Deutschland-Lab

Deutschland-Lab

歴史や文化、スポーツなどドイツに関する情報まとめサイト

ウクライナは本当にNATOに入れば満足なのか?

 

 

ウクライナアメリカ、西ヨーロッパを中心とするNATOに入りたいと公表して、それでロシアにとってはロシア国境まで反ロシア勢力のNATO軍が駐留することになるので、ロシアのプーチン大統領がそれをいかなる犠牲を払ってでも阻止しようと決断をして、2月末に始めたのが今のウクライナ戦争である。これは誰でもわかることだろう。

 

 

ウクライナは本当にアメリカが大好きでアメリカを中心とするNATOに参加したいのだろうか?ウクライナNATOに参加するとアメリカの戦争にウクライナ軍も参加を強要される。

 

 

しかし一つ疑問になるのは、「本当にウクライナ政府と国民は、アメリカを中心とするNATOに参加したいのだろうか?」ということである。NATOに参加するとまたアメリカで共和党のトランプかジョージ・W・ブッシュ元大統領のような、「アメリカの正義のための戦争」を始めるのが好きな大統領が就任した時には、ウクライナ軍もNATO軍の一員としてアメリカの戦争に軍隊を派遣しないといけないのである。NATOに参加しているドイツ、フランス、イギリスなどの軍隊は嫌々ながら、2001年の同時多発テロ以後はイラクアフガニスタンパレスチナなどに軍隊を派遣して、アメリカの戦争に付き合わされている。それで、僕が知る限りではアフガニスタンだけで100名以上のドイツ連邦軍兵士が戦死している。メルケル元首相も、フォン・デア・ライエン元国防大臣も何度かイラクアフガニスタンを訪問して現地のドイツ兵を激励している。写真上はウクライナで戦争が始まる前にホワイトハウスで会談をする、バイデン大統領とゼレンスキー大統領。

 

今の日本も日米安保という軍事同盟があるのでアメリカの戦争に付き合わされているのであり、日本は左翼政治家の抵抗でNATO諸国ほどはアメリカ軍と軍事行動を一緒にしてないが、アフガニスタンイラクパレスチナなどでPKO活動に参加している。でも、これがPKF活動にまで自衛隊を派遣して積極的に参加するようになると、ドイツ連邦軍のように1年間にアフガニスタンイラクなどで数十人の戦死者が派遣した自衛隊に出るようになるだろう。ウクライナ領内にNATO軍の基地が出来てロシア軍の侵攻からウクライナを守るようになると、ウクライナ軍もアメリカの戦争に付き合って世界各地で戦う必要が出てくる。

 

 

アメリカ、イギリスという世界最強の同盟国と戦争をして勝てる国は世界中どこにもないので、米英と同盟しないと民主主義も経済の繁栄もあり得ない。これは日本が第二次大戦で米英と戦って負けて学んだことである。

 

 

それでも、日本、韓国、ヨーロッパ諸国などがアメリカと軍事同盟を結ぶ選択肢を選ぶ理由を、僕は過去のブログ記事に書いたことがある。

 

deutschland-lab.hatenablog.com

 

結局は世界の「バランス・オブ・パワー」を考えると、NATOの中心である米英側についておかないとロシア、中国などの共産主義系勢力の侵略を受ける危険性があるのが、ウクライナがどうしてもNATOEUに参加したい理由である。だいたい、日露戦争以後の世界の戦争ではアメリカ、イギリス軍側かあるいは日露戦争の時のように米英がバックアップした側しか戦争に勝てていない。これは、米英軍がアメリカ映画の「トップガン」に描かれてるように正義の味方の軍隊であるということではなくて、世界中にある富と資源のほとんどを米英が独占しているからである。アメリカは超大国だから1国だけで自給自足ができるし、イギリスはカナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの連邦諸国と提携すれば自給自足ができる。第一次世界大戦以後、ドイツは2回、旧ソ連は東西冷戦時代というふうにアメリカ、イギリス同盟に挑戦してきたが、どの国も敗れている。今は覇権主義の中国が米英と冷戦を行っているが、香港、台湾などは米英側の方に付きたいと願っており、やはり共産主義で民主主義を否定する中国は嫌われている。

 

 

日本では左翼政治家が中心となって「日米同盟に頼らない独自の平和路線」などと言っているが、中国、ロシアの存在を考えるとそれは無理である。米軍基地が日本からなくなると日本がウクライナのようになってしまう。

 

 

日本も左翼政治家が中心となって、「米英とは軍事同盟を結ばないで独自の平和国家を作りたい」と主張しているが、結局、日本の位置はユーラシア大陸にある国家が太平洋の制海権を取るために中国軍とロシア軍が欲しい領土なので、アメリカ軍に駐留してもらって守ってもらうしかない。沖縄でも「前の戦争の経験から基地のない沖縄がほしい」という左翼の運動があるが、もしも沖縄から米軍基地がなくなれば、尖閣諸島沖縄本島も中国軍に占領されてしまうだろう。それこそ、米軍基地が沖縄からなくなれば沖縄に中国軍が攻めてきてウクライナになるだろうし、米軍基地が北海道からなくなれば北海道にロシア軍が攻めてきてウクライナになるだろう。

 

だから、結論として日本、ウクライナのような強い軍隊を持ってない国、核爆弾を持っていない核武装をしていない国は、アメリカ軍を始めとするNATO軍の基地を国内に作ってもらって駐留をしてもらって、強い国に守ってもらう必要がある。これは、世界中の中小国家にあてはまることで、スウェーデンフィンランドウクライナ戦争の悲惨な状況を見て慌ててNATO参加を表明したのがいい例である。