次世界大戦の戦争映画というと、いつもハリウッド制作の連合軍勝利の話ばかりなので、ワンパターンで飽きました。ハリウッドにはアメリカ人、特に『プライベート・ライアン』を監督したスピルバーグのようなユダヤアメリカ人の監督が多いから、ドイツ軍が勝つ映画の制作は無理なのでしょうが、ドイツ製の映画でドイツ軍が勝つ映画はないのでしょうか?

Uボート』『ヒトラー最期の12日間』はドイツ制作映画で既に見たけど、やはり、ナチスドイツ軍が負ける話でした。『遠すぎた橋』はドイツ軍が勝つ話だったけど、ドイツ軍が勝ってしまって残念だみたいな終わり方でした。『バルジ大作戦』ではドイツ軍機甲部隊が無敵の強さで快進撃をして、『この映画では最後はドイツ軍が勝つんだろう』と確信しましたが、最後は戦車の燃料切れというビックリする終わり方でドイツ軍が負けました。

 

私は別にネオナチとかヒトラー崇拝とか危険思想の持ち主ではなくて、政治的には平和主義者で外国人と仲良くするべきだと思っているし、日本軍とドイツ軍が残酷な戦争犯罪をしたことも知ってます。ですが、いつも連合軍が勝ってドイツ軍が負けてばかりで、なんかドイツ軍が可哀そうに思えます。最近はハリウッド制作の戦争映画を見ると、ドイツ兵と日本兵がいつも悪役で可哀そうだとすら思います。ドイツ製の戦争映画などでドイツ軍が勝って、ドイツ兵とドイツ人が喜んでハッピーエンドという変わったストーリーの映画はないのでしょうか?」

 

それで彼女たちに、「やはり第二次大戦でドイツ軍が勝つ映画を作るとユダヤ人団体、その他のナチスドイツによって酷い目にあった国々から抗議が殺到すること、また、ドイツ国内でも反ナチスの法律が厳しくて、ナチスドイツ軍を称えるような映画を作って映画館で上映することはできない」と教えると、彼女たちはがっかりしていた。でも、「撃墜王アフリカの星」、「スターリングラード」(1993年製のドイツ映画)、「ジェネレーション・ウォー」(原題は[Unsere Vaeter, Unsere Muetter](我らの父親たちと母親たち))などのドイツ映画を教えてあげると、けっこう喜んでいた。写真上は「バルジ大作戦」のワンシーン。主人公のドイツ機甲部隊隊長役のへスラー大佐と、ケーニクスティガー戦車のつもりで大量に出演しているアメリカ軍のM47「パットン」戦車。