Deutschland-Lab

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プロ野球が始まるが、日本のプロ野球はなぜ企業名を外せないのか?

 

 

 

日本の野球である高校野球、社会人野球、プロ野球は大手新聞社のビジネスとして始まった。だから、プロ野球界で一番発言力があるのはいつも読売新聞なのである。

 

 

いよいよ、明日の木曜日からWBCで盛り上がった侍ジャパンが所属チームに戻ってプロ野球が始まるが、しかし、日本のプロ野球は不幸なことにスポンサー名を外すのはかなり難しいという事情がある。それについては、僕は過去にブログ記事に書いたことがある。

 

deutschland-lab.hatenablog.com

 

日本のプロ野球アメリカのメジャーリーグ、ヨーロッパのサッカーリーグのように自然発生的に始まったのではない。戦前に朝日新聞が新聞の売り上げを伸ばすために高校野球毎日新聞が同じ理由で社会人野球を始めていた時に、読売新聞も昭和時代になってから、「読売新聞も野球でビジネスがしたい」と思うようになり、そして、1935年にベーブ・ルースルー・ゲーリックなどのメジャーのスター選手を日本に呼んで、日本側のアマチュアのスター選手と親善試合を行った。日本代表の選手たちもアメリカに遠征を行ったが、その時に「大東京野球倶楽部」という長い名前にしてしまったので、記者たちから「名前が長すぎるから記事を打つ時にやりにくい」という苦情が出たので、メジャーのチーム名を付けることにした。

 

 

ニューヨークジャイアンツにちなんで東京ジャイアンツが、デトロイトタイガースにちなんで大阪タイガースが創立されて、そこからプロ野球が始まった。だから、今でもスポンサー名は外せないのである。

 

 

当時はアメリカのメジャーリーグはまだ飛行機で移動ができなかったので、ボストン、ニューヨーク、シカゴなどで試合を行っていた。そこで色んな候補があがったが、ヤンキースホワイトソックスカブスなどは日本語にしても強そうでないので、「ニューヨーク・ジャイアンツ(今はサンフランシスコ・ジャイアンツ)なら、日本語にすると『巨人』だから強そうだからこれにしよう」ということで、翌年の1936年に東京ジャイアンツとライバルチームとして、大阪阪神タイガースデトロイト・タイガースにちなんで名づけられた)が創立されて、日本でもプロ野球リーグができたのだった。

 

こういう事情があって、「既に満州国を建国して中国、ソ連と戦争の可能性があるのに、職業野球をするのはちょっと」と言って、軍部の反対もあったのだが、それを説得してプロ野球を始めたのが読売新聞の特に社長だった正力松太郎だった。だから、今でも「日本プロ野球の父」と正力松太郎は呼ばれており、シーズンで大活躍をした選手には「正力松太郎賞」が贈られる。

 

 

一方でサッカーJリーグプロ野球の悪い所を削って1993年に創立された。だから、Jリーグは始めからスポンサー名を外しているし、一つのチームだけが強くならないようなリーグ制度になってる。だから、今ではサッカーの方が若者には人気がある

 

 

こういう読売新聞主導でプロ野球が誕生した経緯があるから、日本では読売新聞が読売ジャイアンツからスポンサー名を外さない限り、他のチームもスポンサー名を外すことができないのである。このスポンサーと密着したプロ野球の失敗を見て、サッカーのJリーグは「プロ野球のように、スポンサーとズブズブの関係になるのはやめよう」とよくよく考えて、JFA日本サッカー協会」とチェアマン制度を導入して、ヨーロッパ流のスポンサー名を表に出さないJリーグを作ったのである。だから、最近は今でも読売新聞と読売巨人が中心のプロ野球とは違って、サッカーJリーグは特定のスポンサーが力を持っていないので、子供と若者にはJリーグの方が人気があるようになっている。

 

恐らく、プロ野球がこれから改革をしないと2004年の近鉄消滅事件のようなことが起こって、サッカーに人気が抜かれるだろう。