アウェイであるケルンで試合に勝って11連覇を果たして、大喜びのバイエルンの選手たち。
5月27日午後5時30分(日本時間28日午前0時)にバイエルンがアウェイのケルンで1FCケルンに2-1で勝ち、同じルール地方のドルトムントではホームゲームだったのにドルトムントがマインツと2-2で引き分けたので、バイエルンの11連覇が決まった。僕は1997年にメラー、コーラー、リードレ、ザマー、シャプイサなどを擁してチャンピオンズリーグ王者になって以来ドルトムントのファンなので、ドルトムントを応援していた。
この最終節は八百長ゲーム、無気力ゲームがないように全試合が同時刻にキックオフになるが、戦前ではバイエルンとドルトムントの勝ち点差が2だったので、バイエルンが勝ちでドルトムントが引き分け以下ならバイエルンの優勝が決まる可能性があった。しかし、ドルトムントは格下のマインツが相手で、バイエルンはいかに強いといってもアウェイで1FCケルンが対戦相手だった。バイエルンが勝つ可能性は強かったが、ドルトムントがホームでマインツに勝ったらそれでドルトムントの優勝が決まるので、恐らくドルトムントが2012年シーズン以来の優勝を果たすだろうと予想されていた。
ところが、ドルトムントは優勝を意識してたせいか動きに精彩がなくて、前半が終わった時点で0-2と負けてハーフタイムを迎えた。しかし、バイエルンも前半は何とか1-0で折り返して、もしケルンに1点取られて追い付かれたらそれで優勝を逃すという危機だった。
後半は両スタジアム共に劇的なドラマがあり、ドルトムントは後半24分に1点を返して残り約20分で2点を取れば優勝という状況になった。サッカーは5分で2点入ることがあるから、十分に逆転の可能性はあり得ると思った。一方のバイエルンは後半36分にケルンにPKが与えられて1-1の同点となり、このままでいけばドルトムント優勝、バイエルンは2位というドルトムントファンの僕にとってはワクワクする展開となった。
しかし、ケルンではバイエルンのムシアラが後半44分にミドルシュートを決めて、これが決勝点となって2-1でバイエルンが勝った。一方のドルトムントではロスタイムにドルトムントのズーレが同点ゴールを決めるのがやっとで、ドルトムント対マインツは引き分けで終わった。結局、勝ち点は両チームともに71で並んだが、得失点差でバイエルンの優勝となった。僕にとっては当然、バイエルンが引き分けで終わるだろうと期待していたが、やはり選手層が厚くて「逆転のバイエルン」なので、そう簡単に優勝を諦めることはなかった。
これと似たようにバイエルンが奇跡の逆転優勝を果たしたことは過去にも何度もあり、まだ日本の奥寺がプレイしていた1986年シーズンでも、最終節の前に奥寺がプレイしていたブレーメン対バイエルンの試合がブレーメンのホームであり、試合終了間際にブレーメンがPKを得てPKが決まればブレーメンの優勝という時に、PK職人のミヒャエル・クチョップがまさかのPKを外してしまい、次のゲームでもブレーメンは負けてバイエルンの優勝となった。クチョップはサッカー人生で41本のPKを蹴ったが、外したのはこの1本だけだった。
2001年のシーズンも最終節でバイエルンとシャルケが優勝争いをしていたが、シャルケがホームでウンターハヒングと試合で、バイエルンはアウェイのハンブルクでHSV(ハンブルクスポーツ協会)と試合だった。シャルケは試合が先に終わって5-3で勝った。一方のバイエルンはハンブルクのバルバレスに後半44分に先制点を決まられて、残りわずかで1点が必要な状況となった。既にシャルケのファンはスタジアムでお祝いを始めていたが、後半のロスタイムにバイエルンに関接フリーキックが与えられて、それが決まってしまってバイエルンが最後の最後で優勝を強奪した。この時、シャルケの主力選手だったメラーは、「サッカーの神様がいるとしたら、そいつはバイエルンファンなんだろう」とインタビューで言った。(苦笑)
こちらが英語版しかないが、その時の動画
つまり、これだけバイエルンを抑えてブンデスリーガで優勝するのは難しいということなのである。だから、多くのドイツ国民のサッカーファンは強すぎるバイエルンを憎んで、何人かのサッカー選手は絶対にバイエルンではプレイせずに、バイエルンを倒すことに執念を燃やす選手もいる。
日本のサッカーファンも、僕も初めてドイツで行った都市がバイエルンだったから、バイエルンのTシャツをミュンヘンの空港で勝ってバイエルンを応援していたが、何度もドイツに行っていると「バイエルンは強すぎるから大嫌い」というドイツ人が多いとわかって、今は半年ほど住んだシュツットガルトと打倒バイエルン一番手のドルトムントを応援している。あと、2012年まで仙台の東北大学で働いていたドイツ人弁護士の友達がフォルチュナ・デュッセルドルフのファンなので、デュッセルドルフも応援している。