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僕は元々、コンピューター技術を映画に使うことに反対だった。

ハリウッド俳優のストライキは、AIの利用を巡る“闘い”において転機となる | WIRED.jp

 

 

映画制作でのAI技術の濫用に対してハリウッドの映画俳優たちがストライキを起こしたというが、当然のことだと思う。映画を作るのは人間でありコンピューター技術ではない。

 

 

上の写真は、AI技術を映画制作に使うことに反対をしてストライキをするハリウッド俳優たち。僕はいつかコンピューター技術を映画制作に使用しすぎると、こういう日が来るだろうと予想をしていた。今では映画俳優の色んな表情を1日間コンピューターに取り込んで、あとはそれを技術者がコンピューター内で操作するだけで映画を完成させることが出来るという。だから、映画を作る時にずっと演技をする大物俳優という人は必要なくなって、俳優は1日だけ顔をスキャンすればいいだけだから1日分のギャラしか貰えなくなるという映画、さらにドラマ制作での俳優の危機が近づいているという。

 

 

僕はホラー映画SF映画が大人気となった80年代から、映画制作でのコンピューター技術の濫用には猛反対だった。ゾンビ、エイリアンが人間を襲うホラー映画は何の意味もない単なる娯楽映画だったから。

 

 

だいたい、僕は1980年代からコンピューター技術、CG技術などを映画制作に使用することには反対だった。「ブレードランナー」「ターミネーター」「エイリアン」とかは映像技術は凄いかもしれないが、シナリオ自体はそんなに面白くない。というか、宇宙とか近未来が舞台で、当時の人間が抱えてる問題とは何の関係もない単なる現実逃避の映画だった。

 

1970年代後半から映画の特殊効果、特殊メイク技術がどんどんと進んで、ゾンビ、エイリアンが人間を襲うくだらないホラー映画などが大人気となった。しかし、ストーリーはジェイソン、ゾンビなどの意味不明の化け物が人間を襲うというだけで、それと人間がどう戦った退治をするかというワンパターンなシナリオだった。そんな低俗な映画を僕の友達たちは、「あのホラー映画はあまり怖くなかったな」などと言って笑って見ていたが、名作映画が好きな真の映画ファン(?)の僕は全く興味がなかった。

 

 

CG技術がまだ進んでなかった70年代初めまでは、映画制作の際には大きなセットを組んでシナリオもよく考えて丁寧に映画を作っていた。その頃の映画の方が名作映画は多かったと思う。

 

 

それらの映画に比べたら、ちゃんと大掛かりなセットを組んで丁寧に作りあげた50年代から70年代前半までの映画の方がよっぽどよく出来た。「トラトラトラ!」「史上最大の作戦」「アラビアのロレンス」「ベン・ハー」「クレオパトラ」などはCG技術は全く使わずに、全てセットを丁寧に組んで作っていた。こういう大掛かりなセットを組んで制作する映画を作るのは今ではほぼ不可能だと言われている。なぜなら、大きなセットを組むのに予算がかかりすぎて、映画会社としてはあまりにもリスクが高すぎるらしい。

 

1960年代初めに「クレオパトラ」が興行的に大失敗して20世紀フォックス社が倒産しそうになった後、ダリル・F・ザナックは戦争映画「史上最大の作戦」を予算を削るために白黒で撮影をした。この映画が失敗したら20世紀フォックス映画は倒産するリスクがあったが、ザナックは自殺の覚悟までをして制作をして、見事に20世紀フォックス社の経営は持ち直した。こういう命をかけてまで映画の制作をするという気概のある映画製作者がもはやハリウッドにはいない。だから、映画産業は衰退している。

 

だから、安易にAI技術を使って簡単に映画制作をするという道に逃げたりせずに、ちゃんと大物俳優を年月をかけて育成して本物映画を作ってほしいと映画ファンの僕は思うのである。