Deutschland-Lab

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ドイツ人に野球のルールを教えた時のこと

 

 

今はメジャーリーグ大谷翔平が大活躍をしているが、ヨーロッパでは野球が人気がないから大谷はヨーロッパではほとんど知られてない。僕はかつてドイツ人家庭にホームステイをしてドイツ語を勉強した時に、野球のルール難しさなどをホスト家族に教えたことがある。

 

 

今は大谷翔平がメジャーで大活躍していて、日本人の多くが大谷の活躍を喜んでいるが、残念なことに大谷は東アジア、北アメリカ、ドミニカ、メキシコなどの中年米諸国を除くとあまり世界的には有名ではない。特にサッカー大国のヨーロッパでは日本人のスポーツ選手というと、サッカーの久保建英、鎌田大地などの方がまだ有名である。

 

それでも僕は、ドイツ南西部のシュツットガルト近郊に住むドイツ人家庭に1999年春にホームステイしながらドイツ語を勉強した時に、ホスト家族に「日本ではサッカーよりも野球の方が人気があるんだ」と言って、野球のルールなどを説明したことがある。当時の僕のドイツ語力にも問題があったかもしれないが、家族の方々はなんとか理解しれくれたようだ。ヨーロッパ人の中には「野球なんて大嫌いなアメリカ人のスポーツだからどうでもいい」と言って、野球には全く興味を持たない人と、「日本人がホームステイの客として来たのだから、彼の興味を我々も理解しよう」というタイプと2タイプの人がいる。

 

それで、僕は野球場の図を書いて55歳の主人と25歳の長男は英語がわかったので英語でピッチャーからライトまでのポジションを書いた。その後に3アウトでイニングチェンジで、3ストライクで三振でワンアウトで、4ボールで一塁に出塁できること、フェアゾーンとファウルゾーンがあること、打者が打ってフェアゾーンでスタンドに入ればホームランで、最高4点が入ることなど、基本的なことを教えた。

 

「だから、野球が好きな人にとってはサッカーはどんなに頑張っても1ゴールは1点にしかならないし、0-0という引き分けの試合もあるからつまらないんですよ」と言うと主人はホームランで一挙に4点も点が入ることには驚いていたが、

「でも、サッカーも試合終了間際に2分間で2ゴール入って逆転勝ちとかあるよ」

と言った。僕も当然、1993年の「ドーハの悲劇」を知っていたから、

「そうですね、サッカーも野球と同じように試合終了間際に突然に相手に逆転ゴールを決められて、負けることとかありますね」

と言って頷いた。

 

 

野球を知らないドイツ人などが野球を見ていて不満に思うのは、試合時間が平均で3時間半ほどというように時間がかかりすぎることだった。「ファウルを無制限に打ってもいいというルールを廃止にするべきでは?」と彼らは言ったが、「プロ野球の投手は打者が打ってもファウルにしかならないコースに投げることができる」と言ったら驚いていた。

 

 

それで一番野球をを知らない人が不思議に思うルールは、投手と打者が対戦している時にファウルは何球打ってもいいということだった。奥さんはこう言った。

「だから、野球て試合時間が3時間以上とかすごく長くなるのですね。サッカーは1試合の時間は90分で、ワールドカップの決勝戦みたいに絶対に勝者を決めないといけない試合は延長戦からPK戦までするけど、それでも、3時間以内には終わるからあまり長くなくてスピードがあるんですよ」

「でも、野球の場合は高校野球の全国大会とかハイレベルな野球になると、投手はここは打ってもファウルにしかならないというゾーンに投げることができるんですよ。もちろん、プロのほとんどの投手は打者が打ってもファウルにしかならないコースに投げることができます。だから、時間短縮のためにファウルを5球打ったら三振というルールを作ると、ほとんどの打者が三振になりますね」

僕がこういうと家族は驚いていた。

 

 

プロ野球の投手が時速150キロの速球と、それ以外にもカーブ、シュート、フォークという変化球を投げることができて、打者はそれを予想して打たないといけないと説明するとまた驚いていた。

 

 

それからさらに野球で驚いていたのは、投手の投げる球の速さと変化球についてだった。

プロ野球の投手は時速150キロ~160キロの速球を投げるし、それにプラス変化球も投げれるんですよ。フォークボール、カーブ、シュートとか。だから、基本的に打者は全ての球を打ちにいくけど、途中でこれはストライクではばくてボールだと判断したらスイングを止めるんです。これが、プロ野球選手に求められ最低限の技術です。でも、そんなことが出来るのは僕が住む仙台市には男が50万人ほどいますが、50人くらいですね。1万人に1人くらいの確率です。それくらい、プロ野球選手になるのは難しいのです」

こういうふうにプロ野球の難しさと教えると、家族は本当に驚いていた。他のドイツ人にもこういう話をして野球の難しさを教えたら驚いていた。

「だから、プロ野球のスター選手は複数年契約で10億円くらい貰ってるんですよ」。

と言ったら、さらに驚いていた。

 

野球の難しさにドイツ人たちは驚いていたが、彼らもプロサッカーの難しさを色々と教えてくれた。でも、1999年の時点では既に1993年に日本のプロサッカーであるJリーグが始まっていて、Jリーグでは元ドイツ代表のリトバルスキーブッフバルトなどがプレイしていたから、

「ドイツ人のスター選手、ブラジル人のスター選手などが日本のJリーグでプレイしていたから、サッカーがいかに難しいかもよく知ってますよ」

と言って、僕はホームステイ先の家族と他のドイツ人の友達に答えておいた。