Deutschland-Lab

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マスコミの低俗ぶりを批判したドイツ映画「カタリーナ・ブルームの失われた栄誉」

 

 

 

兵庫県知事選挙で斎藤元彦前知事が再選されたが、知り合いの広告会社社長に自分を支持するネットサイトを作るように依頼していたとか、立花隆志が野次馬的に斎藤を応援していたことがわかった。選挙時のマスコミの報道だけではなくて、ネットサイトにも問題があることがわかった。

 

 

兵庫県知事選挙でマスコミの偏向報道、低俗報道に嫌気が差して、ネットに書かれた斎藤前知事に関する意見、広告を信じた兵庫県民が斎藤を応援して、斎藤が再選を果たしてからしばらくが経った。しかし、斎藤は親しい広告会社の社長に70万円を払って自分の良い点だけを広告するサイトを作るように依頼したり、N国党党首だった立花隆志とホリエモンなどが、野次馬的な方法で斎藤を応援する動画をYOUTUBEにあげていたことがわかった。結局、マスコミもネットも兵庫県知事選挙以外の選挙戦でも、かなり低俗なことをやっていることがわかった。

 

新聞、TVを牛耳るマスコミとYOUTUBE、XなどのSNSに興味本位の大げさなことを書き込んで閲覧数を増やしたいネットのインフルエンサーは、両方ともに低俗で嘘すら書くことがあると特に兵庫県知事選挙でわかったと思う。こういうメディアの低俗ぶりは今に始まったことではなくて、100年以上前からずーっと続いている。

 

 

西ドイツ映画「カタリーナ・ブルームの失われた栄誉」はマスコミ報道の低俗ぶりとそれに踊らされる大衆を批判した映画で、ドイツ語圏の人なら誰でも知っている作品である。僕はこの映画をドイツ語学習のためにドイツ語学校で見せられたのだが、日本でも日本語字幕付きのブルーレイが販売されているので一度見ることを薦める。

 

 

西ドイツ映画「カタリーナ・ブルームの失われた名誉」は、そんなメディア、特にマスコミによって1人の女性が人生を狂わされたことをよく描いている。この映画は日本ではあまり知られていないが、ドイツ語圏では誰でも知っている映画のようで、僕は1999年春にシュツットガルト近郊に住むH家にホームステイしながらドイツ語を学んだことがあるのだが、その時に語学学校でドイツ語を聞き取って理解する学習(ディクテーション)の時にこの映画を見せられた。それで、H家に帰って「今日は学校でなんとかの失われた栄誉という映画を見た」と言ったら、すぐに夫人と長男が「カタリーナ・ブルームの失われた栄誉」と言ったのだった。それくらいドイツではみんなが知っている映画のようだ。

 

こちらがストーリーを説明しているサイト。

 

eiga.com

 

1975年の2月のある日、仮装舞踏会を手伝っていたカタリーナ(アンゲラ・ヴィンクラー)はゲッテン(ユルゲン・プロホノフ)に会い、意気投合して何回も踊った。カタリーナのアパートに帰った2人は、その夜を共に過ごした。翌朝、物々しく武装した警官隊がカタリーナの部屋におし入り、彼女の部屋を取り調べた。ゲッテンは過激派の銀行強盗で、仮装舞踊会の前から警察に尾行されていたのだった。しかし、ゲッテンは既にいなかった。重要参考人として連行されたカタリーナは厳しい取り調べを受け、新聞はその内容を報道し、彼女の離婚した過去などを書きたてた。中にはでたらめの記事までがでっちあげられ、家へ帰ったカタリーナは、いたずら電話や下卑た手紙に悩まされた。たまりかねてゲッテンにかけた電話かもとで、ゲッテンの隠れ家がつきとめられ、彼は逮捕された。一方、快方に向かっていたカタリーナの母親は取材記者の影響でか病気が悪化し、死亡してしまう。街へ出ても人々の好奇の目を浴びた。カタリーナは新聞記者のヴェルナー(ディーター・ラザール)にたった1人で会見を申し込み、軽薄に喋り続ける彼にピストルの引き金をひいた。彼女は自首して刑務所に送られ、一方墓地では報道人がくり出し、殉職した新聞記者の葬儀が行なわれていた。

 

アンゲラ・ヴィンクラーが主役であり、彼女を厳しく取り調べる刑事役はマリオ・アドルフだが、この2人が数年後に全世界で大ヒットをする「ブリキの太鼓」では、対立する役ではなくて夫婦役を演じているのが本当に面白い。また、準主役の左翼テロリストであるゲッテンの役を演じているユルゲン・プロホノフは、1980年に封切られた「Uボート」の艦長役を演じて世界中で人気者となり、その後はハリウッド映画に主に悪役として出演するようになる。

 

この映画はドイツでは大ヒットしたが、当然ながらドイツの大衆紙「ビルド」などのタブロイド紙の幹部、記者たちは猛烈に反論をして批判をした。だが、僕はドイツ語がしゃべれる日本人という立場もあって、付き合いがあるドイツ人は大学教授、弁護士、医者、大手企業の重役などなので、こういう人たちは大衆紙、タブロイド新聞などは読んでない。そういう2流のマスコミは新聞が売れればいいというので、ドイツ芸能スポーツ界、ハリウッド俳優のスキャンダルを面白く書いて売り上げを伸ばしているから、知り合いのインテリ層は嫌っている。

 

このドイツ映画「カタリーナ・ブルームの失われた栄誉」を見れば、一部のマスコミは世界中どこでも低俗で偏向報道をしていることがわかるだろう。