- 第二次世界大戦で日本が米英と戦争を開始する前に海軍条約派の提督たちは、「米英と戦争をしても勝てない。ナチスドイツと軍事条約を結べば日本は終わりだ」と主張したが、彼らは米英がそんなに好きだったのだろうか?
- 米英の影響下で日本は生き残っていくしか道はないので、米英の政治家たちにはよっぽどしっかりしてもらわないと困るのである。
- 米英の影響下で生き残るというのは、日本だけでなくて世界の全ての国に言えることである。特にドイツは2度の世界大戦で米英と戦争をして負けているので、ドイツ現代史から学ぶ教訓は「米英と戦争をして勝てる国はない」ということ。
「アメリカ追従の日本ではだめだ」などと主張する人が政治家にもいるが、現実にアメリカの支配力から抜け出して地球上で生き残ることなどできるのだろうか? 北朝鮮、中国はアメリカと対立をしているが、世界から孤立しつつある。
第二次世界大戦の敗戦以降、
「アメリカ追従の日本政府は全くダメだ。アメリカの支配から抜け出せる日本を目指さないといけない。」
などと、日本の極右、極左の人たちは騒いでますが、果たしてそんなことが実現することがあるのでしょうか?
今、対北朝鮮問題では日本はアメリカと協力しないと何も出来ないような状態になっている。対中国問題でも全く同じことが言える。迎撃用「パトリオット・ミサイル」、攻撃用「トマホーク・ミサイル」はアメリカ製だし、イージス艦もアメリカの技術を使用しているものが多い。つまり、日本だけではミサイル防御システムなどを完成させることはできない。在日米軍が守ってくれなければ、北朝鮮と中国の脅威から日本を守ることはできない。日本人にとっては残念だがこれが現状だ。
写真上は1930年代後半に、ニューヨークの上空を飛ぶB17爆撃機。この頃すでに、有名な名作映画「風と共に去りぬ」などがアメリカでは完成していた。ものすごい工業力だと思う。
第二次世界大戦で日本が米英と戦争を開始する前に海軍条約派の提督たちは、「米英と戦争をしても勝てない。ナチスドイツと軍事条約を結べば日本は終わりだ」と主張したが、彼らは米英がそんなに好きだったのだろうか?
今から75年前には、日本は米英を中心とする連合軍と総力戦をした。そして、完膚なきまでに叩きのめされた。陸軍強硬派が政府、天皇にドイツ、イタリアとの軍事同盟を勧め、結局、それが米英との戦争の原因となってしまった。だが、海軍条約派の提督たちは、
「米英と戦争しても勝ち目はないので、ヒトラーとは同盟を結ばない方がいい。そんなことをしたら、この国は終わりだ」
と警告し続け、数年後にはその通りになってしまった。
そのような主張をした海軍提督で有名なのが、米内光政、山本五十六、井上成美などである。彼等は単なる腰抜けだったのだろうか?米英の植民地になっても仕方がないとでも思っていたのだろうか?
井上成美が昭和50年に亡くなる直前にある雑誌の取材に応じて、当時の苦しい心境を語ったことがあった。その内容は以下の通り。
「アメリカ、イギリスとの軍備の比率は低いほうがいい、戦いをすれば負けるから、なんとか外交でしのいでいかなきゃいかん、……軍人としてそれを自分に言いきかせるということは悲しい……そして、くやしい……くやしいけれど……そういう国なんだから。自分よりも技術が進み、富もあり、人口もたくさんある、土地も広い、という国がある、ということは仕方がない。もがいたって、これを脱けるわけにいかない。そういう世界の状況なれば、その中で、無理をしない範囲で立派な国になっていくほうがいいんではないか」
自分は全く井上さんの言うとおりだと思う。さすがは、「帝国海軍一の頭脳」と言われただけあって、正論だと思う。写真上は井上成美海軍大将。僕が住む街である仙台出身の英雄でもある。
米英の影響下で日本は生き残っていくしか道はないので、米英の政治家たちにはよっぽどしっかりしてもらわないと困るのである。
よく左翼の国会議員が、
「米英盲従の自民党政権を糾弾する。日米安保をやめ、自衛隊解散、在日米軍を追い出して日本は永世中立国に」
とか、極右主義の人達が、
「日米安保をやめ、日本独力で生き残れるように、国力、特に軍事力の増強を」
などと騒いでいるが、具体的にどうやってそれを実行しようというのだ?そんなことなどできるワケないじゃないか。すでに七十数年も前に海軍条約派の提督たちが日本のとるべき道を示している。これ以外の道はないと思う。
このように、米英(特にアメリカ)の軍事力と政治力の下で日本は生き残っていくのだから、米英の政治家、軍人たちには本当にしっかりとしてもらわなければならない。彼等が日本を裏切る、見捨てるようなことは絶対にあってはならない。
米英の影響下で生き残るというのは、日本だけでなくて世界の全ての国に言えることである。特にドイツは2度の世界大戦で米英と戦争をして負けているので、ドイツ現代史から学ぶ教訓は「米英と戦争をして勝てる国はない」ということ。
これは日本だけでなくてドイツを始めとするヨーロッパ諸国にも言えることであり、特にドイツは第一次世界大戦と第二次世界大戦というふうに2回もアメリカと戦争をしたが、両方とも負けている。第二次世界大戦ではアメリカとは戦争をしないように、1939年9月のポーランド侵攻から1941年12月の日本軍による真珠湾攻撃まではアメリカとは戦争状態になかったが、同盟国の日本がアメリカと戦争を開始したことによって、ドイツはアメリカと戦うことになり、ソ連と戦いながらアメリカとも戦うという窮地に陥ってしまった。この時、ナチスドイツ政府は「戦争に負ける可能性が出てきた」と考え、1942年2月にベルリン郊外のヴァンゼーで「ヴァンゼー会議」を開いて、ユダヤ人問題の最終解決について会議を行っている。この会議で、ユダヤ人虐殺の絶滅収容所がヨーロッパ各地に建てられることが決まり、ナチスドイツ占領地にいるユダヤ人全員を殺害することが決まった。
そして、ナチス政府幹部が予想していたように、ナチスドイツは西からはアメリカ軍を中心とする連合軍に、東からはソ連軍に攻められて1945年5月にナチスドイツは降伏をした。第一次世界大戦の時もアメリカが参戦したことによってドイツは戦争に負けたが、第二次世界大戦でもドイツはアメリカが参戦したことによって負けてしまったのである。ドイツ史の教訓から学ぶべきことは、「アメリカと戦争をして勝てる国は、地球上にはない」ということである。ベトナムはベトナム戦争でアメリカ軍を撃退したが、アメリカの領土を占領はしていない。アメリカと戦争をしてアメリカに上陸をして、アメリカの領土を占領できる国など、この地球上にはないのである。
先に日本は米英の下で生き残っていくと書いたが、これは全世界に言えることであり、全世界の国々は米英の軍事力と政治力の下で生き残っていくのだから、米英の政治家と軍人はしっかりと世界を正しく導いていかないといけない。イギリスについては今は衰退はしているものの、オーストラリア、ニュージーランドなどは今でも英連邦の一部だから、その影響力はまだかなり強い。