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なぜ日本人にはドイツ軍びいきが多いのか?

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僕のように、日本人だけど第二次大戦のドイツ軍ファンという人はかなり多い。その大きな理由は、日本はヨーロッパでドイツ軍が勝つことを前提として戦争を始めたからである。

 

日本の軍事マニアの中には、ナチスドイツ軍のファンが多い。書店に行ってもナチスドイツ軍関係の戦記が多いし、模型屋さんでもナチスドイツ軍の戦車、軍用機、軍艦の模型が多い。はっきりいうと日本軍の戦記、模型よりもドイツ軍関係ものが多い。僕も小学校4年の時に映画「史上最大の作戦」を見てから、ナチスドイツ軍マニアになった。もちろん、日本人だから日本軍にも興味があるが、ドイツ軍の戦い方の方に魅力を感じる。そして、僕の友達の軍事マニア、現代史マニアでもドイツ軍と現代ドイツ史に興味がある人が多い。なぜ、日本にはこんなにドイツ軍マニアが多いのだろうか?

 

その大きな理由の一つは間違いなく、日本軍はヨーロッパでのナチスドイツ軍の勝利を前提としてアメリカとの戦争を始めたからだろう。僕も子供の頃に父に、「日本はどうしてアメリカと戦争をしたの?どうして、ヒトラーのナチスドイツなんかと同盟したの?ナチスドイツはとても残酷なことをしたのに」と質問したことがあった。この質問は、日本人なら一度は親にきいたことがあるだろう。父は、「当時の日本政府と軍は、ヨーロッパでナチスドイツ軍が勝つと思ったからだ。つまりヨーロッパでドイツが勝てば、日本は自動的にアメリカとの戦争に勝てると思ったんだ。アメリカと戦争をして、アメリカに上陸してアメリカを占領するのは無理だったけど、ドイツがヨーロッパで勝てば、アメリカは日本との戦争をやめると思ったんだ」と答えた。「日本はアジアの解放のために戦った」ということは、一度も言わなかった。これは、父が大学時代に法学部でドイツの現代史も習っていたので、ドイツに詳しかったからである。

 

上の写真は1941年6月のヨーロッパの地図で、ドイツ軍が「ソ連侵攻の「バルバロッサ」作戦を始める直前のものであるが、ヨーロッパのほとんどの国がナチスドイツの占領下かドイツの同盟国である。中立国の中でもスペイン、トルコなどはドイツに対して好意的だった。この頃、ガチで反ナチスドイツの連合国というのは、ヨーロッパではイギリスくらいである。この地図を見て当時の日本政府は、「ナチスドイツがヨーロッパで勝つのはほぼ確実だから、アメリカと戦争をしても大丈夫だ」と予想して、そして、アメリカとの戦争を準備したのである。つまり、日本が米英と戦争を始めたのはナチスドイツがヨーロッパで勝つことを前提としていたから、ドイツ軍の戦い方に魅力を感じる日本人が多いのは当然なのである。

 

 

国民の精神力頼みの戦争をした日本軍とは違い、ドイツ軍は最後まで科学力の開発を続けて合理的な戦いをした。[Wunderwaffe](奇跡の兵器)というドイツ軍が敗戦間際に開発した新兵器は、戦後に米ソが競争して欲しがった。

 

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次にあげられるドイツ軍の魅力というのは、敗戦間際までナチスドイツは技術開発を続けて、連合軍を驚かせたことだろう。イギリスの首都ロンドンを空襲したことで有名な人類史上初のミサイルであるV1V2ロケット、こちらも人類史上初のジェット戦闘機のメッサーシュミットMe262などは、連合軍の度肝を抜いた。ドイツ軍のジェット戦闘機隊は、敗戦前の約1か月半ほどという短期間ではあるが実戦に投入されて、当時の連合軍の戦闘機では撃ち落とすことは非常に困難だった。

 

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こちらは、ドイツ海軍が同じく敗戦間際に実戦に投入をしたⅩⅩⅠ型Uボートである。このUボート(潜水艦)も世界で初の電気潜水艦であり、当時の連合軍の機械では発見することが非常に困難であった。しかし、このUボートも終戦直前に既にドイツが制海権を失った頃に実戦投入になったので、大した戦果を挙げることなく敗戦となった。

 

これらのV1V2ミサイル、ジェット戦闘機、電気潜水艦などの[Wunderwaffe]があと半年ほど早く実戦に投入されていれば、ナチスドイツが勝った可能性は十分にあったと指摘をする現代史の専門家がいる。なぜなら、ナチスドイツは原爆開発を1943年まで進めていて、「2年以内に原爆は完成する」とシュペーア軍需相はヒトラー総統に報告していたのである。その後、連合軍の破壊活動と戦況の悪化でヒトラーは原爆開発中止を命令したが、もし計画通りに原爆が開発されていたら、どんなに戦況が悪くてもドイツ空軍がイギリスとソ連に原爆を投下することによって、戦況を逆転させることは可能だった。

 

ドイツ軍はイギリス本土を爆撃して、ソ連の首都モスクワの近くまで迫り、原爆の開発もかなり進んでいた。一方、日本軍はドイツ頼みで戦争を始めたから、ドイツ軍がヨーロッパで負け始めると手の打ちようがなくなった。

 

一方の日本軍の戦い方はというと、海軍はイギリス軍が不沈戦艦として誇っていた「プリンス・オブ・ウェールズ」を撃沈して、アメリカ軍の正規空母4隻を撃沈して、連合軍を驚かせる戦果を挙げたが、一方の陸軍は日露戦争と同じような歩兵の銃剣突撃しか戦法がなく、連合軍の戦車に勝てるような戦車は作れなかった。また、昭和19年にやっと75ミリ砲装備の一式戦車などを開発できたが、既に制海権を連合軍に奪われていたので戦車を輸送する手段がなく、新式の戦車、兵器などは「本土決戦用」として日本本土に温存するしかなかった。陸軍の僅かな良い点をあげるとすれば、映画「硫黄島からの手紙」で有名になったように、アメリカ軍の圧倒的な物量攻撃に対して洞窟陣地に籠っての持久戦で、アメリカ軍をかなり苦しめたことぐらいである。

 

簡単に言うと、ヨーロッパでのドイツ軍の勝利を頼みとして米英との第二次世界大戦に突入したから、日本軍はまだ戦争の準備が全くできてなかったのである。それで、ドイツ軍がヨーロッパで負け始めた時には、日本軍は連合軍の物量攻撃に手も足も出なくなってしまった。だから、日本軍の戦いはドイツ軍ほど合理的ではなかった。