- 在日のドイツ人には2つのタイプがあり、野球など日本のスポーツと文化は全部受け入れる人と、日本人に人気があっても自分の気に入らないものには興味を示さない人がいる。僕の友達は前者の人が多い。
- 2006年4月に東北大学で勤務を始めた友達のSと、初めて楽天の試合を一緒に見に行った。彼はかつて東京の法律事務所で実習をしたことがあったから、ある程度は野球のルールを知っていた。
- ソフトバンクとの試合だったが、当時のソフトバンクの監督は王さんだったので、Sに僕が小学生の時に王がいかに偉大な選手だったかを教えた。王は世界中の野球選手から尊敬されており、王のホームラン記録は今後も絶対に破られないことを教えた。
- 2010年7月には、Sと妻と2年前に生まれた子供と一緒に楽天対ヤクルトの交流戦を見に行った。試合は楽天が負けたがとても面白かった。
- 妻のMは来日してから4年近くが経っていて野球のプレイもルールもかなり知っていたが、まだよくわからないことを僕に質問してきた。
在日のドイツ人には2つのタイプがあり、野球など日本のスポーツと文化は全部受け入れる人と、日本人に人気があっても自分の気に入らないものには興味を示さない人がいる。僕の友達は前者の人が多い。
僕の過去の話だけど、僕は今までに何度かドイツ人友達と一緒に、仙台の球場で楽天の試合を観戦したことがある。初めて東北大学に勤務するドイツ人弁護士のSと一緒に楽天の試合を観戦したのは2006年4月で、その後、彼の妻がその年の9月に来日して、2人に子供が生まれた後はまだ赤ん坊の子供も一緒に観戦をしたことがある。彼ら3人にとっては、日本の良い思い出になっただろう。2009年6月にアメリカの大学教授をしているWが、6月から8月の夏の期間だけ東北大学理学部で研究活動をするようになってからは、彼とも一緒に何試合か楽天の試合を見た。
ここで当然ながら疑問に思うのは、「ドイツを始めとしてヨーロッパではサッカーがすごく人気があって、野球は人気がないはずなのに、野球を見たいドイツ人なんているのか?」ということだと思うが、ドイツ人には2つのタイプがあって、日本にいる間に野球などの日本で人気のあるスポーツもルールを覚えて観戦して、日本人社会に積極的に入ろうとする人と、ドイツで人気のないスポーツ、またその他の文化などにはあまり興味を示さない人がいる。今はネットがあって全世界と繋がっているので、日本にいるドイツ人でもドイツ流の生活を送る人がかなりいる。2006年秋に来日したドイツ人女子大生は、「野球なんて私の大嫌いなアメリカ人のスポーツだから興味ない」と言っていた。彼女は日本学と日本語を学んでいて日本の伝統スポーツである相撲は大好きで、東京の両国国技館の近くの安いアパートに住んで、大阪場所を見るために15日間、大阪市内のカプセルホテルに泊まるほどの相撲ファンだが、野球には全く興味を示さなかった。こういうドイツ人はけっこう多くて、「日本はアメリカ軍の空襲を受けて焼野原になり、アメリカから原爆まで落とされたのに、なんでアメリカの国技である野球が好きな日本人が多いのか、さっぱりわからん」と言ってるドイツ人がいる。
2006年4月に東北大学で勤務を始めた友達のSと、初めて楽天の試合を一緒に見に行った。彼はかつて東京の法律事務所で実習をしたことがあったから、ある程度は野球のルールを知っていた。
それで、2006年4月にドイツ人友達と一緒に初めて楽天対ソフトバンクの試合を球場に見に行って、その時に撮った写真が上の写真。友達のSは1999年に1年間ほど東京でドイツの大学法学部の実習をしたことがあるので、けっこう野球のルールを知っていたが、わからないところは当然僕が教えた。
楽天が1点リードして、7回まで好投していた先発の右腕投手を8回から左腕投手に代えたのだった。
S「好投していた右腕投手をなんで左腕投手に代えたの?別に代える必要はなかったのでは?」
僕「野球の常識として、左打者には左投手の球は打ちにくいというのがある。この回のソフトバンクの打者は左の好打者が多いので、左投手の方が有利なんだよ。特に左打者にとっては左投手の変化球はとても打ちにくい」
「なるほど。サッカーでいうとフリーキックみたいなもんだろうね。すごく変化するフリーキックは、キーパーが取れないから」
それでも、8回にこの代わった左腕投手が打ち込まれて楽天は逆転負けをしてしまった。僕は「投手の替え時というのは、すごく難しいんだよ。あのまま右投手が投げていても打ち込まれた可能性もあったからね。サッカーでも、選手の替え時と戦術の変更はとても難しいだろ?」とSに説明した。Sはうなづいていた。でも、2006年の楽天というとまだ球団創設から2年目で弱小だった時期なので、ソフトバンクに善戦しただけでもマシな方だった。
ソフトバンクとの試合だったが、当時のソフトバンクの監督は王さんだったので、Sに僕が小学生の時に王がいかに偉大な選手だったかを教えた。王は世界中の野球選手から尊敬されており、王のホームラン記録は今後も絶対に破られないことを教えた。
それで、当時のソフトバンクの監督は王さんだったのだが、僕はSに彼がどれほど偉大な選手か説明をした。
「ソフトバンクの監督をしているのは、王貞治という東京巨人軍でプレイしていた伝説のホームラン王なんだけど、俺が小学生の時にホームランを打ちまくった。王は世界一のホームラン王であり、868本のホームランを打ったんだ。これは世界記録なんだよ。アメリカのメジャーリーグの選手たちも、『日本のプロ野球というとサダハル・オウだ』というくらいにすごい選手なんだ。日本プロ野球で他のチームを応援していて巨人が嫌いな人も、『巨人は大嫌いだけど王はすごい選手だ』と言ってるんだ。8ホームランというのはサッカーでいうとゴールのようなものだけど、868本のホームランを打つには18歳でプロ野球に入って、毎年、40本近いホームランを打たないといけないけど、そんなこと常識ではできるわけないだろ?だから、王の記録は絶対に破られるわけがない。それほど王はすごい選手だった」
Sは呆れた顔をして笑っていた。それで、勝利監督インタビューで王さんがベンチから出てきた時に、「あの人が王さんだ。あの人を生で見れるなんて運がいいんだよ」と僕が言うと、Sはデジカメで写真を撮っていた。
2010年7月には、Sと妻と2年前に生まれた子供と一緒に楽天対ヤクルトの交流戦を見に行った。試合は楽天が負けたがとても面白かった。
それで、2010年の7月には楽天対ヤクルトの交流戦をSと彼の妻のMと、2008年7月に生まれた息子のTと一緒に見に行った。1塁側の内野席で楽天は3塁側がホームチームのベンチなので、敵であるヤクルト側のベンチの近くの席だった。でも、楽天のホーム球場だから、当然ながら楽天のファンが多かった。
ドイツ人友達のSと妻のMについては一度ブログ記事に書いたことがある。
deutschland-lab.hatenablog.com
妻のMは来日してから4年近くが経っていて野球のプレイもルールもかなり知っていたが、まだよくわからないことを僕に質問してきた。
妻のMはまだ完璧というほどではないが、Sが妻にルールを教えていたので、野球のルールはだいたい知っていた。でも、わからないことは僕にたくさん質問してきた。
Mが僕に質問したことと僕の回答。
「野球のピッチャーとホームの間てどれぐらいの距離があるの?」
「18メートル」
「ピッチャーの投げる球てどれぐらいのスピードなの?」
「速球派のピッチャーなら160キロくらい。遅くても130キロくらい。平均はその中間だね」
「そんな速い球をどうやって打てるの?」
「全部速球だけなら普通の人でもなんとか打てるけど、ピッチャーは速球に加えてさらに変化球も投げるから、普通の運動神経の人はまず打てないんだよ。だから、プロ野球でプレイしてる野球選手はサッカーのブンデスリーガの選手みたいに、特別のエリートなんだ。小学生の頃からプロ野球を目指してハードな練習をしてないと、プロ野球選手にはなれない」
「バッターはファールを何球打ってもいいの?ファールを何球打ってもいいなら、永遠に試合が終わらないのでは?」
「ファールは何球打ってもいいんだよ。例えばファールを3球打ったら三振にすると、ほとんどのバッターが三振になるんだよ。多くのプロ野球のピッチャーは、打ってもファールにしかならないコースにボールを投げることができるから。だから、野球はいつも時間が3時間以上かかるんだ。でも、仕方がないんだよ」
それで、試合の終盤には楽天の選手がソロホームランを打ったことがあったが、Mは「これは私にもわかるわ。走者がいないから1点しか入らないのね。走者がいたらもっと点数が入ったのにね」とほほ笑んで言っていた。
しかし、この試合は楽天の方が押していたにもかかわらず、ヤクルトが僅差で勝ったのだった。当時のヤクルトのクローザーの韓国人の林昌勇(イム・チャンヨン)が9回に出てきて、楽天の反撃を抑えた。
以上、今日はドイツ人と一緒にプロ野球観戦をした時の思い出について書きました。野球にあまり興味がないはずのドイツ人と一緒に野球観戦をするというのは、けっこう貴重な体験だったと思います。ドイツ人と一緒にプロ野球観戦をしたこと、また、サッカー観戦をしたことについては、またブログ記事に書こうと思います。