Deutschland-Lab

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息子(日本)が父(ドイツ)を越えた日(3)

 

 

 

 

「スペインは2位狙いだった」という声もあるが、とにかくドイツとスペインに勝って「死のグループ」を1位で通過だから、それで大満足している。

 

サッカー日本代表サムライブルーが遂にスペインも撃破して、グループステージ1位突破を決めたね、本当におめでとう!「スペインはブラジルが勝ちあがってくる組を避けて初めから2位狙いだった」という報道もあるが、まあ、とにかく、日本はスペインに勝てば決勝トーナメントに確実に進めたのだから、そういう細かいことは気にしてる余裕とかないだろう。日本はスペイン戦ではボールポゼッション率が21%しかなかったけど、ドイツの皇帝ベッケンバウアーも確か西ドイツ大会の決勝でクライフが率いるオランダに決勝で勝った時に、「強いチームが勝つのではない。勝ったチームが強いのだ」と言ってるのだから、特にプロのスポーツは結果が全てである。

 

 

前にも書いたが、「日本にプロリーグを作れ」と言ったのはドイツ人監督のクラマー氏であり、日本人初のプロサッカー選手が誕生したのはドイツのブンデスリーガである。だから、ドイツサッカーは日本サッカーの父ということになる。

 

 

さて、日本サッカーの父はドイツであり、1964年の東京五輪サッカー日本代表を率いて日本をベスト8に導いたデットマール・クラマー氏が日本サッカーの強化のために次のような提言をして、そこから日本でプロサッカーリーグを作るという活動が始まった。「プロリーグを作ること。海外の代表チームと試合をして、日本代表を強化すること。日本国内に1万の芝生のサッカー場を作ること。クラブチームを作ってジュニアユースからプロのコーチが指導すること」。このクラマー氏の提言を実現させようと動き出したのが、Jリーグ初代チェアマンの川渕三郎、エースストライカーだったか釜本などである。そして、彼らの努力が実を結んで1993年5月にJリーグの試合が始まった。

 

しかし、1993年にJリーグが始まる前に既に海外のチームでプレイしていた日本人プロ選手がいた。それが、1977年~86年までブンデスリーガでプレイをした奥寺康彦である。1977年夏に行われた1FCケルン対日本代表の親善試合で日本が勝ったのだが、その時にケルンのヴァイスヴァイラー監督が「奥寺は絶対にブンデスリーガで通用する」と確信したが、奥寺自身もためらって、ケルンのスタッフも「日本人のサッカー選手よりももっと良い選手がいるはずだ」と反対する人がいたが、みんなを説得してヴァイスヴァイラーは奥寺をケルンに入団させて、日本人初のプロサッカー選手が誕生した。奥寺はデビューしたばかりの頃はあまり自信がなくて、自分の所にボールが来てもすぐに他人にパスをするような消極的なプレイをしていた。それを見ていたヴァイスヴァイラー監督は奥寺をロッカールームで叱り、試合中もベンチから「オク、何を遠慮しているんだ!自分のプレイをしろ!」とげきを飛ばした。そのお陰で奥寺は左サイドのウィンガーとしてレギュラー選手になって、1977年~78年シーズンのケルンのブンデスリーガ貢献に優勝した。その次の年にはチャンピオンズリーグの前身であるチャンピオンズカップの準決勝にも出場した。その後、尾崎加寿夫ビーレフェルトで2年間ほどプレイしたが、こちらはあまり成功しなかった。

 

こちらが奥寺のウィキペディアの説明。

 

ja.wikipedia.org

写真上は2010年夏にドルトムントに入団した時の香川真司だが、この時に同時に内田篤人ドルトムントのライバルチームのシャルケ04に入団している。そして、2人共ブンデスリーガで大活躍をして、特にゴールを決めることが多かった香川には「カガワ~、シンジ~」という専用のチャンテまで作られた。

 

 

1993年に日本にJリーグが出来た時はまだ日本人の名指導者はいなかったので、ジーコ、ブッフヴァルトを初めとして多くの優秀な外国人サッカー選手と指導者が日本サッカーを強くしてくれた。日本人は彼らに感謝しなければならない。

 

 

結局、僕がここで言いたいのは前にも書いたように、日本サッカーがここまで強くなったのは日本人だけの努力ではないということである。特に今までに書いたようにドイツサッカーは父親のように日本サッカーに色々と教えて指導をしてくれて、そして今回のW杯グループステージでは日本が勝ちぬけてドイツが敗退したのだから、正しく「息子(日本)が父(ドイツ)を越えた」と言えるだろう。僕も仙台に夫婦と子供と一緒に住んで、東北大学で准教授をしていたドイツ人の友達からサッカーについて多くを教えてもらった。彼からは特に、「ベガルタ仙台(地元のプロサッカーチーム)と日本代表のサポーターになって、これらのチームをいつも支えないといけないぞ」と教えられた。

 

そして、遂に日本代表はドイツ代表を越えたのである。だから、僕の場合はドイツに勝って嬉しい気持ちと同時に、ドイツのサッカーファンと関係者にすごい感謝の気持ちがある。全ての日本のサッカーファンと関係者も、ドイツのサッカー関係者に感謝しないといけない。

 

何だが前に書いたブログ記事と内容が似てしまったが、今はやはりこういう日本サッカーとドイツサッカー関係のことしか頭に思い浮かばない。(苦笑)