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なぜ鉄道マニアに人気があった寝台特急(ブルートレイン)は復活できないのか?

 

ブルートレイン」として人気があった寝台特急は、絶対に復活できない理由がある。その理由を僕は子供の頃に父が言ったことから理解できた。

 

 

恐らく夏休みや3連休の時などは、「寝台特急ブルートレイン)」に乗ってゆっくりと、東京から九州、北海道などへと旅行をしてみたい。夜行列車の雰囲気を味わってみたい」と思ってる人が多いだろう。ところが、寝台特急は絶対に復活できないという理由がある。それをちょっと考えてみようと思う。

 

僕は幼稚園の頃から鉄道マニアだが、東京に住んでいた小学校低学年からの夢はブルートレインに乗って、九州か北東北へと旅をすることだった。もちろん、まだ小学校低学年だから、旅をするとしたら家族旅行ということになるか、せめて父か母に同行してもらう必要があった。僕の家は3人兄妹だったから、母は子供の世話があるから父ということになるだろう。それに僕はお父さんっ子だったから。

 

父は大手銀行員だったので、僕が子供の頃に寝台特急に乗って全国各地に仕事の出張で出掛けたことがあって寝台特急にも乗ったことがあったが、「寝台特急はA寝台でも揺れがひどいのであまり眠れない」と言っていた。

 

それで僕の父は全国と海外にも支店がある大手銀行員で転勤族だったから、小学校3年~5年の時は父が広島支店勤務で広島に住んでいた。夕飯の時に僕が「ブルートレインに乗ってみたいなあ。ブルートレインの『富士』『はやぶさ』『あさかぜ』なんかの個室A寝台に乗って大阪辺りから九州まで旅をしてみたいなあ」と言ったことがあった。すると父が苦笑いをして、「お父さんはブルートレインのA寝台個室に何度か乗ったことがあるんだ。東京に週末に出張をして、月曜日から広島支店で勤務しないといけない時に銀行がA寝台個室を用意してくれて、東京から広島まで帰ってきたことがあるし、その逆もあったんだけど、A寝台個室は部屋が狭すぎて電車はガタガタ揺れるから全く眠れないんだ。だから、お父さんは寝台特急は嫌いなんだ」と言った。

 

父は「仕事の出張で移動する時は飛行機に乗るのが一番楽なんだ。目的地まですぐに着いてすぐに仕事に取り掛かれるから。その次は新幹線のグリーン車だな」と言っていた。

 

「でも、僕はブルートレインのA寝台個室に乗って旅行をしてみたいな。それは鉄道マニアの夢だよ」と僕が言うと、「お前はまだ子供だから旅行で遊びに行くから気楽だろうけど、お父さんは寝台特急で東京に着いた後にすぐに仕事だから、寝台特急で東京に着くとほとんど眠れなかったから、仕事をしていてもすごく辛かったんだ。お父さんのような仕事で東京に移動する人にとっては、広島から東京間を飛行機で移動するのが一番楽なんだ。1時間くらい前に空港に行ってチェックインして、広島から東京までなら1時間ちょっとのフライトで着くから移動の疲れはほどんどないからな」と父は言った。

 

さらに父は、「そんなに寝台特急に乗りたいなら、今年の夏休みに家族旅行で寝台特急に乗ってみるか?丁度2年前に亡くなったおばあさん(父方)の法事があるから、今年の夏休みは家族全員で広島からお父さんとお母さんの実家がある東北の宮城県まで、家族旅行で行ってみるか?」と言ったのだった。この父の発言は本当に嬉しかった。

そして、父の言ったとおり、僕が小学校5年生だったその年の夏休みのは、夏休みに入ったその日の夕方に家族旅行で広島駅から寝台特急「あさかぜ」に乗って東京まで移動して、その後は両親の実家がある宮城県にまで行った。でも、5人家族全員がA寝台に乗るとあまりにも値段が高くなるのでB寝台に乗った。それで、B寝台の寝心地だったが、やはり父が言ったように電車がガタガタと揺れるのであまり寝心地はよくなかった。だから、朝になると父が近づいてきて「やはりあまり眠れなかっただろう」と笑って言った。

 

確かに寝台特急に乗ってのんびりと旅行をするのはロマンがあるが、旅行客だけでは寝台特急を走らせることは出来ず、定期的に寝台特急が走るためにはある程度のビジネス客の需要がないといけない。

 

 

つまり、ここで僕が何を言いたいのかと言うと、旅客機の格安航空券、新幹線、豪華夜行バスなどが移動の主力になってしまった今では、乗り心地が悪くてあまり眠れない寝台特急が定期列車として復活する可能性はまずないということである。鉄道マニアで、「1年に数回寝台特急に乗ってのんびりと旅をしてみたい」という人たちだけの要望では、定期列車として寝台特急が復活することは、JRグループにとっては採算が取れないので復活は無理だ。常に一定数のビジネス客が、長期出張などで寝台特急を利用したいという要望がなければ寝台特急の復活はあり得ない。

 

これはヨーロッパでも同じことで、20年ほど前にはヨーロッパにはかなりの数の寝台特急があったが、やはり日本と同じ様に旅客機、高速特急などの需要に押されて、今では一部の料金がすごく高い豪華寝台特急くらいしか走ってないという。