- 8月4日に急にガルージン駐日ロシア大使が広島の平和記念公園を訪れて、原爆慰霊碑に献花をした。ウクライナ戦争の最中だがなぜか原爆犠牲者を追悼した。
- 旧ソ連とアメリカが東西冷戦をしていた時からソ連では、「アメリカ帝国主義者はこんな残酷なことをした」と国民に教育をしているので、ロシア人の中には「日本人はアメリカよりもロシアと仲良くするべき」と思ってる人もいる。
- しかし、ロシア政府は本気で第二次大戦以来の日本との問題を清算する気は全くなくて、その証拠に北方領土問題の交渉、シベリア抑留を謝罪するつもりはない。ロシアは日本とアメリカNATOなどの西側諸国との同盟関係を壊そうとしている。
8月4日に急にガルージン駐日ロシア大使が広島の平和記念公園を訪れて、原爆慰霊碑に献花をした。ウクライナ戦争の最中だがなぜか原爆犠牲者を追悼した。
昨日(8月4日午前)、急にロシアのガルージン駐日大使が広島の平和記念公園を訪れて原爆慰霊碑に献花をした。
以下、他サイトの記事を引用する。
ウクライナ侵攻で核兵器の使用を示唆し、米ニューヨークで開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議でも批判が相次ぐ中での訪問となった。ガルージン氏は献花後、報道陣に「米国が行った原爆投下の犠牲者の方々を追悼するために来た」と話し「ウクライナでの特別軍事作戦で、ロシアが核兵器を使うことはあり得ない」と強調した。
ウクライナ侵攻を踏まえ、広島市は6日に平和記念公園で開く平和記念式典にロシアを招待しなかった。式典の会場準備が大詰めを迎える中、ガルージン氏は慰霊碑に献花し一礼した。
第二次世界大戦で日本と同じ枢軸国側だったドイツ、イタリア、フィンランドなどでは「アメリカ軍による広島と長崎への原爆投下は、ナチスドイツが行ったホロコーストと同じような人道への犯罪」と教育されているが、なぜ連合国側だったロシア人までもが広島と長崎への原爆投下について日本に同情するのだろうか?理由はロシアは旧ソ連時代にアメリカと軍拡競争をしてアメリカが仮想敵国だったので、ロシアでもアメリカ帝国主義者はこんなに残酷なことをしたということを教育しており、ロシア人も原爆投下について日本人に同情をしているのである。
旧ソ連とアメリカが東西冷戦をしていた時からソ連では、「アメリカ帝国主義者はこんな残酷なことをした」と国民に教育をしているので、ロシア人の中には「日本人はアメリカよりもロシアと仲良くするべき」と思ってる人もいる。
僕はかつてこのことについてブログに書いたことがある。
deutschland-lab.hatenablog.com
ドレスデンの軍事博物館は旧東ドイツ政府とソ連が作っており、中の展示物も東ドイツ政府とソ連が選んで決めていた。だから、ソ連軍と東ドイツ軍の展示物が多かったのであるが、とても意外だったのは広島と長崎への原爆投下がかなり詳しく説明されていて、さらに、大やけどを負った被爆者の写真が2枚ほど展示されたいたのである。普通、海外の博物館での原爆関連の展示というと破壊された建物とキノコ雲が展示されているぐらいで、被爆者の写真は見たものに与えるショックが大きすぎるので展示されていないことが多い。でも、旧共産主義の東ドイツとソ連が建てたドレスデン軍事博物館では、恐らく、「アメリカ帝国主義者はこんなに残酷である」という教育をするために、敢えて見たものにショックを与える被爆者の写真を展示しているのだろう。このような展示は、同じく旧東ドイツ地区にあるベルリンのドイツ歴史博物館でもあった。ドイツでは「原爆投下はホロコーストと同じような戦争犯罪である」という歴史教育がなされているので、やはり、ショックが大きい被爆者の写真を展示しているのだろう。
つまり、旧ソ連時代以来、ロシア人と政府は別に日本人の被爆者がかわいそうなので原爆投下に同情しているのではなくて、「日本人は原爆を投下したアメリカ帝国主義者たちと、なんで軍事同盟なんかを結んでいるのですか?ロシア人と政府はアメリカを嫌って敵視しています。ロシア人こそが真の日本人の友達なのです。原爆を落としたアメリカ政府なんかと同盟するのはやめて、ロシアと仲良くしましょう。そして日本はアメリカとNATO側から離れて、ロシア側に付くべきです」というメッセージを日本人に送っているのである。これは、ロシア政府による日本とアメリカを対立させる策略といえる。ウクライナ戦争が行われている今、ロシア大使が広島の平和記念公園を訪れて犠牲者に献花をするという行動によって、「原爆を落として日本人を殺したアメリカよりも、ロシアこそが真の日本の友達なのです」というメッセージを日本人に伝えたのである。ウクライナ戦争で日本はアメリカと足並みを揃えてロシアを制裁しているが、その足並みをロシア大使は乱そうとしたのである。
しかし、ロシア政府は本気で第二次大戦以来の日本との問題を清算する気は全くなくて、その証拠に北方領土問題の交渉、シベリア抑留を謝罪するつもりはない。ロシアは日本とアメリカNATOなどの西側諸国との同盟関係を壊そうとしている。
だいたい、ロシアが本当に第二次世界大戦での日本人犠牲者に同情をして、日本と第二次大戦以後に続いているわだかまりと対立を清算しようとしているなら、日本がポツダム宣言受諾を表明した8月15日以後にソ連軍が占領をした北方領土問題で、ロシア政府は日本政府と真剣に交渉に入り、北方領土を日本の要求通りに日本に返還するはずだ。さらに、昭和20年8月8日に急に日ソ中立条約を破って日本を攻撃したこと、シベリア抑留で何万人もの日本人が亡くなったことについて謝罪をするはずである。しかし、ロシア政府からはそんな話は全く出ていない。ロシア大使が広島の平和記念公園を訪れただけというのは、日本人戦争犠牲者への同情の表明としてはあまりにも中途半端すぎるから、単にアメリカと日本の軍事同盟の関係を割こうとするロシアによる策略だろう。当然ながら、これにはアメリカとNATOが中心となって行っているロシアへの経済制裁に日本も参加しているが、経済制裁から日本を外させようという狙いがある。