
- 映画俳優で監督のロバート・レッドフォードが亡くなったので追悼する記事を書きます。レッドフォードは「明日に向かって撃て!」「スティング」などに出演したハンサムな男優でしたが、初めて映画監督をした「普通の人々」では精神を病んだ男子高校生のいる家族が崩壊していくという重くて暗いストーリーの作品で、アカデミー作品賞、監督賞などを受賞しました。
- レッドフォードはハリウッド映画会社が制作する豪華キャストの娯楽映画を嫌っており、そのため、戦争映画「遠すぎた橋」に出演した時もロケ地のオランダには数日しか行っておらず、彼の出演シーンのほとんどはアメリカで撮影された。レッドフォードは「遠すぎた橋」に出演した時のギャラを、「普通の人々」を監督・制作した時の費用に使ったと言っている。
映画俳優で監督のロバート・レッドフォードが亡くなったので追悼する記事を書きます。レッドフォードは「明日に向かって撃て!」「スティング」などに出演したハンサムな男優でしたが、初めて映画監督をした「普通の人々」では精神を病んだ男子高校生のいる家族が崩壊していくという重くて暗いストーリーの作品で、アカデミー作品賞、監督賞などを受賞しました。
昨日の深夜に僕が大好きな映画俳優・監督であるロバート・レッドフォードが89歳で亡くなったというニュースが飛び込んできたので、今日はレッドフォードを追悼するブログ記事を書こうと思います。
レッドフォードはわかりやすく言えば、1970年代、80年代のセックスシンボルだった男優である。今はセックス・シンボルの男優といえばトム・クルーズ、ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオなどだが、80年代前半までは「明日に向かって撃て!」「スティング」「追憶」などでハンサムな主演男優として出演したレッドフォードが女性たちにすごく人気があった。しかし、レッドフォード自身はセックスシンボル、マチネーアイドル(女性への性的魅力を持つ男優)と見なされるのをすごく嫌っていたという。
レッドフォードの代表作といえば「明日に向かって撃て!」「スティング」「追憶」、ブラッド・ピットと共演した「スパイゲーム」などをあげる人がいるだろうが、僕は彼が初監督をして1980年のアカデミー作品賞と監督賞などを受賞した「普通の人々」をあげる。この作品のネタバレを含むことになるが、ストーリーは精神を病んだ男子高校生がいる家庭の話であり、彼への対応を巡って両親も不仲となって家族が崩壊していくという暗い話である。海でのヨット遭難事故で兄は溺死して、生き残った弟は自分だけが生き残ったという罪悪感から精神を病んでしまい、高校生活も上手くいかなくなる。元々、兄が好きだった母は弟に冷たい態度をとる。父は何とか妻と子供の関係を改善させて家族の人間関係を保とうとするが、妻は精神を病んだ子供への対応に嫌気が差して妻は家を出ていき、最後は父と子供の2人でこれから生活していくというラストで終わる。
僕も含めた映画ファンと他の映画関係者も大いに驚いたのは、ハンサムな俳優であるレッドフォードが映画初監督をして描いたのは、こんなに複雑な家族の人間関係を扱ったストーリーだったことである。レッドフォードはこの映画に関するインタビューでこう語っていた。「私も高校生の時に母を失って父子家庭で育ち、大学に入学したが勉強に嫌気が差して画家を志してヨーロッパ放浪をしたりしていたので、荒んだ青春時代を過ごしました。それで自分の若かった時を思い出して悩む若者の話を映画化したのです」。1980年代というとまだノイローゼ、うつ病などの精神病は世界中でタブー扱いというか、あまりメンタルヘルスへの理解が進んでない時代だったが、その時にレッドフォードこのテーマを取り上げたのがすごいと思った。
レッドフォードはハリウッド映画会社が制作する豪華キャストの娯楽映画を嫌っており、そのため、戦争映画「遠すぎた橋」に出演した時もロケ地のオランダには数日しか行っておらず、彼の出演シーンのほとんどはアメリカで撮影された。レッドフォードは「遠すぎた橋」に出演した時のギャラを、「普通の人々」を監督・制作した時の費用に使ったと言っている。
また、レッドフォードはいかにもハリウッド映画というスペクタクルな娯楽大作映画を嫌っており、有名男優なのに豪華キャストの大作映画にはあまり出演していない。戦争映画の「遠すぎた橋」にアメリカ第82空挺師団所属のクック少佐役として役として出演しているが、200万ドルのギャラと撮影時間2週間という条件で承諾した。そのため、レッドフォードは映画のロケが行われたオランダには数日しか行っておらず、映画のクライマックスであるワール川をクック少佐が率いる米空挺部隊が数隻の小舟に分散して乗って、防御するドイツ軍の銃弾が飛んでくる中を強行渡河をするシーンの撮影の時だけしかオランダのロケ地には行ってないという。それ以外のシーンはレッドフォードはアメリカで撮影したようで、例えばクック少佐とライアン・オニールが演ずるギャビン空挺師団長が会話するシーンでは、2人が同時に映っているいるシーンはなくて、レッドフォードのシーンはアメリカで、オニールのシーンはオランダで撮影をして後で編集して繋ぎ合わせたという。さらに、後にレッドフォードは、「遠すぎた橋」に出演した時の高額なギャラを「普通の人々」を監督して撮影する費用に使ったと語っている。(苦笑)
このようにレッドフォードはすごくハンサムは映画男優で監督だったのだが、ハリウッドの大手映画会社が制作するオールスターキャストの娯楽大作を嫌っていた。そして、自分で費用を出して低予算のインディペンデント映画を育成するために「サンダンス映画祭」を創設したりしたので、彼を好きな人と嫌う人が分かれるようだ。僕はもちろん前者でリベラルなアメリカ人としてレッドフォードが大好きだ。