- プーチンがロシアをソ連に戻したい大きな理由は、第二次大戦でナチスドイツの侵略に勝利をした偉大な旧ソ連が失われるのが嫌だから。これは、第二次大戦でのソ連の凄まじい戦いを調べればわかる。
- ドイツの首都ベルリンの旧東ベルリン地区には、今でもナチスドイツが降伏をした建物が「ロシアドイツ博物館」として残されており、ここには第二次大戦のソ連軍の栄光とソ連軍の武器が展示されている。戦後70年以上経っても、ロシアは旧ソ連の栄光を東ヨーロッパ各地に残している。
- ソ連が第二次大戦で「解放」をした東ヨーロッパに旧ソ連軍の博物館と記念碑が残されているということは、ロシアにはまだプーチンを始めとして旧ソ連の栄光を誇りとしている人がいるので、彼らはソ連の一部だったウクライナがNATOに入ることが許せないのである。
2月24日にロシアがウクライナに侵攻してから、ウクライナでの戦争についてブログを書く人が増えてますね。辛い話ですが、今は世界中でこの話題が注目されてるので、僕もやはりドイツ、特にナチスドイツに詳しい者として、プーチンがなぜ2022年の今になってロシアを旧ソ連に戻そうとしている理由を書こうと思います。
プーチンがロシアをソ連に戻したい大きな理由は、第二次大戦でナチスドイツの侵略に勝利をした偉大な旧ソ連が失われるのが嫌だから。これは、第二次大戦でのソ連の凄まじい戦いを調べればわかる。
やはり、一つの大きな理由は旧ソ連はドイツの倍以上の戦死者を出してナチスドイツに第二次大戦で勝利していて、ソ連では「第二次世界大戦」とは呼ばずに「大祖国戦争」と呼んでいる。戦後、1991年に旧ソ連が崩壊するまではソ連の映画といえば、いかにソ連人が一丸となってナチスドイツというファシストの侵略者と戦ったかという映画が多かった。「誓いの休暇」というソ連軍の少年兵がドイツ軍の戦車2台を撃破した褒美として、故郷に帰る1週間の休暇をもらうという映画があった。その途中で美しい少女と鉄道の中で一緒になったりするのだが、ロシアの鉄道事情が戦争で悪いので故郷の家に着いた時には既に家に滞在できる時間はほとんどなくて、またすぐに戦場に戻ることになる。そして、少年兵は戦死して家には2度と帰ってこれないという話だった。こういう映画を見ても、「ナチスドイツの侵略のせいでソ連人は深い傷を負った」というメッセージが伝わってくる。
上にあるのは、ベルリンのティアガルテンに立つソ連兵の銅像である。ソ連軍に詳しい人なら知ってると思うが、ソ連兵はモラルが低くてソ連軍が占領をした旧東ドイツでも東ヨーロッパでも、ソ連兵は略奪と婦女暴行を繰り返した。ソ連軍の幹部はそれを黙認していた。日本に対してもソ連が1945年8月8日に日ソ中立条約を破棄して旧満州と北方領土に侵略した時に、逃げ遅れた日本の一般市民を大量に虐殺したことはよく知ってるだろう。だから、僕が1999年春にシュツットガルト近郊のH家にホームステイをしてドイツ語を学んだ時には、ベルリンにも1週間ほど旅行してきたのだが、ベルリンにあるソ連兵の銅像の話になったら、H家の主人と奥さんは「ソ連兵の記念碑は[Ekelhaft](吐き気をもよおすもの」と言っていた。「東西冷戦ももう終わったのだから、ソ連兵の記念碑なんて撤去するべきですよね?ロシア政府のゴルバチョフもエリツィンも、なんで銅像の撤去に同意しないのでしょうかね?」と夫妻に質問したら、2人とも両手を広げて「ドイツ国民は撤去してもらいたいけど、理由はわからない」と言っていた。
それで、今回のロシア軍によるウクライナ侵攻を見ると、旧東ドイツ地区を始めとする多くの旧ソ連軍占領地域である旧東ヨーロッパ諸国に残るソ連軍の「解放記念碑」を、ロシア政府が戦後も撤去を認めない理由がよくわかったのだった。ソ連兵とソ連軍戦車の「解放記念碑」というのは、僕が旅行をして実際に見た限りではポーランド国内にも多数が残っていた。
ドイツの首都ベルリンの旧東ベルリン地区には、今でもナチスドイツが降伏をした建物が「ロシアドイツ博物館」として残されており、ここには第二次大戦のソ連軍の栄光とソ連軍の武器が展示されている。戦後70年以上経っても、ロシアは旧ソ連の栄光を東ヨーロッパ各地に残している。
それで、このブログ記事では過去に僕が過去に書いた、旧ソ連軍の栄光に関するブログ記事を改めて紹介する。まずは、1945年5月8日(ドイツ時間)にナチスドイツがソ連とアメリカを始めとする連合軍に降伏した場所に立つ「ロシアドイツ博物館」の紹介。この場所にはナチスドイツが降伏文書に調印した時の部屋が残されていて、当時の様子が再現されており、それ以外にもソ連軍の最高の英雄だったジューコフ元帥の執務室と軍服、第二次大戦当時のソ連軍の主な兵器が展示されている。当然ながら、ドイツ人はもうこんな博物館は見たくないのでドイツ政府は撤去を求めているが、ロシア政府は撤去に同意していない。
https://deutschland-lab.hatenablog.com/entry/20200821/1597987147
https://deutschland-lab.hatenablog.com/entry/20200821/1597991166
こちらは、ポーランドのワルシャワ軍事博物館に展示されいてる旧ソ連空軍の戦闘機と爆撃機。ポーランド人はナチスドイツの後のソ連の支配に対しても抵抗したが、ソ連政府の傀儡のポーランド共産党が戦後も支配することになって、ポーランド軍はソ連空軍の航空機を使用した。
https://deutschland-lab.hatenablog.com/entry/20210118/1610945888
こちらの旧ソ連軍航空機に関しても過去の「骨董品」としてならポーランド人は受けいれるが、ソ連の偉大さを示す「記念品」としてはポーランド人は拒否しており、撤去を求めるポーランド人も多数いるがロシア政府は撤去を認めていない。
ソ連が第二次大戦で「解放」をした東ヨーロッパに旧ソ連軍の博物館と記念碑が残されているということは、ロシアにはまだプーチンを始めとして旧ソ連の栄光を誇りとしている人がいるので、彼らはソ連の一部だったウクライナがNATOに入ることが許せないのである。
このように、旧ソ連政府支配地域である東ヨーロッパ各地に残るソ連軍の「解放記念碑」を見ると、プーチンとロシア政府の保守派がロシアを旧ソ連に戻したがる理由もわかると思う。旧ソ連は第二次世界大戦でドイツ人の犠牲者7百万人の倍以上の犠牲者を出してやっと勝利をして、ポーランド、チェコなどの東ヨーロッパを含む広大な地域を占領したのであり、東ヨーロッパ諸国のNATOとEU加盟を許すことはできても、旧ソ連の一部だったウクライナがNATOに加盟することは到底許せないことなのだ。