
- ドイツの総選挙ではやはりショルツ首相の率いる社会民主党は大敗して、最大野党のキリスト教民主・社会同盟が第1党になった。注目するべきは極右政党と見なされているドイツのための選択肢が第2党にまで躍進したこと。
- キリスト教民主・社会同盟の幹部はドイツのための選択肢のような極右政党と連立政権を組むことはないと述べているが、第二次大戦の戦争犯罪の反省から極右政党が力を伸ばすことが難しいと言われてきたドイツで、極右政党が躍進したのは注目するべきことだ。
ドイツの総選挙ではやはりショルツ首相の率いる社会民主党は大敗して、最大野党のキリスト教民主・社会同盟が第1党になった。注目するべきは極右政党と見なされているドイツのための選択肢が第2党にまで躍進したこと。
先週のブログ記事でも週末に行われるドイツの総選挙では政権交代が起こるだろうと書いたが、やはり現在ドイツ首相をしているショルツ首相の率いる社会民主党(SPD)は大敗して第3党になり、最大野党だったキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党となった。注目すべきは極右政党として既存のドイツの政党からは警戒されている極右政党のドイツのための選択肢(AfD)が、増加する移民による犯罪、ウクライナ戦争などを背景に第2党へと躍進したことである。
【ベルリン時事】23日投票のドイツ連邦議会(下院、定数630)選挙は即日開票され、保守野党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が208議席を獲得して第1党の座を確保。2021年以来となる政権への復帰が確実となった。ショルツ首相率いる中道左派・社会民主党(SPD)は120議席にとどまり、歴史的大敗を喫した。移民排斥を訴える極右「ドイツのための選択肢(AfD)」は152議席で、第2党へ躍進した。
CDU・CSUは選挙戦で、寛容な難民政策や積極的な温暖化対策の見直しを主張した。メルツCDU党首は23日夜、勝利を宣言。「欧州で再び存在感を示す」と述べ、次期首相として指導力を発揮することに意欲を示した。一夜明けた24日の記者会見で、SPDとの連立形成を目指すと発表。4月20日ごろまでに新政権を発足させる意向で、事前協議に着手する。
キリスト教民主・社会同盟の幹部はドイツのための選択肢のような極右政党と連立政権を組むことはないと述べているが、第二次大戦の戦争犯罪の反省から極右政党が力を伸ばすことが難しいと言われてきたドイツで、極右政党が躍進したのは注目するべきことだ。
CDU・CSUが同じ保守系政党であるAfDとは連立政権を組まないというのは、AfDはドイツ憲法擁護庁から監視対象にされているような急進右派政党なので、支持率が高くてもこの政党と連立を組むことは、CDU・CSUの党員と支持者が許さないからである。AfDは左翼のドイツ国民が大嫌いなトランプ大統領、イーロン・マスク氏から支持されているような右翼政党であり、このような政党と連立政権を組むことはできないのである。
しかしながら、メルケル首相時代にドイツは多くの移民難民を受け入れて、その数は約400万人までに膨れ上がっているので、増加する移民難民犯罪と長期化するウクライナ戦争への嫌気から今回の選挙で第2党にまで躍進したAfDの存在は無視できなくなっている。ドイツでは第二次大戦時の多くの戦争犯罪の反省から他の欧米諸国のように、トランプの率いるアメリカの共和党のようなポピュリズム政党は躍進しにくい背景があったが、今回の選挙でドイツも他の欧米諸国と同じになったというような報道もされている。